「なんか通いにくい」歯科医院の課題、デジタル化による患者体験向上で解決を

2024年4月23日(火)11時0分 マイナビニュース

突然だが、定期的に歯科医院に通いメンテナンスしている読者はどれくらいいるだろうか。ややステレオタイプかもしれないが、歯科治療といえばキーンと甲高く響くドリル音のイメージが先行し、なかなか足が向かない人も多いのではないだろうか。
何を隠そう、筆者自身がそうである。自宅の近所にはいくつも医院があるものの、何を基準にどこを選んでよいのかも分からないし、「痛いのは嫌だな」「なんか怒られそう」などと思っているうちに、結局は「また今度でいいや」と放置してしまう。歯科矯正にも興味があったものの、非常に高額であることもあり、かれこれ10年ほど諦め続けている始末だ。
2022年に日本歯科医師会が発表した資料によると、調査に参加した全国の15〜79歳の男女1万人のうち、約9割の人が「健康を維持する上で歯や口の健康は欠かせない」と回答している一方で、半数以上が歯科医院で定期的なチェックを受けていないことが明らかとなっている。
そんな折、「未来の歯科体験を生み出す」ことをミッションに掲げ、従来の歯科矯正が抱える費用の高さや通院回数の多さといった問題点に対しデジタル技術によって解決を試みるOh my teethを知った。本稿では、同社のCEOを務める西野誠氏が語った現代の歯科業界が抱える課題と、同氏がデジタル技術で見据える歯科治療の未来についてお届けしたい。
コンビニよりも多いのに選べない歯科医院、歯科業界が抱える課題とは?
猛威を振るったコロナ禍が落ち着き、ようやくマスクを外して友人と会う機会や会食、遠方への外出も増えてきた。Oh my teethが実施した調査によると、マスク緩和で美容意識に変化が見られ、20代〜50代の女性のうち約50%が口元意識の高まりを実感しているという。
加えて、約60%が歯の見た目への関心が高まっていると回答したほか、約70%が「ホワイトニング」への関心が高まっていると回答。さらに、約50%が歯列矯正への関心が高まっていると回答した。一方で、歯列矯正に関するイメージは高額な費用や治療機関の長さが主な懸念材料になっているそうだ。
当然だが、歯科治療は対面で行う必要である。加えて、通院回数や所要時間が不透明で分かりづらく、治療のために通う習慣が付きづらい。予防医療の重要性は理解しているものの、こうした理由から20代の歯科受診率は全世代で最低となっている。
西野氏は「まず大前提として、世界と比べても日本の歯科医は技術が高く素晴らしい」と語る。では、歯科医院での治療率の低さは何に起因するのだろうか。
同氏が挙げる理由は2つ。まず1つ目は産業構造の問題だ。近所の医院を思い出してもらうと分かるように、歯科は個人開業が多くチェーン展開されていない。全国に歯科診療所は6万7000ほどあるとされ(令和5年12月末時点、厚生労働省 医療施設動態調査)、その数はコンビニエンスストアよりも多い。
コンビニはチェーン展開によって全体最適化されているため、全国のどの店舗に入ってもあまり変わらない体験が得られるが、反対に歯科は個別最適化が進む。医院ごとに虫歯治療やインプラントなど特異な領域が異なるものの、そうした情報発信や集客の手法も個別に行われるため、選び方が分かりにくい。言うなれば"歯医者ガチャ"ではないかと筆者は思っている。
2つ目の理由は、産業構造の問題にもつながるのだが、個別最適化されているためにシステムのクラウド化が進んでいないという問題。電子カルテは導入が進んでいるがデータが共有されていないため、引越しや転職に伴い転院するとまた一から問診票を記入してレントゲンを取り直して先生に説明して……を繰り返さなければいけない。
他方で、歯科医も患者が担当制であるため属人化が進んでいるのだという。情報が共有されていないので他の医師への引き継ぎもできず、働き方にも影響が出ているそうだ。
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