バルカー、フッ素樹脂加工品の見積もりをDXするデジタル調達サービスを開始

2024年3月6日(水)6時57分 マイナビニュース

バルカーは3月5日、半導体装置部品材料としても用いられるフッ素樹脂加工品の図面データをクラウド上にアップロードするだけで、即時かつ無料で見積もりを行うフッ素樹脂加工品向けデジタル調達サービス「Quick Value」を発表。これに際し同社は記者発表会を開催し、新サービスの強みや狙いを説明した。
○急速なDXが求められる製造業の見積もり業務
慢性的な人手不足が表面化している製造業の現場では、サプライチェーンを通じてDXによる省人化が求められている。しかし購買や調達を担当する部門ではDXが進んでいない傾向が強く、未だに属人的かつ人手に頼った作業が行われているのが現状だ。中でも図面を基にした加工部品の調達は、部品形状や仕様、材質などの各条件を把握した上で加工先の絞り込みを行う必要があり、経験に基づく判断が求められていた。
さらに近年では、半導体業界の急激な需要拡大に加え、コロナ禍や政情不安などによってサプライチェーンが混乱し、部品調達におけるQCD(Quality・Cost・Delivery)のバランスが不安定となっている。そのため、安定的な生産に向けた材料確保を可能にするためのDXに対するニーズが高まっているという。
○半導体製造装置に不可欠なフッ素樹脂加工品に特化したサービス開発に着手
こうした状況は、半導体製造装置に用いられるフッ素樹脂加工品にも当てはまる。特にフッ素樹脂加工品は、メーカーが専用に設計した部品として調達する必要があるため、担当部門では数多の図面加工品についてそれぞれ委託加工先へと見積もりを依頼する必要が生じる。また見積もりを行った場合でも受注に至るものは一部であり、実際の製造に至らない場合には見積もりの作業コストが無駄になる。
70年以上にわたってフッ素樹脂製品を取り扱うバルカーは、こうした非効率的な部品調達の実態を改善するため、そのDXを可能にする新たな方法の確立に着手。同社が注力しているデジタル化に伴い、デジタル見積もりサービスの開発を目指したとする。
○原則2時間以内での見積もりを可能にするQuick Value
新サービスのQuick Valueは、図面データをアップロードすることで原則2時間以内に見積もりを作製するというもの。図面データは3D CAD(STEP形式)と2D図面(PDF、TIFF、dxf形式)の双方に対応しており、どちらか一方のみでも見積もりは可能で、両方がそろえばより短時間での見積もりが可能になるという。
またリング形状の部品であれば図面は必要なく、画面上に図示された箇所の寸法を入力することで設計データの入力が可能。その後は数量や材質などを選択することで、「価格優先」と「納期優先」の2通りの見積もり結果が表示される。また数量が増加した場合の価格割引を反映させることも可能で、1度見積もりを行った案件の数量変更では2分以内に再見積もりが可能だとする。
溶接をはじめとする複雑な形状の部品についても見積もりが可能な点も、Quick Valueの強みとのこと。多少時間は要するものの、図面の難易度に応じて最適な加工先を選定し、見積もりを提示するとしている。
○見積もりまでのサービスは無料で利用可能
その後、提示された結果を基に見積書の作成や実際の発注が可能となる。なお、Quick Valueの利用において費用が発生するのは発注のみで、サービス利用アカウントの発行や見積もりの作成には費用がかからない。
こうしたサービス設計に至った経緯について、バルカー 取締役副社長の中澤剛太CDOは、「もともとこのサービスが生まれたのは、小規模な顧客に対して見積もり作業のDXを実現させるため。それを実現するには、サブスク型の料金体系よりも見積もりまでを無料にする方が効果的だと考えた」と話した。
○長年の信頼を活かしたデジタルサービスの提供へ
なお、Quick Valueで発揮される同社の強みとして、長年フッ素樹脂加工品を取り扱ってきた実績に基づく信頼があるとのこと。厳しい品質基準や審査制度をクリアした数十社の加工パートナーの中から、最適な見積もりを提供できる点に加え、半導体をはじめとするさまざまな業界で実績を重ねている「バルフロンPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)」のみを使用し、高い精密さが求められる領域にも使用できる製品が提供されることも特徴とする。
バルカーは、当初はPTFEのみを対象とするQuick Valueを他素材へと展開させていくなど、さらなるサービスの充実を図るという。また各設備に応じた素材や部品の形状の対応可否や納期など、より細かな自動・即時見積もりを展開していくとしている。

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