OPPO Find X8レビュー - Hasselbladと協業したカメラを搭載して久々に国内登場のOPPOハイエンド機

2024年12月26日(木)20時54分 マイナビニュース


●Hasselblad監修の高性能カメラ
OPPOのハイエンドシリーズ「OPPO Find X」の最新モデルとして「OPPO Find X8」が登場しました。国内では実に3年ぶりとなる同社のハイエンドスマートフォン。カメラ機能を進化させた最新モデルをチェックしました。
○Hasselblad監修の高性能カメラ
「OPPO Find X」シリーズは、同社でのハイエンドスマートフォンのシリーズです。日本国内でのリリースは2021年に「Find X3 Pro」が投入されて以来で、その間もグローバルでは機種を重ねていたため、型番は一気に「8」となりました。海外では「Find X8 Pro」もありますが、今回日本で投入するのは無印の「Find X8」のみとなります。
「Find X8」と「Find X8 Pro」の違いは、主に画面サイズとカメラスペック。「Find X8 Pro」だと3倍と6倍という2つの望遠カメラが搭載されています。「Find X8」ではカメラが1つ減っていますが、デザイン的には共通化されています。
カメラのデザインは、最近のハイエンドスマートフォンで流行の円形でカメラを強調したもの。ライバルとなりそうな「Xiaomi 14 Ultra」や「AQUOS R9 pro」よりもコンパクトですが、カメラライクでインパクトのあるデザインとなっています。
その「Find X8」のカメラのスペックですが、メインが5,000万画素のソニー製LYT-700センサーを搭載。レンズの焦点距離は24mm(35mm判換算時、以下同)、F値はF1.8。超広角カメラは5,000万画素のSamsung JN5センサーで、レンズは15mm/F2.0。3倍望遠カメラは、5,000万画素ソニーLYT-600センサーを採用しており、レンズは73mm/F2.6です。
全て5,000万画素のセンサーでピクセルビニングを活用しているため、センサーサイズ以上の画質が期待できます。
面白いのは、デジタル処理で焦点距離を細かく切り替える機能で、レンズ交換をするように画角を変えることができます。物理的な焦点距離は前述のとおり15mm/24mm/73mmですが、画面のズームボタンで「1」のところをタッチすると「28mm(1.1x)」「35mm(1.4x)」が順次切り替わります。
さらにズームボタンは「2」(48mm)があります。これもメインカメラの2倍デジタルズームです。光学倍率の「3」(73mm)は、さらにタッチすると「3.4x(85mm)」に切り替わり、さらにズームボタンとして「6」(146mm)まで用意されています。
無段階でのズームも可能ですが、タッチするたびにレンズ交換するように焦点距離が変わるので、個人的に撮影としてはより楽しく感じます。デジタルズームは最大120倍まで。かなりの高倍率ですが、画質はそれなりです。
画質を変えるフィルター機能では、フィルム写真のような効果を加えるという「フレッシュ」「エメラルド」「クリア」の3種類を加えた計15種類を用意。
画質面では、なんと言ってもスウェーデンのカメラメーカーHasselbladと密接に協業して開発したという点がポイント。実際の写真を見てみると、色のりが過剰になることもなく、自然な色合いになっています。色味にこだわったというのがOPPO側のアピールですが、自然な色合いでリアルな描写が特徴だと感じます。
メリハリのある描写で、全体的に画質は良好です。強めのHDRでややノイジーになるシーンも見受けられますが、過剰というほどではないので見栄えはします。特にメインカメラは細部まで良好に描写してくれます。
望遠カメラと超広角カメラは同等の描写性能という印象です。画質はメインカメラほどではないのですが扱いやすい画角。「Find X8 Pro」と違って5倍望遠カメラが存在しないのは残念ですが、普段のスナップ用途であれば問題ないでしょう。
Find X8は望遠カメラも大きなサイズのセンサーを搭載した点をアピールしていますが、1型センサーを搭載したハイエンドスマホだと、望遠カメラのセンサーも大型化しています。このあたり、メインカメラ以外も大型センサーで高画質化という傾向にあるようです。
カメラの機能としてはオートモードに加えてプロモードや動画、ポートレートといった一般的な機能を搭載しているほか、「XPAN」が特徴的です。これはHasselbladで特有の約1:2.7というアスペクト比のモード。面白い画面効果なのではまると楽しい機能です。
カメラの画角を細かく変更できる機能といい、このXPANといい、撮影の楽しさを追求している点が魅力です。最近はハイエンドスマホのカメラがより本格的な方向になっていますが、1型センサー搭載とまではいかないものの、その分コンパクトに仕上がっているのが「Find X8」の特徴です。
高速連写と被写体のスピードを検出してシャッタースピードなどを調整してブレを抑えるという機能もあります。シャッタースピードとISO感度を上げつつ、画像処理も加えているようですが、画質面では劣化するものの被写体ブレが抑えられるのは便利です。
撮影例
●最高クラスのパフォーマンス
○最高クラスのパフォーマンス
「Find X8」は約6.6型FHD+(2,760×1,256)のAMOLEDディスプレイを採用。リフレッシュレートは最大120Hz、タッチサンプリングレートは初期設定120Hz/最大240Hz、色域はDCI-P3比100%、輝度は通常800nits/日光下で最大1,600nits/最大4,500nitsというスペックです。
本体サイズは約H157×W74×D7.9mm、約193gで、比較的コンパクトで持ちやすいサイズ感。ハイエンドスマホは画面もサイズも大きくなりがちなので、バランスの良いサイズに感じます。
本体左側面の上部はに「アラートスライダー」を搭載。上中下と3段階でスイッチをスライドさせ、素早くサイレント/バイブレーション/サウンドオンを切り替えられるというものです。
単なる音量スイッチなので、どこまで便利かというと少し疑問はあります。頻繁にバイブとサウンド音を切り替えるという使い方なら便利でしょう。スイッチを動かすと、画面中央上部、インカメラ付近に黒いバーが現れます。
iPhoneのダイナミックアイランドのような表示ですが、「Find X8」ではこの通知を「ライブアラート」、黒いバーを「カプセル」と呼ぶようです。音楽再生/画面録画/パーソナルホットスポットといった一部の機能で通知がカプセル表示になります。ただ、すべてのアプリでカプセル表示になるわけではないようで、これら以外は普通のAndroidの通知になります。
SoCは最近、ハイエンドスマホ市場でも存在感を高めている台湾MediaTekのDimensity 9400。メモリは16GB、ストレージは512GBを搭載します。
というわけで、気になるパフォーマンスに関してベンチマークテストを実施してみました。
Snapdragon 8 Gen 3を搭載する「Galaxy Z Fold6」と比較してみましたが、全体的にそれを上回るパフォーマンスとなっており、ハイエンドにふさわしいスペックとなっていました。
実際のパフォーマンスに関して、不足を感じることはありません。後述するAI利用にとってもパフォーマンスは重要なので、このあたりは今後ハイパフォーマンスというのはさらに重要になってくるかもしれません。
●AIのテキスト処理は日本語が後日、画像処理でAIを活用
○AIのテキスト処理は日本語が後日、画像処理でAIを活用
AIに関しては、日本語対応が2025年3月以降とされていて、AI文書アシスタントやAIツールボックスといった機能がまだ利用できません。日本語に対応されれば、文章の要約やライティング機能、メールの返信などが可能とされています。
日本語を使わないAI写真編集機能やAI Studioはすでに利用できます。写真アプリから「編集」→「AIエディター」と選ぶと、鮮明度強化/AI消しゴム/ぼけ除去/反射除去の4つの編集機能が選べます。
鮮鋭度強化は、デジタルズームの画質をAIで強化するという機能です。デジタルズームよりは画質が改善される可能性もあるので、取りあえずデジタルズームをして画質がぼやけてしまった際に使って見ると良くなる可能性があります。ピクセルビニングを解除して5,000万画素で撮影した画像の鮮鋭化に使うと良さそうな印象でした。
AI消しゴムは、画像内の余計なものを消し去るというよくある機能です。人物であれば自動選択してくれますし、人物以外も指でなぞって選択することもできます。AIが消した後を補完してくれるので、完璧とは言わないまでも、それなりに自然な見た目にしてくれます。
AI反射除去は、窓ガラスなどに反射した像を消去してくれるというもの。反射は複雑なので手動では消すのはなかなか難しいものですが、AI反射除去を使うとなかなかきれいに消し去ってくれます。窓ガラス越しの景色で自分が写ってしまう、といった場合にも効果があるようです。
いずれもAIを使っているため、うまくいかないこともあり、何度か繰り返すとうまくいく場合もあります。オンライン環境が必須で処理にはそれなりに時間もかかるので、ここぞというときに使ったり、時間が空いたときに試したりすると良さそうです。
AI Studioは、写真からAIが画像を生成するアプリで、自分の写真をアップロードして様々なシチュエーションの画像を生成したり、画像のスタイルを変更したりできます。1枚の写真で様々なシチュエーションの自分の写真を生成できるのは面白いのですが、自分で試したところ、あまり日本人っぽくない画像になってしまって、あまりうまくいきませんでした(面白い写真にはなりました)。写真の撮り方や顔立ちによってはハマるかもしれません。
テキスト関連のAI機能が日本語に対応してからが本番かもしれませんが、現状でも十分楽しめる、実用的なAI機能を搭載しています。
今回紹介した「Find X8」のAI機能はクラウドを使うものでしたが、ローカル処理のAI機能が増えると、端末自体のパフォーマンスも重要になります。その意味では、今後ローカル処理のAI機能が増えても、「Find X8」は安心のパフォーマンスで、長く使えそうです。
●便利な機能も満載、iPhoneとのエアドロも
○便利な機能も満載、iPhoneとのエアドロも
「Find X8」はほかにも、グラファイトシートと大型ベイパーチャンバーによる高い冷却性能、5,630mAhの大容量バッテリー、有線で80W、ワイヤレスで50Wの急速充電性能などの機能を備えています。マグネットは内蔵されていませんが、マグネット内蔵の専用ケースを使えばQi2互換のワイヤレス充電で、iPhoneのMagSafe対応機器を使えます。
IP69という80度のお湯にも耐える防水性能、Corning Gorilla Glass 7iなどによる耐衝撃性能など、タフネス性能が高いのもうれしいところ。
iPhoneとのワイヤレスデータ共有機能を搭載している点も興味深いところです。別途「O+ Connect」アプリをiPhoneにインストールする必要はありますが、同じOS上でしかデータ交換ができないAirDropやクイックシェアとは異なり、Androidの本機とiOSのiPhoneの間でデータ交換ができます。
使い方はAirDropやクイックシェアとそれほど大きな違いはありませんが、この機能でiPhoneと画像を共有する場合は最初に位置情報やデータへのアクセスなどにやたら許可を出さなければならない手間があります。また「Find X8」側のWi-FiにiPhoneを接続するため、最初に少し時間がかかるという面倒もあります。
ただ、いったん接続すればデータ共有は高速。正直なところ、OPPOとGoogleが協業し、この機能をクイックシェアに取り込んでOS標準でiOSとのデータ交換ができるようになれば(もしくは単純にAirDropとクイックシェアの相互接続ができるようになれば)いいと思います。
「OPPO Find X8」はHasselblad監修のカメラ性能が大きな売りのカメラスマートフォンですが、サイズ感を含めた使い勝手も優れていて、カスタマイズOSであるColorOSもだいぶこなれています。
例えばIIJmioで購入するのであれば、2025年2月3日までの期間限定ながらMNPなら10万円を切る94,800円という圧倒的なコストパフォーマンスも見逃せないでしょう。タイミングがあえばぜひ検討したい製品です。

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