売れないスマホやゲーム機がdポイントに ドコモが店頭買い取りに挑戦するワケ
2024年12月10日(火)10時5分 ITmedia Mobile
実施期間は2024年12月2日〜2025年1月31日で、期間中、ドコモショップに持ち込まれた機器をドコモが買い取る。利用者とドコモの双方が同意の上、買い取りへと進み、dポイントを進呈する。ドコモのユーザーだけでなく、他キャリアユーザーも対象となる。
トライアルの対象となる店舗は次の通り。
・豊島区
・ドコモショップ駒込店
・ドコモショップルミネ池袋店
・ドコモショップ巣鴨駅前店
・ドコモショップアイテラスアネックス落合南長崎店
・ドコモショップ池袋西口店
・ドコモショップ池袋サンシャイン通り店
・ドコモショップ大塚店
・練馬区
・ドコモショップ練馬北町店
・ドコモショップ上石神井店
・ドコモショップ東武練馬駅前店
・ドコモショップ練馬駅前店
・ドコモショップ光が丘IMA店
・ドコモショップ中村橋店
・ドコモショップ江古田店
・ドコモショップ石神井公園店
・ドコモショップ大泉学園店
・ドコモショップ保谷駅前店
・板橋区
・ドコモショップ上板橋駅前店
・ドコモショップ大山ハッピーロード店
・ドコモショップ成増駅前店
・ドコモショップ板橋店
・ドコモショップ板橋区役所前店
・ドコモショップ志村坂上店
・ドコモショップ高島平店
・ドコモショップ高島平駅前店
対象機器と進呈ポイントは次の通りとなる。
・スマートフォン(ドコモが販売した全機種、ドコモ以外の販路で販売された機種):500ポイント
・タブレット(キーボードを脱着できる機種):500ポイント
・携帯電話(折りたたみ形状、文字盤搭載):100ポイント
・ノートPC:1000ポイント
・ゲーム機(据え置き型、携帯型が対象。ゲームソフトは対象外):500ポイント
●手続きは簡単かつスムーズ 来店からdポイント進呈までの手順
実際にドコモショップ大塚店へ行き、店頭での買い取りを体験したところ、想定よりもスムーズに手続きが済んだ。流れとしてはこうだ。来店したらまずはマイナンバーカードや運転免許証などでの本人確認を行う。次に買い取りを希望する機器を店舗スタッフに提示する。
買い取りの際に購入証明書や箱、付属品は必要ないが、本体が購入時の原型をとどめていることも必須だ。多少の傷やへこみがあっても問題はないが、例えば、本来は一体となっているキーボードとディスプレイが破損し、分離してしまっているような端末だと買い取れない。
基本的にデータの初期化が済んでいることが買い取りの前提になるが、故障やバッテリーの劣化などで起動できない端末については同意書にサインの上で買い取る。つまり、利用者側とドコモショップ側の双方が同意した上で、買い取りが成立する。
同意書を読み、サインを終えたら、dポイントの進呈に推移する。手持ちのスマートフォンでカメラを起動し、dポイント進呈のためのカードに記載されたQRコードを読み取ると、「dポイントギフト」サービスのWebページに推移する。
dポイント進呈のためのカードに記載されたシリアルコードが自動入力されるので、「パーソナルデータの取り扱いに同意する」の左側のチェック項目をタップし、dアカウントでログインする。その後、「受取内容」の画面へ推移し、進呈ポイント数などを確認し、画面をスクロールして「ポイントを受け取る」をタップすれば手続き完了だ。
●「処分に困る人」への訴求に課題も 「FOMA」「iモード」終了へ向け本格展開に期待
このトライアルをドコモは「小型機器の買取り」と称するが、現金での買い取りを想起する人もいるだろう。なで現金ではなく、dポイントなのか、そもそもトライアルに踏み切った理由は何かなど、コンシューマサービスカンパニー アフターマーケットビジネス部 戦略・企画担当 山田勇樹氏に聞いた。
今回、小型機器の買い取りに挑戦するドコモは1998年から、全国のドコモショップで携帯電話のリサイクルに取り組み、近年では下取りプログラムを通じて、回収した携帯電話の一部をドコモ認定リユース品である「docomo Certified」として再販するなど、廃棄物の削減や循環型経済を推進している。
環境省によると、携帯電話をはじめとする不要品の多くが家庭に退蔵されている。山田氏は「ドコモが資源循環の推進をどう進めるか、社会課題にどのように貢献するのかを考えた結果、既存の取り組みとは別の形で実施するに至った」という。
ただ、買い取りと聞くと「現金買取」を想起する人は多いはずだが、「お客さまに還元するときの利便性や、われわれドコモのサービスを知っていただくきっかけとしての機会としても活用すべく、現金ではなくdポイントでの進呈に決めた」(山田氏)という。進呈ポイント数が最低100ポイント、最大で1000ポイントとなっているのは、「(持ち込まれる機器が)最低限、このぐらいの価値はあるのではないか?」と考えた結果だという。
それでも、ドコモは集客や利用を見込めるのだろうか? 山田氏は「どのぐらいお客さまがいらっしゃるのか、まさにそれも検証の対象の1つにはなっている」と話すが、「処分の方法が分からないという理由で、自宅に眠ったままになっていそうな機器を、今回は対象機器として選定した」ことに加え、「処分に困っているお客さまが明瞭な買取価格設定で、さっと処分したいというニーズ」を満たせるという。
今回の取り組みの主な狙いに、「回収量と回収した小型機器のリユース率を検証する」ことがニュースリリースでも挙げられているが、山田氏は「お客さまにとって、今回の価格設定がお店に持ち込むに値するのか、申し込むモチベーションになるのかも、今回の検証項目で、結果を踏まえて分析していきたい」と話す。
似たような取り組みは、伊藤忠商事の子会社であるファミリーマートも2022年2月9日から都内の25店舗で実施していた。不要になった携帯電話と引き換えに、ファミリーマートで利用可能な1000円分のクーポンを進呈する内容だったが、想定を超える台数が持ち込まれ開始3日後に中止する事態となった。
山田氏は「特定の施策を踏まえたわけではない」としつつも、「何でもいくらでもとしてしまうと、混乱を招く恐れがある」こと、「通常の他のサービスを提供してるドコモショップのサービスに支障をきたさない範囲で実施したい」こと、「ご自宅で眠っている機器を持ち込んでほしいという趣旨がある」ことから、期間中に持ち込める機器の台数の上限が、1人につき各機器3台、合計でも15台となっている。
買い取りに出した機器の行方について、山田氏は「お預かりした機器は、ドコモの管理者で責任を持って処理し、資源の有効活用につなげていく」としている。「実際、集まってきたものをどのような形で、どのように処理するかは、中身を見て検証する形になる。決まっていることはないが、すでに実施している認定中古品のように、中身を処理してきれいにした後、お客さまに再販する、そんな可能性としては入れて見ていきたい」(山田氏)
なお、「買い取れないスマートフォン、タブレット、携帯電話(フィーチャーフォン)」については、引き続き「ケータイリサイクル」として無料で引き取るとしている。
今回の実体験を通して最も気になったのは「買取り」という表現だ。ニュースリリースにもキャンペーン・特典として掲示されたWebページにも「小型機器の買取り」とあり、現金での買い取りを想起されてしまいそうだ。大まかな内容は、端末と引き換えにポイントを進呈する、キャリアの下取りと何ら変わらないため、それとの差別化要素や表現ももう少し必要だろう。
加えて、何十万円もする端末をわざわざドコモショップへ持ち込み、100〜1000ポイントにする人はいないだろうから、ドコモがもし本格展開を見込むならば、「眠っている機器をdポイントへ」ではなく、型落ちなどを理由に「買い取ってもらえず、処分に困った人」に向けた「何か」が必要なはずだ。
「FOMA」「iモード」終了の2026年3月31日に向けても、ドコモの小型機器の買い取りは、価値を磨いて意義を示せるとも感じる。「ドコモショップなら、あなたのケータイを、簡単かつ安全に処分でき、dポイント化できる」という触れ込みこそ、フィーチャーフォンからスマートフォンの乗り換え時に有効ではなかろうか。
山田氏は今後の展開について、「回収した機器の台数や中身を検証した上で、対象機器はどうするのか、価格設定はどうするのかなどを検討し、サービスを広げていけると判断した場合には、対象店舗の拡大やサービス内容拡充の可能性がある」とした。ドコモが今後、どう動くのか注目だ。