2025年も「クレヨンしんちゃん」や「名探偵コナン」が見続けられる理由―中国メディア

2025年1月23日(木)0時0分 Record China

20日、中国メディアの観察者は、2025年も「クレヨンしんちゃん」や「名探偵コナン」が見続けられる理由について論じた記事を掲載した。写真はクレヨンしんちゃん。

2025年1月20日、中国メディアの観察者は、25年も「クレヨンしんちゃん」や「名探偵コナン」が見続けられる理由について論じた記事を掲載した。



記事はまず、「年初の中国映画市場が凡作ばかりと言われる中で、ひっそりと興行収入1億元(約21億円)を突破したリバイバル映画がある。それは劇場版『名探偵コナン迷宮の十字路(クロスロード)』4Kデジタルリマスター版だ。プロモーション活動は控えめながら、観客動員数は329万人を突破した。劇場版『名探偵コナン』シリーズの第7作目にあたる03年公開の作品であり、中国のドラマ・映画口コミサイトの豆瓣(douban)で10点満点中8.5点という高得点を得ている。推理の完成度は突出していないものの、ミステリー要素と感情描写のバランスが絶妙だとされている点で『唯一無二』の劇場版と評されている」と伝えた。



そして、「同作では、主人公・江戸川コナン(えどがわコナン)が本来の姿である工藤新一(くどうしんいち)に戻り、毛利蘭(もうりらん)と月夜の下で再会を果たすほか、劇場版シリーズで初めて服部平次(はっとりへいじ)と共に事件解決に挑む。また、平次と遠山和葉(とおやまかずは)の幼なじみとしての初々しいエピソードも含まれており、日本の歌手・倉木麻衣が歌う主題歌『Time After Time〜花舞う街で〜』が流れる中、幼少期の和葉が童歌を口ずさみながら遊ぶシーンの美しさは、多くの観客の郷愁を誘うとして絶賛されている」と紹介した。



その上で、「22年前の作品が現在でも注目を集める理由の一つに、近年の劇場版シリーズへの失望感がある」と指摘。「原作ファンの間では『商業価値を搾取されすぎた』『未完結であるにもかかわらず、内容がマンネリ化している』という意見が広がっている。物語の進行が遅く、日常的に発生する事件が形だけの展開となり、主要キャラクターの個性も崩壊しつつあるという批判がある。その結果として、近年の劇場版シリーズは『大量生産された缶詰』のようだと言われ、感動や新鮮さを欠く作品となっている。そのため、多くのファンは『迷宮の十字路』のような過去の思い出深い作品を再び楽しむことに価値を見出しているのだ」と説明した。



また、「今月には06年公開の日本のアニメ映画『時をかける少女』も中国で再上映されている。この作品は『純愛の名作』として知られ、特に間宮千昭 (まみやちあき)の『未来で待ってる』とのセリフが、多くの観客の青春時代に印象的な記憶を残した。現在になってスクリーンで改めて鑑賞すると、物語が非現実的であることや、小さな問題のためにタイムリープを繰り返す展開には現実感がないとの指摘もあるが、それでもその純粋な約束の美しさが心に響く。黒板に書かれた『時は待ってくれない』というメッセージは、大人になった観客にさらに深い共感を呼び起こす」とした。



そして、「このオンラインからオフラインへと広がるアニメ回顧ブームは、今年に始まったものではない」とし、「ここ数年、上海国際映画祭でチケット発売後に最も早く完売する作品の中には、常に名作アニメが含まれている。『イノセンス』、『パプリカ』、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』などの作品は、追加上映されてもなおチケットが手に入らないほどの人気を誇っている。昭和、平成、令和という3つの時代をまたぐ観客たちが、幼少期の名作への敬意を込めて熱心にチケットを争奪しているのだ」と言及した。



記事は、「中国のSNS・小紅書(RED)では、『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』の名言が注目を集め、いわゆる『バズる』コンテンツとして広まっている。25年という時代になっても、いまだに人気なのは、20世紀に連載が始まったこれらのアニメである。アニメのシーンが若者たちによって見直され、再解釈されているのだ。野原しんのすけ(しんちゃん)やさくらももこ(まる子)の生き方や自由奔放な発想が『私たちの10年先を行っている』と感嘆され、現在では一部の大人のネットユーザーにとって人生の指針とされている」と紹介した。



そして、「かつて『クレヨンしんちゃん』の中に含まれる大人向けの要素や子どもには不適切とされる内容が原因で、この作品は一時期、保護者たちの『ブラックリスト』に載ったことがあった。しかし、今改めて見ると、いたずら好きで、思いがけない一言を放つ5歳の幼稚園児が、大人の抱える疑問や困惑に対して鋭く切り込んでいたことが分かる。無邪気な言葉の中にほのかに漂う狂気があるのだ。大人を悩ませるような問題も、しんちゃんにとってはまったく大したことではなく、内面的な消耗も感じさせない。その姿勢が若者が抱える感情的な悩みやストレスに寄り添っている」と評した。



一方で、「まる子にはしんちゃんのような盲目的な自信や自己完結的な態度はない。彼女は時に不機嫌になり、落ち込むこともあれば、怠けたり、ぐずぐずしたりといった欠点も少なくない。しかし、そのシンプルで誠実な性格や、生活に向き合う楽観的な姿勢、そして温かな家族や友情が、この物語を今日でも多くの大人の心に響かせている。ツンデレな姉、まる子をいつも見守るおじいちゃん、そしてクラスメイトたち。彼らの生活への態度はまるで鏡のようで、視聴者に人生を洞察する視点を与えてくれる」と論じた。



その上で、「1990年8月に初めて連載が開始された『クレヨンしんちゃん』では、しんちゃんの父親・野原ひろしが『32年の住宅ローンがある』と語っており、22年に連載32周年を迎えた際には、多くのネットユーザーが『ついにひろしが住宅ローンを完済した』と祝福した。『子どもの頃はひろしを笑っていたのに、大人になった今では自分がその姿になっている』と嘆く声も多かった」と伝えた。



他方、「『ちびまる子ちゃん』の物語は、原作者・さくらももこの幼少期(1970年代)が舞台。日本が経済の高度成長期を終えた直後であり、『ちびまる子ちゃん』の冒頭では、まさに日本経済の成長が鈍化し始めた時代が描かれている。漫画では、一般的なサラリーマン家庭の生活状況を描写しており、まる子の家では父と祖父だけが収入を得ていたが、6人家族を養うために倹約しながら生活していた。小学3年生のまる子は姉と物を奪い合い、お小遣いが減らされるのを恐れ、家が貧しいためギターを買えないことも理解していた。また、クラスには花輪クンのような『富裕層の子ども』もいて、生活水準の格差が描かれている。それでも、彼らは幸せを感じる能力を失わずにいる」と考察した。



記事は、「『ONE PIECE(ワンピース)』、『NARUTO -ナルト-』、『スラムダンク』といった熱血漫画とは異なり、『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』のような笑いを主軸とした日常系漫画に対するノスタルジーは、単に懐かしむだけにとどまらない。主人公たちが真剣に日々を生きる普通の人であること、そしてアニメの社会的な背景が共感を呼び起こすしているのだ。2025年の現在でも、突拍子もない展開ながら満足感に満ちた『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』は古びていない。これらの作品に登場する、一見何気ないが深い意味を持つ日常の会話は、現実に向き合いながら奮起しようとする若者たちの心を慰める力を持っている」と論じた。



また、「日本のアニメ作品には積極的で前向きな主人公が数多く登場する一方で、日本のアニメ制作環境は『過酷な長時間労働』として知られている。このため、近年アニメ業界では人材不足が深刻化し、新作の質が低下するとともに、アニメファンが過去の名作を繰り返し見る傾向が強まっている」とし、「ただこうした課題が解消されない中でも、日本アニメ業界の影響力は依然として大きいことは否定できない。宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』は、24年に中国の祝日・清明節の興行成績で首位を獲得した。アニメ市場は安定して成長を続けており、大人のアニメ需要の増加は中国アニメにも発展の機会をもたらしている」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)


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