コロナで中国に足止めの在北朝鮮華僑、再入国再開へ
新型コロナウイルスの流入防止のためとして、昨年1月末から国境を封鎖し、海外からの入国を禁止している北朝鮮。一切の例外はなく、自国民の帰国も認めていない。中国で逮捕されて強制退去処分を受けた脱北者の受け入れすら拒否し続けている。
一方で、北朝鮮から逃げ出そうとする人もいる。中国のデイリーNK情報筋は昨年12月、北朝鮮在住の華僑が高額の費用を払って生活苦、食糧難の著しい北朝鮮から脱出したと伝えた。
逆に中国から北朝鮮に戻ろうとする華僑もいると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。
中国・吉林省の延吉に在住する朝鮮族情報筋によると、昨年の春節(旧正月、1月25日)に中国に住む親戚を訪れるために北朝鮮を出国した華僑が、その直後に始まった国境封鎖に伴い、北朝鮮に戻れなくなった。
長期滞在を余儀なくされていたが、瀋陽にある北朝鮮領事館は最近、中国に残留していた在北朝鮮華僑の入国ビザを受け付けるとの通知を出した。ただし、条件は厳しい。滞在している地域の派出所で中国入国の日付と滞在期間を確認する書類と共に、1000元(約1万6600円)もの手数料を支払わねばならない。
彼らの多くは、北朝鮮と中国を行き来しつつ品物を運ぶ担ぎ屋「ポッタリジャンサ」で生計を立ててきた人々だ。北朝鮮に戻れなくなり、蓄えを切り崩しながらしのいできたが、それも底をついたところに突きつけられた高額のビザ手数料。
それも、払ったからと無条件でビザを出してもらえるわけではない。申請書類の中には、中国滞在中の活動の内訳、問題を起こしていないかなどを記載することになっていて、韓国、日本、米国との取り引きをしたことがバレれば、ビザ代がパアになったり、北朝鮮再入国後に問題になったりする可能性がある。
遼寧省丹東の朝鮮族情報筋も、足止めされていた在北朝鮮華僑たちがビザの申請を行なったが、とにかく収入を確保するため手当り次第に仕事をしても、ポッタリジャンサで得られる収入には遠く及ばず、1000元のビザ代を重い負担に感じているようだと伝えた。
彼らの間では、「入国できなかったのはコロナと、極度に厳しい北朝鮮のコロナ対策のせいなのに、まるで自分たちが間違いを犯したかのようだ」と、高額のビザ代を要求する北朝鮮当局に対して恨みの声が上がっている。
「北朝鮮にいる家族に会いたいという華僑の切ない気持ちを利用して、わずかばかりの外貨を稼ごうとする北朝鮮当局の浅はかなやり方を非難している」(情報筋)
中朝間の公式の貿易は、近く再開されるもようだとの情報が各方面から出ている。
今回の在北朝鮮華僑に対する再入国の許可は、公式貿易の再開と同時期に人の行き来も認める方向に転換したことを示すが、ごく限定的になるものと思われ、彼らが以前のようにポッタリジャンサができるようになるには、まだかなりの時間を要するだろう。
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