【現地写真ルポ】ウクライナ・ヘルソン、家が被弾しても生きていく街と住民

2023年7月13日(木)6時0分 JBpress

前々回、前回に引き続き、ウクライナ・ヘルソン州の最新状況をお届けする。

6月6日のカホフカダム決壊で発生した洪水被害に対する緊急支援は一段落したが、戦闘による砲撃音は1カ月ほど前とは比べものにならないくらい激しくなっている。大河ドニプロ川を挟んでウクライナ、ロシアの両軍が砲撃を繰り返している。

2022年7月に崩落したアントニウスキー橋付近はもちろん、川から離れた住宅地でも毎日繰り返される砲撃の応酬で、いつ被弾をしてもおかしくないという。実際、2〜3日に1回は被弾して、死傷者が出ている。現地住民のサポートを得て取材した内容を、写真ルポの形で伝える(写真はすべて筆者撮影)。

(小峯 弘四郎:カメラマン)

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砲撃で川に水柱が立ち上がる

 南部ヘルソン州のドニプロ川にかかるアントニウスキー橋(写真1)を挟んで、ロシア軍との戦闘が続いている。この橋は、2022年7月、ヘルソン市を占領していたロシア軍の補給路を断つためウクライナ軍がミサイル攻撃した。

 橋の近くではドニプロ川を挟んで、ウクライナとロシアとの戦闘が続いている。写真2はロシア支配地域の岸近くでミサイルの攻撃によって水柱が上がったのをとらえたもの。このあたりでは戦闘による爆発音が日常的に聞こえてくる。写真3のように川の道路脇には砲弾が置かれている。


ロシアのスナイパーから逃れるため車は猛スピードで走る

 橋付近の通りは、ほとんどの住宅がロシア軍の砲撃によって被害を受けている(写真4、写真5)。絶えずロシア軍の砲撃を受け続けているため、道路を走る車はロシア側から狙われる確率が高く猛スピードで通過しなければならない。ヘルメットと防弾チョッキを着用した筆者を乗せた車も、橋に続く道路に差し掛かったところで急激にスピードをあげた。

 見通しが良いため、ロシア側のスナイパーが常に狙っているとのこと。とにかく全速で通過する以外に、リスクを避ける方法はないそうだ。周辺には焼けた車両が放置され、バリケード用のタイヤが積まれている(写真6)。


住宅地も絶えずミサイル攻撃に

 周辺の村では現在、電気のない生活を余儀なくされている。付近の住民たちは発電機のある場所まで携帯電話の充電をしに来ている(写真7)。

 住宅地も絶えずミサイル攻撃にさらされている(写真8)。民家に被弾して多くの被害者が出ている。それでも住民は生きていかねばならない。写真9はミサイルが着弾した方向に歩いていく女性の姿。

 写真10は、つい先日まで炊き出しを行っていたという建物。ミサイルが着弾してまだ間もないようで、中には煙が立ち込めており、近づくとまだ熱が伝わってきた。


川には地雷を警告する立て札が

 ヘルソン市はカホフカダム決壊により、洪水の被害を多く受けた地域だ。水が引いたとはいえ、元には戻らず、公園にある遊具や草むらは泥だらけのままになっている(写真11)。

 カホフカダムの決壊による洪水で地雷が広い地域に流出してしまった。ドニプロ川の近くには流された地雷を警告する立て札が立てられている(写真12)。


粛々と続くボランティア活動

 厳しい状況だが、ボランティアが粛々と活動している。砲撃される危険がある中、大量の飲料水がボランティアによって住民に届けられる(写真13、写真14)。

筆者:小峯 弘四郎

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