【金沢工業大学】マイクロ波から直流への5W・10W級の電力変換で世界最高変換効率。ドローンへのワイヤレス給電など社会実装も視野に
Digital PR Platform2023年5月31日(水)20時5分
ワイヤレス電力伝送(無線電力伝送)の研究に取り組む伊東健治研究室の大学院生 廣瀬裕也さんと古谷尚季さんの2名が国際学会「2022 Asian Wireless Power Transfer Workshop」でStudent Awardを受賞しました。
(2名とも受賞時は大学院修士課程1年)
いずれもマイクロ波から直流への電力変換で世界最高の変換効率を達成した研究成果を発表したもので、当研究は内閣府が国の研究開発プロジェクトとして推進する『戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)』「IoE社会のエネルギーシステム」*の重要な研究成果の一つとして位置づけられています。
ワイヤレス電力伝送(無線電力伝送)の研究に取り組む伊東健治研究室の大学院生 廣瀬裕也さんと古谷尚季さんの2名が国際学会「2022 Asian Wireless Power Transfer Workshop」でStudent Awardを受賞しました。
(2名とも受賞時は大学院修士課程1年)
いずれもマイクロ波から直流への電力変換で世界最高の変換効率を達成した研究成果を発表したもので、当研究は内閣府が国の研究開発プロジェクトとして推進する『戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)』「IoE社会のエネルギーシステム」*の重要な研究成果の一つとして位置づけられています。
限られた面積で大電力のマイクロ波を受電・整流する必要があるドローンなどの飛翔体へのワイヤレス電力伝送を可能とする画期的な技術として、今後の社会実装が期待されています。
当記事の詳細について
工学部電気電子工学科 伊東健治教授の研究室(専門:マイクロ波工学)ではワイヤレス電力伝送の研究に取り組んでいます。伊東研究室が扱うマイクロ波の電波を用いた無線電力伝送システムは、2022年5月に法制化され、実用化が進められています。
伊東研究室では2022年度に無線電力伝送関連で、国の研究開発プロジェクト4件と、企業との共同研究9件を実施。2023年度も引き続き同規模の研究を進めています。
こうした取り組みの中で、伊東研究室は世界最高の性能を有するいくつものデバイスを生み出してきました。
2022年度はコロナ禍の収束状況のなか、対面での国際学会が再開され、伊東研究室の廣瀬裕也さんと古谷尚季さんは、2022年12月5日(月)・6日(火)に京都大学で開催されたワイヤレス電力伝送に関する国際学会「AWPT 2022 Asian Wireless Power Transfer Workshop」で研究成果を口頭で発表しました。
ワイヤレス電力伝送は、その巨大な産業応用の可能性から、最もホットな研究テーマの1つとなっています。「Asian Wireless Power Transfer Workshop」(AWPT)は、近年、研究レベルの伸張が著しいアジア地域における無線電力伝送に関する国際学会として2015年から開催されています。
AWPT2022では日本・台湾から計44件の論文発表があり、伊東研究室からは坂井 尚貴研究員と、大学院修士課程1年の廣瀬さん、古谷さんによる論文3件の発表を行い、うち学生による発表2件がStudent Awardを受賞しました。
【受賞した廣瀬さんの研究概要】
廣瀬さんは5.8GHz帯の10W級整流回路ICの発表を行いました。大電力でかつ高整流効率を実現するスイッチング素子の条件を求め、これを1.15mm×1.8 mm×0.1mmのGaAs(ガリウム砒素)基板に集積化しました。5.8GHzを16.2W入力時に71.4%の効率を達成し、11.6Wの直流電力を得ることができました。これは10W級の電力変換では世界最高変換効率となっています。
廣瀬さんは、学部4年生のときに設計、ICのレイアウトを行い、大学院進学後に電気性能、熱性能の評価に取り組みました。
[発表題目]
5.8GHz band 10 W-class double voltage rectifier MMIC with 0.5 μm E-pHEMT gated anode diodes
[受賞者] 廣瀬裕也さん
[著者] 廣瀬裕也さん(発表者)、坂井尚貴研究員、伊東健治教授
[指導教員] 伊東健治教授
【受賞した古谷さんの研究概要】
古谷さんは5.8GHz帯の5W受電レクテナ*の発表を行いました。2020年に世界最高効率を達成し、伊東教授が名古屋大学の天野 浩 教授と共同でプレス発表を行った1W受電レクテナを更に大電力化したものです。
古谷さんは大電力化にともなう熱を放熱するために、新たに窒化アルミニウムのアンテナを開発。さらに高電力整流を実現するスイッチング素子のサイズを求める手法を明らかにしました。
これにより5.8GHz 5W入力時に世界最高変換効率である85.2%を達成し、4.3Wの直流電力を得ることができました。古谷さんは、学部4年次のときにアンテナ設計を行い、大学院進学後に全体の電気性能、熱性能の評価に取り組みました。
*レクテナ(rectenna)
整流器(rectifier)とアンテナ(antenna)を組み合わせて、電磁波を直流電流に変換するデバイス
[発表題目]
5.8 GHz band 5W rectenna with GaAs E-pHEMT gated anode diodes
[受賞者] 古谷 尚季さん
[著者] 古谷 尚季さん(発表者)、桔川洸一さん(卒業生)、小松郁弥さん(卒業生)、内山海渡さん、坂井尚貴研究員、伊東健治教授
[指導教員] 伊東健治教授
いずれの発表も、限られた面積で大電力のマイクロ波を受電・整流する必要があるドローンなどの飛翔体へのワイヤレス電力伝送を可能とする画期的な技術成果であり、今後の社会実装が期待されています。
▼本件に関する問い合わせ先
金沢工業大学 広報課
住所:石川県野々市市扇が丘7-1
TEL:076-246-4784
FAX:076-248-7318
メール:koho@kanazawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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