カメラスペックが向上した「Galaxy S24 Ultra」の性能チェック

2024年4月22日(月)12時5分 ITmedia Mobile

Galaxy S24 Ultraで撮影中。前モデルは左右の端がカーブしていたが今回はフラットに

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 「Galaxy S24」と「Galaxy S24 Ultra」。大きさやペンの有無もあるけれども、カメラ部は見た目以上に違う。
 一見、S24とS24 Ultraの違いは望遠カメラ……に見えるのだけど、実は全部のカメラのスペックが違う。「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」の関係と同じだ。今回はS23 Ultraとも大きく変わった点も含めて、順番にチェックしていこう。
●「超広角カメラ」が違う!
 超広角カメラはS24とS24 Ultraのどちらも13mm相当で、約1200万画素センサーと同じものを使っているっぽいように見えるけど、実は≪S24は固定フォーカスなのに対して、S24 Ultraの方はAF(オートフォーカス)機能を搭載している。
 これは、フォーカスエンハンサー機能の有無に影響している。超広角カメラの方がより近くまでピントが合う設計となっているため、
超近距離撮影の時、自動的にカメラが超広角に切り替わるのだ。俗にいう「マクロ機能」である。
 フォーカスエンハンサー時は、超広角カメラのデジタルズームになるので、画質はちょっと落ちるけど、ぐぐっと寄りたいときに使うといい。
●広角(メイン)カメラはどう?
 メインカメラとなる広角カメラは、S23 Ultraと同じく約2億画素の大きめセンサー。ただし、基本的な出力は1200万画素相当になる。
 2億を16で割ると約1250万。それをちょっと縮小して1200万画素と記録しているわけで、4画素を1つの画素として扱うのは「クアッドピクセル」と呼ぶけど、16だとなんて呼ぶんでしょうね。
 ちなみに、カメラアプリから簡単に高画素モードを選べる。選択肢は「12MP」「50MP」「200MP」の3種類。
 ここでいきなり2億画素の写真を載せてもダウンロードするだけで大変なサイズ(1200万画素時の約7倍)になるので、部分的に見比べてみたい。
 同じ位置からを1200万画素と2億画素で撮影し、1200万画素の方を4倍に拡大して(すると2億画素の等倍と同じ大きさになる)並べてみたものだ。2億画素で撮ると、ディテールがここまで写るのである。
 「200MP(2億画素モードで撮ることがあるのか?」といわれると、まああまりなくて、クオリティーを求めるなら高画素のデジタル一眼を持ってきた方がいいといえばいいのだけど、空気が澄んだ高台で港を一望するとか、ディテールまで凝っている最新高層ビル群(なんとかヒルズなど)をピシッと撮りたいときにこのモードにしちゃうかも。
●3x望遠カメラが違う!
 S24 Ultraの3x望遠カメラは、3つ並んだ大きなカメラの横に小さなレンズがちょろっとついているだけ感あって地味だけど、これもS24の3x望遠カメラとはちょっと違う。
 どっちも約1000万画素センサーで3xの望遠レンズを備えているのだが、S24 Ultraの方がちょっとだけ大きなイメージセンサーを搭載しているのだ。話が細かくて申し訳ないけど。
 で、S23 Ultraでも思ったのだけど、メインカメラが約2億画素もあってレンズ性能もいいのだから「3xのカメラって必要?」「メインカメラの3xデジタルズームでいいんじゃね?」って思うよね。そこで、2.9x(このときは広角カメラのデジタルズームに入った)と3x望遠カメラで撮り比べてみた。
 文字の方が微妙な解像感が分かりやすいので、ちょっと離れたところに本を置いて撮り、ディテールが分かるよう拡大して並べてみたのがこちらだ。
 広角カメラのデジタルズーム(2.9x)でも十分にきれいだけど、3x望遠カメラの方がディテールがしっかりしていて、小さな文字もつぶれてない。
●S24 Ultraならではの「5x望遠カメラ」
 そして最後は5x望遠カメラ。S24 Ultraならではの望遠カメラだ。
 これがS23 Ultraから大きく変化している点である。10xから5xに倍率が下がったのだ。一見、スペックダウンに見えるが本当にそうか。
 レンズのF値は、S23 UltraがF4.9だったのに対し、S24 UltraはF3.4と進化している(数字が小さい方が光を多く取り込めて高性能と思えばよし)。さらに、センサーサイズも大きくなり、画素数もS23 Ultraが約1000万画素だったのに対し、S24 Ultraは約5000万画素に進化したのである。
 S23 Ultraでは3xの次がいきなり10xとかなり飛んでたわけで、カメラとしてはS24 Ultraの1x→3x→5xの方がズーム倍率を調整しやすくて扱いやすい。
 じゃあ、S23 Ultraの10x望遠カメラとS24 Ultraの5x望遠カメラの10x同士で比べてみよう。撮影時期は1年ほど違うけど、まあ同じ場所から同じものを撮っているので比較はできる。
 ほぼ遜色なし。10xにしても普通に使えるのだ。
 30x望遠に上げるとどうか、というと、ちょっと差が出るかな。
 こんな具合である。
 S23 Ultraで10xの約1000万画素だった超望遠カメラが、S24 Ultraでは5xの約5000万画素になった。10x望遠はインパクトはあるけど、日常の使い勝手では5xの方がいいし、5000万画素センサーだけあって10x時の画質も悪くない。これは良い。
 では、次のページからは「iPhone 15 Pro Max」と取り比べてみよう。
●iPhone 15 Pro Maxと撮り比べ
 後半は、超広角/広角/5x望遠という構成が同じのライバル機(といっていい?)、iPhone 15 Pro Maxと撮り比べてみよう。
 まずは普通に広角カメラ。iPhone 15 Pro Maxはデフォルトが2400万画素記録なので、それで撮っている。
 まあどっちも優秀だ。
 では5x望遠対決。このくらいなら差はまずでないが、Galaxy S24 Ultraの方が彩度とコントラストが高めで、キリッとしている。
 さらに、10xにして比較。
 こうなるとS24 Ultraの方がディテールがちゃんと出ている。
 「じゃあ限界対決だ!」と、iPhone 15 Pro Maxの最大望遠(25x)にS24 Ultraも倍率を合わせて遠くの時計を撮影し、部分拡大してみたら、予想以上に差がついた。
 S24 Ultraの方がディテールを残すべきところは頑張って残し、ディテールが不要なところはうまくつぶしてのっぺりとさせてメリハリを付けるという上手さがある。
 次のページで、他の作例もちょいと比較してみよう。
 まず5xで電車。逆光だったけど、これはiPhone 15 Pro Maxの方が車両が明るく撮れてていい。
 次は室内でネコ。影になっているところに黒ネコといういやらしい条件で撮ってみた。
 同じ条件で撮ったはずなのだけど(撮影日時をチェックすると7秒しか違わない)、明らかにS24 Ultraの方が明るくきれいに撮れている。
 かと思いきや、2xで撮った料理。こっちはiPhone 15 Pro Maxの方が色も明るさもいい。
 2xでもう1つ、ポートレートモードで前後をぼかして撮ってみた。どちらも手前も奥もいい感じにボケてて素晴らしい。
 最後は夜。どっちも高感度時の画質を見ようとナイトモードは使わないで撮ったはずなんだが。S24 Ultraの方はすごくツヤツヤしてて青がきれいに出ている。肉眼で見た印象に近いのはiPhone 15 Pro Maxの方なのだけど、GalaxyはGalaxyですごいなと。
 AIなどを駆使してシーンに応じた最適な写真を作ろうとする昨今、晴天下屋外のような良い条件ならともかく、ちょっと複雑な環境下になるとちょっとした加減で写りが変わるので良しあしは一概にはいえないのだが、Galaxyは「Galaxy AI」を掲げるだけあって、なかなかすごかった。
 取りあえず2日間だけ使ってわかったのは、S23 Ultraの10x望遠より、S24 Ultraの5x望遠の方が活躍するシーンが多くて便利ってことと、デジタルズーム時の処理(さすがAI Zoom)や暗所でのノイズ処理に凝っているなってこと。カメラユニットのサイズに制限があるスマートフォンにおいて、AIの活用は欠かせないのだなあと思わせてくれる。
 日本版が出たら、改めて試したいなぁ(本レビューは海外版で行った)。

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