「オスのマウスが肛門から出産」というフェイクニュース拡散中 AI悪用 40万回表示も、指摘の声なく

2025年4月23日(水)17時48分 ITmedia NEWS

拡散している投稿

 「オスのマウスが肛門から出産に成功、革新的な生殖技術の進展」という4月22日付のX上の投稿が拡散されている。投稿者は「ツイッター速報」というアカウントで、自身のブログに公開した記事のタイトルをXにも投稿。5ちゃんねるの書き込みを転載したものだが、実は5ちゃんねる上の書き込みはXで利用できる生成AI「Grok」で作ったフェイクニュース。Xの投稿に対する反応などを見るに、ほとんどの読者がフェイクに気付いていない様子だ。
 元となる5ちゃんねるの投稿は、22日午後2時ごろに書き込まれたもの。「オスのマウスが肛門から出産に成功、革新的な生殖技術の進展 **2025年4月22日、上海発**」(原文ママ)として、「上海の研究チームが、オスのマウスが肛門から子を出産させることに成功したと発表した」とするニュースについて説明するものだ。
 しかし、末尾にはGrokでの生成結果を共有するリンクが。遷移すると、Grokが全く同じテキストを「架空のニュース」と明示して解説しているページに飛ぶ。ユーザー側がフェイクニュースを作るように指示している様子も見られる。書き込みには150件超の返信があるが、ほとんどはその内容を素直に受け止めた上での反応だった。中にはニュースの信ぴょう性自体を疑う声もあったものの、AIで作られたことを指摘する投稿はなかった。
 ツイッター速報は同日午後4時ごろまでに、この投稿をフェイクだったり、AIの情報をソースにしたものと表記したりせず記事化。Xにも投稿し、23日午後1時半時点で約3000リポスト、6500いいね、40万インプレッションを集めているが、リプライ欄にもフェイクの可能性や、ソースについて指摘するものはなく、コミュニティノートもついていなかった。
 X上でGrokを呼び出せる機能を使い、ファクトチェックを頼んでいるユーザーもいたものの、当のGrokもフェイクの可能性を指摘できていなかった。引用欄にはフェイクであることを指摘する声が数件あったものの、ほぼ拡散されていない状況だ。
 海外では事例が相次ぎ、国内でもかねて懸念されてきた生成AIの悪用によるフェイクだが、その危険性が改めて浮き彫りになったといえる。AIの高性能化に伴い、ユーザーには一層のモラルが、情報の受け手には一層のリテラシーが求められる。

ITmedia NEWS

「フェイク」をもっと詳しく

「フェイク」のニュース

「フェイク」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ