Fire TV内蔵でリモコンも付属する新型スマートディスプレイ「Echo Show 15 第2世代」 1.6倍になった価格に見合う? 試して分かったこと
2024年12月13日(金)12時0分 ITmedia PC USER
「Echo Show 15」。壁掛けのほか別売のスタンドにより立てて設置することも可能だ。実売価格は4万7980円となる
●15.6型の大画面。壁掛け以外にスタンド設置にも対応
画面サイズは15.6型と、モバイルディスプレイ並のビッグサイズだ。見た目は額縁そのもので、壁にかけて設置するのを前提としたデザインになる。操作は音声およびタッチパネルに加え、一部の操作には新たに付属したリモコンも利用できる。これについては、後ほど詳しく見ていく。
本体上部には従来モデルと同様、Echoシリーズではおなじみの音量ボタンとカメラ/マイクのオン/オフボタンも搭載されている。この他、カメラを覆うカバーのスライドスイッチもあるが、インカメラの位置が従来の左端から中央に移動したため、これらの配置も中央に変更になっている。
なお、カメラは使わない時はカバーを閉めておくのが望ましいが、外部からリモートでカバーを開けることはセキュリティ上できない。そのため本製品のカメラで室内の様子を外部から見ようとしてカバーが閉まっていた場合、離れたところからでは対処のしようがないので注意したい。
本製品には、専用オプションとして据え置き設置用のスタンドも用意されている。背面のVESAマウント(100mm)にネジ止めする仕組みで、さながら小型ディスプレイのようなルックスで利用できる。Echo Show 10のようにユーザーの声のする向きにスイングするような機能こそないが、壁掛けと違って画面の角度や向きに融通が利くことから、こちらの方が使いやすいという人も多いだろう。
●セットアップは一般的なスマートデバイスの手順と同様
セットアップは一般的なEchoの手順と変わらないが、本製品はFire TVの機能が統合されていることから、本製品のセットアップの後半はFire TVのセットアップをほぼなぞった手順になっている。
メーカーによると、従来モデルは動画の鑑賞に使われるケースが多かったとのことで、Fire TVの機能をほぼそのまま本製品に内蔵するに至ったようだ。動画を見られるということ自体は変わっていないが、大きくフィーチャーされるようになったことで、Fire TVを使える製品を探していて本製品に行き当たった……という出会いも、今後出てくる可能性はある。
セットアップが完了するとホーム画面が表示される。本製品は15.6型と画面サイズが大きいことから、画面の左半分はホーム画面、右半分はウィジェットが常時表示された状態になっている。必要に応じてこの右側のウィジェットをタップすると、それが全画面に拡大表示される仕組みだ。
また画面を上から下へとスワイプすると主要メニューが表示され、さまざまな操作を選択できる。本製品の操作のほとんどはこのメニューか、前述のウィジェットから始まることになる。この画面にいても呼び出せるこのUIはEchoではおなじみのもので、他製品の利用経験があるユーザーはすぐになじめるはずだ。
●意外と未来感のある「フォトフレーム」機能を装備
ちなみに、このメニューから「フォトフレーム」を選ぶと、絵画の全画面表示が可能になる(「時計・写真の表示」で背景を「アート」に指定している場合)。見た目が額縁そっくりという本製品の外見もあって、まるで絵画を額に入れて飾っているかのようだ。
このアート表示、画面が切り替わるまでの秒数が6秒/12秒/24秒の3択しかないのが難点なのだが(個人的には一日に一回だけ切り替わる選択肢もほしい)、未使用時はこのアート表示にしておき、必要とあらば情報端末に早変わりするというのは、まさに本製品ならではといえる未来感のある利用スタイルだ。
●Fire TVをほぼそのまま内蔵してリモコン操作にも対応
さて本製品のメインの機能の1つが、冒頭でも紹介したFire TVとしての機能だ。従来はメニューの中に「ビデオ」とあったのが、今回は「Fire TV」となり、使い勝手も統一されている。画面サイズも15.6型ということで、スマホやタブレットと比べてもかなりの迫力がある。
また本製品にはAlexa対応の音声認識リモコンが付属し、Fire TV関連の操作はこのリモコンを使って行えるようになっている。ちなみに、通常の画面でも音量調整やAlexaへの呼び掛け、さらにホーム画面とFire TV画面の切り替えなど一部操作については、このリモコンを利用できる。機能としては明らかに後付けなのだが、主要な操作だけはこのリモコンを使えるようにすることで、製品としての完成度を高めている格好だ。
ただし、気になる点もなくはない。1つはサウンドが必ずしもよいとはいえないことだ。本製品のスピーカーは側面と背面の間にある、ナナメになった面に配置されており、音は背後に抜けてしまうため、人の声などは全体的に聞き取りにくい。メーカーによると低音を強化したそうだが、全体的にくぐもった音になってしまっている印象だ。
特に壁掛けではなくスタンドに立てた状態では、音が壁に跳ね返らないせいか、この傾向は強くなる。しっかりと音を聞きたければ壁掛け設置が望ましいのだが、動画を観るのであれば壁掛けよりもスタンド設置の方が角度や向きも変えられて便利だったりする。
いずれにしても本製品において、どのように設置するかは、ある意味で製品の評価そのものに影響しかねない重要なポイントだ。事前に考えていた設置場所ではどうもフィットしない場合、思い切って設置方法ごと変えてみるくらいの思い切りは必要になる。またそのためには、いざという時に設置のやり直しができるようにしておくのがベターだろう。
●定まった製品の方向性 ネックは価格か
以上のように、ハードウェアとして大きく変わっているわけではないのだが、Fire TVを内蔵し、動画再生端末としての性格がより一層強くなっている。いまひとつつかみどころのなかった第1世代と異なり、ユーザーのニーズが分かったことで製品の方向性もしっかりと定まってきた印象だ。わざわざリモコンを追加したことからも、それは明らかだろう。
その分、実売価格は4万7980円とそこそこのお値段になった。同等サイズのモバイルディスプレイの多くが2〜3万円台で、そこに音声アシスタントやFire TV相当の機能を搭載していることを考えると妥当ではあるのだが、従来モデルはリモコン別売とはいえ2万9980円だったので、やはり割高な印象は否めない。
本製品のターゲットユーザーは、既にEchoを始めとして家庭内にAlexaが使えるネットワークが構築されているおり、既存のEchoでは満足できない人ということになるだろうが、セールで安くなる機会もあまりない製品だけに、予算面ではちょっとした覚悟が必要になりそうだ。