Tor、検閲回避のためHTTPSプロトコルによるWebトンネル開始 - 中国が摘発強化

2024年3月14日(木)10時9分 マイナビニュース

Torプロジェクトは3月12日(米国時間)、「Hiding in plain sight: Introducing WebTunnel|The Tor Project」において、Torネットワークに対する検閲を回避するため、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)プロトコルを使用したWebトンネルを正式に導入したと伝えた。このWebトンネルはHTTPSのWebトラフィックと確実に融合されるため、Tor接続のブロックは困難になるとしている。
○Torと検閲の戦い
インターネットには善悪関係なくさまざまな情報が流通しており、政治を批判する情報も存在する。そのため、インターネットは一部の政治組織にとって体制を脅かす存在となっている。しかしながら、インターネットは経済活動と切り離すことのできない重要なインフラとなっており、そのすべてを禁止することはできない。
そこで、中国は「グレート・ファイアーウォール(GFW: Great Firewall)」と呼ばれる大規模なインターネット検閲システムを構築し、必要な情報だけを流通させて、政治体制を脅かす情報は検閲によりブロックしている。
Torは匿名性の高い通信を提供できる通信プロトコルまたはそのリファレンス実装。その匿名性の高さから独裁国家の国民などから検閲回避のために利用されてきたが、中国はTorを使用するユーザーの摘発を強化しており利用が難しい状態となっていた。
Torはこのような中国の検閲を回避するために、通信の遮断が困難なHTTPSプロトコルを用いたWebトンネルの提供を開始した。このWebトンネルは既存の「HTTPT」にヒントを得て実装されたという。このWebトンネルを介した通信は標準的なWebアクセスの通信に見えるため、Torの通信だけを分離してブロックすることは困難とみられている。
○Torの問題点
Torの強化は検閲に苦しんでいる国民にとっては朗報となり得るが、問題点も存在する。Torはその匿名性の高さからサイバー犯罪に悪用されており、窃取した情報の売買やランサムウェアの身代金交渉などに利用されることがある。そのため、一部ではTorの出口ノードとみられるIPアドレスの通信を遮断する動きがある。
Torプロジェクトはこのような悪用を認めておらず、「インターネットは情報を共有し、人権を守り、連帯を構築するために不可欠のものだ」と述べ、善意に基づいて広く活用することを求めている。

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