「取り締まり強化」が止まらない北朝鮮の国境地域
中国との国境に接した北朝鮮の各地域では、昨年から取り締まりの嵐が吹き荒れている。中央は、地元とのしがらみのない82連合指揮部を現地に派遣し、今まで当たり前のように行われていた行為を、違法だとして次々と摘発させている。
多くの人は、いつかは取り締まりが終わるだろうと期待しつつ、首をすくめて取り締まりが緩和される日を待っているが、どうやらそんな期待は失望に変わりそうだ。
両江道のデイリーNK内部情報筋は、朝鮮労働党両江道委員会が今月3日午後に2時間にわたって、社会主義法務生活指導委員会の会議を開いたと伝えた。その場で、1月を違法行為取り締まり月間とし、普段にもまして法と規律を強化すると宣言した。
この地域では昨年から非社会主義、反社会主義行為の取り締まりが厳しく行われており、住民生活に甚大な影響を及ぼしているが、それをさらに強化するというのだ。
会議は、人民民主主義独裁の威力を持った手段である共和国法で、今年もあらゆる敵対勢力の策動から国家と人民を守らなければならないとの指摘をした上で、恵山(ヘサン)、普天(ポチョン)、三池淵(サムジヨン)など国境に接した地域で、資本主義思想文化の浸透で人民の階級意識、革命意識を麻痺させ脅かす、あらゆる反社会主義、非社会主義要素を無条件で遮断しなければならないと強調した。
この地域での違法行為としては、海外から持ち込まれた「違法映像」を通じた資本主義思想文化の浸透が最も多かったとして、若者の間で違法映像の視聴、流布が途絶えず、これらを厳しく阻止しなければならないとも指摘された。
さらに、違法な携帯電話の使用については「完全に焦土化するまで闘争すべき重い課題」「南朝鮮(韓国)、中国と通話して、国家機密を漏らしたり祖国を裏切って逃げた者(脱北者)からカネを受け取って家族に伝達したりするなど反動的行為を今年は繰り返されないように法的役割を強化しなければならない」と言及された。
こうした取り締まりは何度も繰り返されていることだが、中国キャリアの携帯電話を使った韓国、中国からの送金、情報のやり取りを完全にブロックする方針を改めて示した。
それのみならず、イナゴ商人(露天商)、燃料として使うために山から薪を切り出す行為などについても指摘し、法に対抗する現象、法的処罰を免れるために司法イルクン(幹部)にワイロを渡す行為などは、最後まで追及して社会主義法の効果を見せつけるべきだとも強調された。
これら取り締まりを集中的に進めるために違法行為取り締まり月間を宣言したというわけだが、具体的な実行案については討議を経て中央に報告するという。
同時に、党の思想と方針がいくらよくても、法執行、監督イルクンが神聖なる共和国の法律のイメージを乱し、革命隊伍の一新団結を阻害する行為があり、このままでは事業の前進はないとして、年初に彼らに対する幹部事業(人事異動)を行うとの言及もあったとのことだ。
出身地方、大学を問わず、能力があり党性が高い(思想的に問題がない)人を、司法機関に送り込むともしている。
今後1カ月が取り締まり強化月間となったが、来月になっても取り締まりが緩和される見込みはない。違法行為をベースにした既存の社会システムが完全に破壊されるまで、取り締まりが続けられるのかもしれないが、それはもはや人がまともに生活を営むことのできる地ではない。
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