中国の経済成長率目標「5%」は実際のところどうなのか―独メディア
11日、ドイチェ・ヴェレは、中国が今年の経済成長率目標を昨年と同水準の5%に設定したことについて、中国人経済学者の瀋凌氏の見解を紹介する記事を掲載した。
2024年3月11日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国が今年の経済成長率目標を昨年と同水準の5%に設定したことについて、中国人経済学者の瀋凌(シェン・リン)氏の見解を紹介する記事を掲載した。
瀋氏は、ここ数年経済成長率目標を引き下げ続けてきた中国政府が今年の成長率を昨年と同じ目標5%に設定したことを「経済成長率が減速し続けることの悪影響を認識し、数年後には米国に追いつくために現在の経済成長率を引き上げる決意を固めたことの表れ」と評価。現在中国に欠けているのは人材でも資本でもなく自信であり、目標を「5%前後」ではなく「少なくとも5%」と表現すれば、さらに効果的だっただろうとの見方を示した。
そして、2.5%の成長を続ける米国に対し、中国の経済成長率が今後10年間5%を維持できれば40年には中国の国内総生産(GDP)総額が米国に追いつくことになり、人民元レートが対ドルで年率2%上昇すれば、33年には経済規模が逆転すると指摘。この数字は決して実現不可能なものではないとし「経済成長率5%というのは、中国にとって今後長い時間の目標値となる可能性がある」と論じた。
その上で、経済成長の原動力という観点から見れば、10年間5%の成長を続けることは十分に可能だとも主張。その理由について、自動車や高速鉄道、航空機、船舶、大型機械電気設備など数多くの高付加価値産業が成長エンジンで、一つや二つの産業に依存していないからだと説明した。また、自動車産業については「昨年実現した輸出世界一は序章に過ぎず、将来的にはまだまだ大きな成長の余地がある」とし、航空機産業についても国産大型旅客機C919の納品が始まったばかりであり、今後大きな成長が見込まれるほか、何十万もの部品が必要であることから関連産業チェーンも活況を呈することになると予測している。
瀋氏は一方で、今後に向けて中国が改善すべき点も二つ提起。高付加価値産業の利潤を社会福祉政策によって市民を含む各方面に還元し、内需の拡大を促進すること、挙国体制という中国の強みを一層発揮させるべく国有資本管理システムを改善し、半導体分野などハイテク分野の成長に向けたボトルネックを打破していくことを挙げた。(翻訳・編集/川尻)
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