大学の授業をAIでサポートする「T-AI」の実証実験スタート、日本経済大学×WHITE

2024年4月25日(木)14時53分 マイナビニュース

WHITEと日本経済大学は4月25日、AIの活用によって大学教職員の業務時間削減と教育の質の向上を実現するため、教育革新パートナーシップ契約を締結した。
今回のパートナーシップ契約の締結に伴い、同日にはSTATIO日本経済大学にて締結式と業務提携に関する発表会が行われた。発表会には、日本経済大学 学長の都築明寿香氏とWHITE 代表取締役の横山隆氏が登壇し、業務提携の背景や共同で取り組むプロジェクトについて説明した。
加えて、同校の教授である田代雄三氏も登壇し、共同プロジェクトの第1弾として実施される、教授の授業支援を行うTA(Teaching Assistant/教授の助手)の役割を果たすAI搭載バーチャルアシスタントを導入し模擬授業も実施された。
日本経済大学×WHITEの業務提携
日本経済大学は、幼稚園から大学院まで全国に30以上の学校・園を展開する都築学園グループに属する大学で、福岡・神戸三宮・東京渋谷の3キャンパスを構え、約6000人の学生が通っている。
同校は、2024年春に新しいキャンパスである「STATIOIO(スタティオ)」を拠点にデジタルビジネス・マネジメント学科の展開を開始したり、同校が行う全学教育DX(デジタルトランスフォーメーション)プログラムが文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」に採択されたりするなど、DX人材の育成に力を入れている大学でもある。
今回のプロジェクトは、デジタル技術を「教育の質の向上」と「業務改善・効率化」に活用している日本経済大学とマンガ形式のDX人材育成サービス「MENTER」を提供するWHITEが教育革新パートナーシップ契約を結ぶことで、AIやオンライン学習など必要に応じてさまざまなソフトウェアを使いこなし、次世代の教育環境を創造することを目標としたものだ。
具体的には「AIを活用した伝統的な授業スタイルの変革」「情報リテラシーなどの先端教育科目の強化」「人材不足による教育の質低下に対しテクノロジーでアプローチ」という3点をプロジェクト内で取り組むという。
AI搭載バーチャルアシスタント「T-AI」
このプロジェクトの第1弾として発表されたのが、AI搭載バーチャルアシスタント「T-AI」(ティーエーアイ)だ。
「今回、日本経済大学とWHITEの両者での取り組みの第1弾として『T-AI』の開発と授業導入を実施します。T-AIを20%以上の授業に導入することで、講義の70%をアクティブ・ラーニング化し、講師の年間1000時間以上の業務時間を削減します」(都築氏)
T-AIとは、教授の授業支援を行うTAの役割をAIで実現したバーチャルアシスタントでWHITEが開発したもの。T‐AIには先生用と生徒用という2種類の用途が備わっており、それぞれの場面で最適なアシストをしてくれる。
「先生用のT-AIは、音声操作によって活用できます。音声で指示を出すことで、授業内容の記憶と要約を行ってくれるほか、音声による情報発信も実行してくれます。一方の生徒用個別AIは、各個人のスマートフォンから操作できるもので、端末からテキストで質問を送ると授業内容を踏まえてアドバイスやヒントをくれる仕組みになっています」(横山氏)
T-AIを活用することで、大教室の授業であっても学生一人ひとりの質問に対して回答を提供できるため、各人の習熟度を高めることができるほか、出席確認/提出物管理などの事務作業をアシストすることもできるという。
加えて、教授とAIが協働して授業を運営することで個別指導により近い形で学習情報提供することができるため、同校はT‐AIを通じて新たな教育環境構築を目指す。
T-AIを導入した模擬授業 生徒の反応は……?
発表会の最後には、実際の日本経済大学の学生を対象として、T-AIを導入した模擬授業が行われた。筆者が参加した模擬授業は、マーケティングに関する授業で、T-AIが提示した架空企業のプロモーションを考えるという課題に取り組む内容だった。
T-AIは架空の企業を提示するだけでなく、田代氏の指示に合わせて、企業の顧客となるターゲット層の年代や年収といったペルソナも提示するなど、授業内容に合わせた課題を出してくれるのが印象的だった。
この課題に対して、田代氏の講義内容である「広告の種類」や「企業のターゲットに対して最適な施策の考え方」といったマーケティングに関する基礎知識を元にして個人ワークとグループワークを行っていくのだが、T-AIはその中でも生徒たちに対して小さな気付きを与えてくれる存在として機能していた。
自発的に質問をしないと回答してくれないため、自分の考えや方向性をまとめるきっかけとして利用できるほか、「ECサイトを好む年代」「年収ごとの特徴」といった専門的な内容に関しても教えてくれるため、自身の考えを確信するための材料としても活用できそうだ。
最後には、授業の総括としてT-AIが作成した授業で学んだことに関するクイズを生徒全員で解き、模擬授業は終了した。授業に参加した学生は「授業終わりに先生に質問しにいくのは緊張してしまう。AI相手だと気軽に聞けて良かった」「普段の授業だと、授業を中断してまで聞く質問ではないと思って躊躇ってしまうが、授業中でも些細な内容の質問ができて良かった」とT-AIに好意的な反応を示していた。

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