ウクライナ侵略3年、民間人1万2300人超死亡…ゼレンスキー氏「この椅子から去る必要あるなら準備できている」
2025年2月24日(月)0時37分 読売新聞
23日、戦死者を追悼する旗や遺影が立てられているキーウの独立広場には、早朝から花やろうそくなどを手向ける人の姿があった=三浦邦彦撮影
【キーウ=上杉洋司、倉茂由美子】ロシアによるウクライナ侵略は24日、開始から3年を迎える。1月に就任した米国のトランプ大統領がウクライナに寄り添った前政権の方針を転換し、ロシアとの協議を始めたが、多くの犠牲と破壊を残した激しい戦闘が終結する出口は見えていない。停戦協議が今後、どう進展するのか注目される。
3年間で、両軍とも数十万人規模の死傷者が出ているとみられている。国連は1月、ウクライナで子ども650人を含む計1万2300人超の民間人が犠牲になったと発表した。ウクライナ各地では22日夜から23日、露軍の無人機攻撃が相次いだ。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は23日、「戦争は続いている。我々には欧州、米国、永続的な平和を求める全ての人の力が必要だ」とSNSに投稿し、国際社会の支持を訴えた。
トランプ氏は22日、ワシントン近郊での会合で演説し、ウクライナとロシアで多くの死者が出ていることに触れ、「この事態を終わらせなければならない」と停戦の必要性を強調した。
一方、ロシアのプーチン大統領は23日の祖国防衛記念日に合わせた演説で、ウクライナ侵略に参加する兵士を「命を危険にさらし祖国や国益、ロシアの未来を守っている」と称賛。陸海軍の戦闘能力の向上を誓い、戦闘継続の意思を強調した。
露軍はウクライナ東部ドネツク州などで兵器や人員の損害をいとわず攻勢を強め、制圧地域を拡大している。ロシアはウクライナの国土の約2割を支配下に置いている。
ゼレンスキー氏は23日の記者会見で、和平実現と引き換えに大統領を退任する可能性を聞かれ、「ウクライナの平和のためになり、私がこの椅子から去る必要があるなら、その準備ができている」と答えた。ロシアの再侵略を防ぐ方策として、北大西洋条約機構(NATO)加盟を改めて求めた。