中国では先端技術の普及が農業と人の心を変えつつある―香港誌
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、先端技術が農業のあり方や人の精神生活とその発露を急速に変えつつあると指摘する記事2本を発表した。
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、先端技術が農業のあり方と人の精神生活を急速に変えつつあると指摘する記事2本を発表した。以下は、それらの記事の要点を合わせて再構成した文章だ。
中国ではすでに、2024年の春の耕作が盛んに進められている。最近の特徴は、人工知能(AI)、農業ロボット、農業ドローン、スマート自走農機など農地に持ち込み、5Gネットワークやビッグデータを活用する「新農民」と「新農場」が増加していることだ。
中国は14億の人口を考えれば、農業資源に余裕があるとは言えない。また、米国のように大規模農業が普及しているわけでもない。中国では食糧の安全を保障するためにも、自主革新による農業強国づくりが進められている。
ハイテク企業が多く参画していることも、中国の「スマート農業化」の特徴だ。例えば養豚業では、「豚の顔認証」を推進して効率的な管理を行い、豚コレラを予防している。養鶏も高度にスマート化し、生産量を高め、病気を予防し、競争力を大いに高めている。
スマート農業は、「農業人口の若返り」にも貢献している。30代あるいは20代の若者が、青春を農業に捧げるようになった。彼らはドローンを操縦したりハウス内の温度や湿度を制御する。農業従事者には本来、「耕作地という戦場に赴く兵士」という性格がある。しかし先端技術を駆使する「新農民」には、制御盤の前という「陣中」で作戦を練る将軍の役割が加わった。そして遠隔操縦により「無人農場」を支配する。
中国は最近になり、世界最大の花卉(かき)生産国になった。産業規模は2000億元(約4兆3000億円)に達し、関連従業者は500万人に膨らんだ。その躍進の原動力が先端技術だった。
花は実用目的の商品ではなく、人々の情緒を満たす商品だ。食糧の安全とは関係ないが、「精神の安全」とは関係があり、国としての質の向上にも貢献する。また、花がより多く求められるようになったことは、中産階級の台頭を反映している。そして身近に花を置くことで、人々は自らの生活の質が向上したことをさらに強く実感する。人は雨の夜、あるいは自分自身が感動した時に、一束の花を買って他人に贈るかもしれない。自分自身に贈るかもしれない。人々の感情生活は豊かになる。
中国で花の販売を押し上げているのが、若い世代の人々が特によく利用するネットライブでの販売や宅配ECの発達だ。いずれも世界の上位に位置している。しかし中国はまだ、世界最大の花消費国ではない。ということは、今後も発展の余地が大いにあるということになる。
中国の花卉業界の発展を観察することは、経済学の研究だけでなく、社会学の研究でもある。中国では多くの若い世代がECで花を購入するようになった。自らが楽しみ他人を楽しませることに喜びを強く感じるようになった。先端技術が中国人の「感情の地図」を書き換えようとしているのかもしれない。(翻訳・編集/如月隼人)
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