北朝鮮「美女応援団」の間にもぐりこむ秘密警察の怪しい動き

2018年2月11日(日)12時15分 デイリーNKジャパン

韓国で9日に開幕した平昌冬季五輪に合わせて、北朝鮮からは選手団46人、応援団やテコンドー演武団、記者団など280人、関連イベントに参加する芸術団140人など、500人近くが韓国を訪問している。


そのうち、南北合同の女子アイスホッケーチームに合流した面々に、正体不明の男性2人が参加しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことをきっかけに、韓国国内では「国家保衛省(秘密警察)の要員ではないか」との疑惑が浮上した。


聯合ニュースによるとこの2人は、6日になってテコンドー演武団の一員のキム・スンチョル氏、キム・ヨンチョル氏であったことが判明した。しかし、彼ら2人がそうであるかどうかは定かではないものの、メンバーに保衛員(秘密警察)が混じっているのは公然の秘密だ。


スポーツ選手に限らず、海外に派遣される人に保衛員が監視役として付くのは、北朝鮮では当たり前のことだ。たとえばロシアや中東などに派遣されてきた労働者にも保衛員の監視が付いており、劣悪な環境に耐えかね脱走する労働者に対して凄惨な私刑を加えたりもする。


派遣先が、一歩踏み出すだけで脱北できてしまう南朝鮮(韓国)ならばなおさらだ。


平壌のデイリーNK内部情報筋によると、「今回、韓国に派遣される保衛員の選抜は以前にもまして徹底して行われた」という。やはり、国際社会からの経済制裁下にある厳しい局面を転換させるための五輪参加だけに、万が一にもトラブルが起きないよう、北朝鮮当局も万全を期しているのだろう——と、思いきや、それとは別の事情もあるという。情報筋が続ける。


「保衛員にとって、韓国は実にオイシイ派遣先なのです。団員の携行品として高価な支給品が出るし、現地での監視を厳しくこなせば出世につながるかもしれない。またそれ以前に、彼らは一様に韓流ドラマにハマっているのです。彼らは韓流ドラマのDVDなどを摘発するのが仕事なのに、住民から取り上げたものを夢中で見ながら、韓国への憧れを膨らませている。そのため韓国行きの『ワク』を勝ち取るべく、保衛員らと担当幹部の間でワイロが乱れ飛ぶのです」


今回、保衛員の選抜が「以前より厳しく行われた」というのは、このような「不良保衛員」を排除するためだったというのが、情報筋の説明なのだ。


しかし、今回の五輪参加への姿勢を見る限り、金正恩党委員長は今後も対話攻勢をガンガンしかけ、本気で韓国の「籠絡」を狙うものと思われる。少なくとも表面的には南北の友好ムードが強調されるはずで、そのような環境の中で、自国民への韓国の影響を徹底的に排除するのは難しいだろう。


金正恩氏は、仮に韓国を口説き落とすことができたとしても、そこには大きな副作用が伴うということをわかっているのだろうか。

デイリーNKジャパン

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