鎖国状態の北朝鮮で物価高騰の兆し…新型肺炎で国境封鎖

2020年2月7日(金)6時40分 デイリーNKジャパン

中国での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、北朝鮮は事実上の鎖国状態となっている。その影響で、物価が上昇傾向にあると平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。


情報筋によると、先月初頭に4200北朝鮮ウォンだった小麦粉は6175北朝鮮ウォンに、9350北朝鮮ウォンだった大豆油は1万5570北朝鮮ウォン、5250北朝鮮ウォンだった砂糖は6400北朝鮮ウォンまで上がり、それぞれ47%、68%、22%という高い上昇率を見せた。(100北朝鮮ウォンは1.2円)


国際社会の制裁でも、著しい物価上昇は見られなかった。ところが新型コロナウイルス感染拡大防止のために北朝鮮当局が中朝貿易を全面停止させたことが、物価に悪影響を与えている。内外で不安要素が多く、より安全なところに資産を移動させようという心理が働いた影響とも言えよう。


情報筋は、物価の高騰が続けば当局の介入もありうると見ている。


「商人たちも(価格を)もっと上げたがっているが、お互いの目が気になって上げられずにいる。品物が不足する状況が続けているため、誰か一人が上げれば、皆が一斉に上げるだろう。しかし、市場で物価が急に上昇する状況を、お上(当局)が見逃すわけがない。近いうちに、市場価格の統制に乗り出す可能性が高い」(情報筋)



一方、輸出に回すはずだった品物は、価格が下落している。


両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、中国に密輸するはずだったスケトウダラが輸出できなくなり市場に逆流したことで、1キロの価格が3〜4000北朝鮮ウォンも下落し、1万500北朝鮮ウォンで売られていると伝えた。


旧暦の正月15日にスケトウダラをスープにして食べれば、目や脊髄、腰がよくなるという俗説があり、この時期になるとスケトウダラの値段は一時的に高騰する傾向にある。例年なら1万3000北朝鮮ウォンから1万5000北朝鮮ウォンで売れていた。また、中国に密輸出すればさらに1.5倍の値段になる。


同じような輸出停止は2017年から起きていた。


国連安全保障理事会は2017年8月、加盟国に対し、北朝鮮からの海産物の輸入を全面的に禁止する対北朝鮮制裁決議2371号を採択した。これを受け中国商務省は、海産物の輸入を全面禁止する措置を取った。これにより、北朝鮮は海産物の対中輸出ができなくなった。


そのため、輸出用のハタハタが大量に残り、腐らせてしまうことがあった。


しかし、その後も密輸は継続されていたため、今回も問題ないだろうと踏んだ密輸業者は、国内の他の地方から大量のスケトウダラを取り寄せたが、国境が閉鎖されてしまったため、合法、違法問わず輸出ができなくなってしまった。保管する場所もないため、品物を国内市場での販売に踏み切ったというのが事のいきさつだ。

デイリーNKジャパン

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