世界の家電はどう違う? 前編 - 普及が進む中国のスマートホーム事情

2024年5月27日(月)18時5分 マイナビニュース

日本の家電は世界のトレンドとは異なる独自の発展をしています。そのため一部の日本家電はガラパゴスと呼ばれることも。実際のところ世界と日本の家電事情はどう違うか、15年連続で世界の大物生活家電で売上トップシェアをキープするハイアールを取材しました。前編では「スマートホーム」、後編では「家電トレンド」について紹介します。
○スマート家電の保有率が世界1位の中国
中国はスマート家電大国。アメリカの統計会社調査によると、中国のスマート家電保有率は全世界で1位。アメリカよりも高数字です。中国の家電メーカーであるハイアールも、もちろんスマート家電に力を入れています。
ハイアールのスマートホームを語る上で外せないのは、「三翼鳥」というコンセプトです。中心となる「ハイアール」ブランドのほか、高級ラインの「カサルテ」、若者向けの「リーダー」という3つのブランドを展開。さらに、日本のアクアやニュージーランドのFisher&Paykelといった各国の家電メーカーを傘下に収めています。三翼鳥とは、こうしたブランドの垣根を越えて、家全体をトータルカスタマイズするという考え方です。
家全体をコーディネートするには、スマートホームの存在も重要。IoT家電の制御はもちろん、水設備や空調といったインフラも加えて、住環境をまとめて制御することで一層の快適かつ省エネを目指します。
○電気、空気、水、住まいの基本をすべてスマートにコントロール
三翼鳥コンセプトでは、インフラのほとんどをスマートホームシステムで制御できます。
たとえば空調設備。家中のエアコン、加湿器、除湿機、床暖房といった空調設備をトータル制御することで、部屋全体の温度や湿度を快適&省エネに。部屋ごとの温度や湿度、空気の汚れやCO2濃度なども見える化します。
「水」関連も、浄水器、軟水器、給湯器などをまとめてコントロール。自宅の水設備の状態や使って水量、水質、給湯温度といった項目を、専用モニターやスマートフォン、テレビでチェックできます。
空調・水道設備に不具合があった場合は、ユーザーと修理業者で情報を共有。業者があらかじめ故障内容を知っておくことで、自宅へ修理にきたとき短時間で的確に作業できる点も大きなメリットです。
ユーザーが外出先から不具合を知ることも可能なので、シニア世帯の見守りツールとして導入を考える家庭も多いといいます。また、強い風が吹いたら自動でシャッターを閉める、起床時間になったら照明を点灯してカーテンを開けて音楽を鳴らすといった、スマートホームと聞いてイメージする機能も利用できます。
スタイリッシュなモニタリングデバイスが用意されているのも魅力のひとつ。日本の大手メーカーにも家全体の電気を制御するスマートホームシステムはあるのですが、専用モニターやインタフェースには「昔ながらのデザイン」を感じるものが多かったりします。
一方でハイアールは、スマートモニターにソリッドで高級感のあるデザインを採用。シンプルなデザインにこだわっているぶん、機械が苦手な人には操作が難しく感じられるかもしれませんが、「スマートホーム」という言葉から未来的なわくわく感が伝わってくる見た目です。「所有したい」と思わせるデザインの製品が多い点も、中国のスマートホーム化が進んでいる理由のひとつかもしれません。
日本で「スマートホーム」という言葉が広まってからだいたい10年以上たちますが、いまだスマートホームの定義はあいまい。場合によっては「IoT家電がある家」をスマートホームと呼ぶこともあります。
本来、スマートホームとは「家全体をひとつのシステムとして賢く管理・運用する」もの。家全体をコントロールすることで生活が便利になり、エネルギーの効率的な使用で省エネにもつながります。家全体のスマートホーム化は工事も費用も必要なので、手軽にできるものではありませんが、サステナブルな社会の実現という意味でも今後は日本でも普及が進んでいくでしょう。
倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら

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