セイコーエプソンがバイオマス発電所の建設へ、2026年度中の稼働開始を計画

2024年2月8日(木)14時9分 マイナビニュース

自社発電所としてバイオマス発電所の建設を計画
セイコーエプソン(以下、エプソン)は、長野県飯田市の桐林クリーンセンター跡地に、エプソンの自社発電所としては初めてとなる「南信州バイオマス発電所」を建設すると発表した。
今後、土地や建物の契約、発注、発電に関わる申請などを進め、2025年度前半までに認可を得て、2025年度中には着工。2026年度中の稼働を目指すという。
グループの国内電力使用量の2〜3%をカバー
セイコーエプソン 生産企画部兼地球環境戦略推進室の小須田直紀部長は、「建設を計画している南信州バイオマス発電所の想定年間発電量は1400万kWhとなり、セイコーエプソングループが国内で使用する電力使用量の2〜3%をカバーできると想定している。また、運用をしながら、さらに効率化していくことになる。エプソンでは、化石燃料に依存しない100%再生可能エネルギー化をすでに実現しているが、これを継続的に維持していきたい」と語った。
エプソンが建設する南信州バイオマス発電所は、南信州エリアの未利用材(木材)やバーク材(木の皮)、キノコ培地も燃料に使用するほか、エプソングループの社内から排出する木製パレットや、梱包用木材も燃料として活用することになる。
「物流に使用する木製パレットなどは、使われなくなると外部業者に委託して処理をしてもらっているが、これらも資源として活用し、ゼロエミッション化を図る」という。
また、山林に放置されている未利用材やバーク材などの林地残材を活用することで、森林整備にも貢献することができるとしている。
「エプソンは信州に本社を置き、多くの拠点がある。山の中にある企業であり、森林整備にも貢献したい」と述べている。
FIP制度で環境価値を創出
バイオマス発電所新たに建設する場所は、2017年12月まで、南信州広域連合が稼働させていたゴミ焼却などを行う桐林クリーンセンターの跡地であり、敷地面積は3万2200m2、発電出力は1990kW。投資額は数十億円規模を想定している。
発電した電力は、FIP制度を活用して市場に販売。発電によって生み出された環境価値をエプソンが使用することで、自社で使用する電力を再エネ化する仕組みになる。
さらに、災害発生時などには、避難場所をはじめとして電力を必要とする地域施設に対する電力供給を行うことも想定し、地域への貢献を果たす考えも示した。
なお、建設の認可については、燃料調達の安定性が求められ、長野県内のほかのバイオマス発電所への燃料供給量に影響が出ないようにすることが求められるが、多くのバイオマス発電所で利用している未利用材の使用比率は半分以下を想定しており、「燃料調達の点で、他のバイオマス発電所には影響を与えないというメリットがある。持続的に稼働できるシミュレーションができている」と説明した。
また、昨今では、バイオマス発電所において、火災が発生するといった事案があるが、これらにはペレットを燃料に使用しているという共通点があることを指摘。「火災が起きにくい燃料を使用することも重要であり、その点でも有効である」と述べた。
社会全体の再エネの活用および普及へ
エプソンでは、「環境ビジョン2050」を2021年3月に改定し、2050年に「カーボンマイナス」および「地下資源消費ゼロ」を達成することを目標に掲げている。
それに向けて、再生可能エネルギーの活用を推進し、脱炭素化の達成目標に向けた重要なテーマに位置づけている。
2021年11月には、国内の製造業では初めて、国内拠点における使用電力のすべてを再エネに転換。さらに、2023年12月には海外拠点のすべてを再エネ化することで、エプソングループの全拠点において、使用する電力の100%再エネ化を達成している。
自社発電については、これまでは拠点の屋根や敷地内などに設置した太陽光発電だけだったが、新たにバイオママス発電を加えることで、外部からの調達割合を下げながら、継続的な再エネ活用を推進することを目指すという。また、これらの取り組みを通じて、社会全体の再エネの活用および普及にもつなげる考えだ。
「再エネへの関心は世界的に高まっており、欧米の企業では、再エネを使用していることを取引条件に加える例もある。太陽光発電は、計画から設置、発電までが短期で済むが、バイオマス発電所の建設には一定の期間がかかる。だが、24時間稼働できること、天候に左右されずに、安定した発電ができるというメリットがある。それぞれのいいところを組み合わせながら、再エネ利用を促進し、再エネの普及活動にも取り組んでいく。エネルギー削減や資源循環を推し進めることで、環境ビジョン2050の実現につなげたい」と述べた。
エプソンでは、自社発電の比率を増加させることで、RE100の技術要件にも対応する考えを示したほか、将来的には、発電時に発生するCO2の固定化に向けた技術開発を行うなど、資源循環型の発電所を目指す方針も明らかにした。

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