北朝鮮で行われた「性感染症」の一斉検査…金正恩氏が嫌がる話

2018年5月23日(水)6時44分 デイリーNKジャパン


米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は22日、米国の「全米民主主義基金(NED)」が2018年・民主主義賞の受賞者として、4つの韓国のNGO——北朝鮮人権市民連合、ナウ(NAUN)、転換期正義ワーキンググループ(TJWG)、国民統一放送(UMG)を選定したと伝えた。いずれの団体も、北朝鮮の人権問題を活動内容としている。


NEDは民主主義を広げるため、また親米を重視する観点から、世界中のNGOやメディアに資金提供を行ってきたNPOで、1983年にレーガン米大統領(当時)の特命で設立された。以来、民間NGOの扱いだが、実際には活動資金の大半を米議会から受け取っている。


そんな組織が、北朝鮮の人権問題を扱うNGOに賞を与えるというのだから、金正恩党委員長はさぞや気分を害するのではないか。


では、受賞組織の活動内容を見てみよう。


コンドーム着用はゼロ


北朝鮮人権市民連合のキム・ソヒ常任幹事は昨年6月、ソウルで行われたシンポジウムで脱北女性たちに対する人権侵害を告発した。


脱北女性の人権侵害については、これまでも当事者から告発されている。例えば、脱北して現在は韓国在住のキム・チャンミさんは2007年に中国へ逃れたが、北朝鮮に強制送還され、拘留場、集結所、教化所に収監された。


この時、彼女は、北朝鮮の収容施設で当局幹部により性的虐待され、妊娠させられ、さらに麻酔もせずに中絶手術をされたというのだ。


今回の討論会では、中国で妊娠した脱北女性たちが北朝鮮へ送還される場合、強制的に中絶手術をされるケースが多いとも報告された。


妊娠の経緯はともかく、脱北女性らのなかには、人身売買で中国に送り出された北朝鮮の女性たちもいる。彼女たちは何の法的保護も受けられない状態でアダルトビデオチャットへの出演を強制されている。こうした環境に置かれれば、好むと好まざるにかかわらず妊娠に至ることも起きるだろう。


さらに、キム・ソヒ氏は、「女性は事実上、政治的・公的活動が遮断されているうえに、妊娠と避妊、性感染症などに関する保健教育もしっかり受けていない」と報告した。


韓国の北韓戦略情報サービスセンターによると、北朝鮮では2010年12月初めから梅毒に感染する人が急増した。中でも15〜20歳までの女子高生、女子大生の間での感染が爆発的に増えた。


事態を重く見た金正日総書記は、「99常務」と呼ばれるタスクフォースを立ち上げ、全国で性感染症の検査を行ったが、「性感染症の検査」という名目では行われなかった。これは、隠蔽しているのではなく、性について公の場で語ることを避ける社会的風潮によるものだという。


性教育の不在によって、女性がいかに身を守るかという知識を持つことができず、女性が不利な立場に立たされることが多い。


韓国の統一省によると、同国に定着する脱北者の85%が女性で、その割合は年々増加現象にある。理由は、本稿で指摘したように金正恩体制の下で女性の人権が蹂躙されており、女性にとって住みづらい社会だからだ。


金正恩氏は、米朝首脳会談で人権問題が取り上げられることを最も警戒している。今回の受賞発表に、北朝鮮がどのような反応を示すか大いに気になるところだ。

デイリーNKジャパン

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