「この国で女性に生まれるのは罪」過度な人糞ノルマに憤る北朝鮮国民
北朝鮮で新年早々行われる「堆肥戦闘」。化学肥料の供給が需要に満たないことから、その穴埋めをするために、肥料になる人糞を集める大キャンペーンだ。1人あたり数百キロの人糞ノルマが課せられた北朝鮮国民は、お正月気分に浸る暇もなく、人糞運びに精を出す。
作業は、それだけでは終わらない。
人糞、家畜の糞に藁などを混ぜて肥料にしなければならないのだが、この作業をめぐり、国民から不満の声が上がっていると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
朝鮮労働党清津(チョンジン)市委員会(清津市党)は、全党的、全国的に農村を物質、労働力で支援することについての党総会の決定貫徹のために、朝鮮社会主義女性連盟(女盟)、人民班(町内会)、家内班(小規模な生産協同組合)に対して、3日ごとに1人あたり300キロの糞土(堆肥)を生産して納めよとの指示を下した。
今回の指示を受け、女性たちは寒空の中、あちこちのトイレを巡って人糞を集めているが、達成はかなり難しいと思われる。
「住宅ばかりの市内で糞土を毎日生産せよだなんて、話にもならない」(女性の声)
女盟、洞事務所(末端の行政機関)の長、洞の党書記も頭を抱えているというが、清津市党は今月中に生産量を測って総和(評価)を行う予定だ。女性たちは、人糞が集められず、練炭の灰に下水の水を適当に混ぜて人糞のようにして納めているが、こんなものは畑に撒ける代物ではない。
練炭の灰でできたニセ糞土を押し付けられた農場側は「練炭の灰のせいで土がパサパサして、土壌の力が落ちている、こんなことならやらないほうがまだマシだ」とぼやいているとのことだ。量さえノルマを満たしていれば質は問わない北朝鮮でありがちな現象だ。
農民のぼやきは続く。
「毎年1月、2月になれば糞土計画を遂行するために住民の苦労が絶えないが、今年のように現実味のない計画は初めてだ」
「党の政策貫徹と言って無条件で押し付けるイルクン(幹部)は無知だ」
清津市党は女性たちに、糞土のみならず、鎌、手袋、麻袋、ロープなどの営農資材も1種類ずつ支援せよと指示し、怒りを買っているという。
「女性たちは家族も食べさせつつ、国のことも心配しなければならない、この国で、女性に生まれることは罪なのだ」(女性の声)
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