EV時代のエアサスペンション普及、1200万円以上の高級車限定から500万円の中級車へ

2024年4月27日(土)8時0分 Record China

EV時代のエアサスペンション普及は1200万円以上の高級車限定から500万円の中級車へと移っている。

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エアサスペンションはコストが高いため、これまでは主に高級車にしか搭載されず、一般の家庭用車には搭載することが難しく、エアサスペンションはハイエンドカーの代名詞となった。



上海蔚来汽車(NIO)は2018年に「ES8」と「ES6」にエアサスペンションを搭載し、標準価格はES8が44万8000元(約896万円)、ES6が37万8000元(約756万円)で、エアサスペンションを60万元(約1200万円)以上の車種のみに搭載する伝統を打ち破った。



中国では現在、エアサスペンションを搭載する車種の価格は25万元(約500万円)クラスにまで広がっている。極氪(ジーカー)の「ZEEKR 001」YOUエディションは26万9000元(約538万円)だが、オプションでエアサスペンションを2万8800元(約57万6000円)で付けられる。



中国のエアサスペンション大手、浙江孔輝汽車科技の郭川(グオ・チュワン)代表取締役は「近い将来、20万元(約400万円)の車種の多くにエアサスペンションが搭載され、さらには標準装備になってもおかしくないと考えている」「23年8月に中国のエアサスペンション市場浸透率について、23年は3.4%、24年は6.3%、28年は22.5%になると予測していたが、今ではこの数字は保守的かもしれないと思っている」と話した。



新エネ車時代のエアサスペンション



エアサスペンションがミドル・ローエンド市場で普及していない原因には、技術ハードルが高く、一般メーカーでは作れないこと、高級車メーカーが市場をコントロールして高利益を図ってきたことが挙げられる。



新エネ車には多くのバッテリーが搭載されるため、車両の自重が増加し、加速度も増し、それによりシャーシの設計と調整への要求が高くなる。エアサスペンションはこの難題を解決する有効な手段となっている。



また、エアサスペンションの動作原理は車両のインテリジェント化により適合している。エアサスペンションは路面の正確な感知を通じてリアルタイムで調整されるが、新エネ車は各種のカメラや探知レーダー、演算能力の高い車載チップを搭載し、エアサスペンションの性能を極限まで発揮することができる。



中国のエアサスペンションメーカーの発展



スマートEV時代には、EVメーカーはカスタム統合を主導し、ソフトウェア開発能力を重視する傾向がある。例えば、エアサスペンションの供給について、エア供給ユニット、エアスプリング、ダンパー、センサーなどのパーツまで、エアサスペンションを小さな部品に分割し、それぞれを購入して自主化集積し、自社開発のアルゴリズムによってエアサスペンションの性能をさらにアップグレードする。



この手法により、EVメーカーは研究開発コストを削減し、エアサスペンションの開発時間を短縮できる。部品メーカーもハードウェア製造における独自の強みを発揮できる。



NIOは17年に発売したES8に主にContinental AGのエアサスペンションを採用しているが、「Continental AGのエアサスペンションは、性能は良いがブラックボックスであり、自動車メーカーはカスタマイズ開発を行うことができない」という悩みがあった。!<1371508>



同様に、理想汽車(Li Auto)も創業初期にContinental AGへ連絡したが、フルセットの製品しか販売しておらず、車体、サスペンション、他のハードウェアをContinental AGの適性に合わせなければならなかった。そのため、理想汽車はサスペンション技術について自社で研究し、中国企業の浙江孔輝汽車科技に生産を委託した。浙江孔輝汽車科技はこの受注により、相乗効果で製品のコストダウンを実現し、品質が急速に向上し、一躍エアサスペンション業界1位になった。!<1371507>



NIOの関係者は「NIOの2世代車種以降、Continental AGは私たちにオープンソースモデルでエアサスペンションを提供し、柔軟性が高くなった」と述べた。



中国製エアサスペンションに優位性



中国メーカーが生産するエアサスペンションの性能は海外製品に近く、ローカライズの優位性がある。



浙江孔輝汽車科技の郭川代表取締役は、「海外サプライヤーの多くは経営資源が海外にあり、中国企業への対応が十分ではない。サスペンションの提供は、既存商品を提供するだけでなく、各車種に対する相応の技術開発が必要で、技術サービスが非常に重要になるが、海外のサプライヤーは中国での経営資源が限られていたり、中国市場を重視していないなどの不足があり、中国のサプライヤー企業にチャンスを与えることとなった」と述べた。



開発サイクルについては、「外資系サプライヤーは一般的に、完全なエアサスペンションシステムの提供に2年以上かかるが、中国の自動車メーカーは新車開発期間を18カ月以内にしたいと考えている」と述べた。



価格の面でも、海外メーカーは中国メーカーより高くなる。郭氏は「海外メーカーのエアサスペンション一式のコストは1万2000元(約24万円)ほどかかるが、中国メーカーのコストは8000〜1万元(約16万〜20万円)だ」と説明した。



中国のエアサスペンション大手、保隆科技の李嶺(リー・リン)副社長は、「われわれはブラックボックスシステムのように超過利益を奪うのではなく、合理的な利益のみ得る」と述べた。



おわりに



中国では国産車のシェアが上昇するにつれ、高級車に搭載されていた部品が中級車へと普及するこのような事例が今後ますます増えるだろう。これは自動車部品サプライヤーにとってチャンスでもありチャレンジでもある。



中国新エネ車産業におけるエアサスペンション普及の背後には、市場に適応できず商機を逃したContinental AGのような例が多い。これは日本の部品メーカーにも参考になるだろう。(編集/CL)

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