新型ウイルス情報を流出…北朝鮮「拷問部隊」に逮捕された女性らの運命
中国と国境を接する北朝鮮両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市で8日、3人の男女が道保衛部(秘密警察)の電波探知局により逮捕された。現地のデイリーNK内部情報筋によれば、3人は脱北して韓国などで暮らす人々からカネを預かり、北朝鮮国内の家族に届ける「送金ブローカー」だという。
3人は、北朝鮮で厳禁されている中国キャリアの携帯電話を使用していたところを、保衛部に踏み込まれた。そして、2人の女性の携帯電話からは、北朝鮮国内での新型コロナウイルス感染の拡散状況について外部とやり取りした文字メッセージが発見されたという。
送金ブローカーも、中国の携帯電話の使用も、内部情報の流出も、北朝鮮ではすべて重罪である。最近は特に、内部情報流出に対する取り締まりが厳しい。
きっかけとなったのは昨年10月中旬、金正恩党委員長が道内の三池淵(サムジヨン)郡を視察したことだ。このとき、金正恩氏が直接参加する「1号行事」の情報が事前に外部に漏れたとして、現地で大騒ぎになったのだ。
保衛部は、拷問や処刑を担当して恐怖政治を支え、体制の安定に重大な責任を負ってきた。彼らにとって、内部情報の流出は由々しき事態であり、おそらくは金正恩氏から直々に、徹底した取り締まりを命じられているはずだ。
それに加え、北朝鮮当局は今、諸外国に増して新型コロナウイルスの国内侵入に神経を尖らせている。防疫体制が脆弱なために、感染の拡大は金正恩体制に激震をもたらす可能性があるからだ。また、そのことを十分に知っている外国情報機関にとっても、北朝鮮国内の感染状況は最も気になる情報だろう。
現在のところ北朝鮮当局は、国内で感染者が発生したとは報告していない。しかし韓国デイリーNKをはじめ、北朝鮮国内に独自の情報ルートを持つ筋は、すでに感染者が見つかっているとの噂を入手している。
今回摘発された女性たちが、新型コロナウイルスに関してどのような情報をやり取りしていたかは不明だ。しかしその内容によっては収容所送り、あるいは処刑されてしまう可能性も低くないと言える。
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