北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている
教化所(刑務所)など北朝鮮の拘禁施設では、ありとあらゆる形の人権侵害が行われている。人権の概念すら希薄な北朝鮮社会では、囚人たちは何ら抵抗する術を持たず、当局のなすがままだ。
そんな中、北朝鮮の北部山間地域にある慈江道(チャガンド)の教化所で今月初め、受刑者2人が看守の人権侵害行為に抗議してハンストを行った。現地のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは道内の城干(ソンガン)教化所だ。
軍需物資を横流しした罪で収監された男性2人は、戒護責任者(看守長)の30代男性チェ某による暴行と暴言に耐えかね、教化所の副所長らに待遇改善を直訴。しかし訴えが受け入れられなかったばかりか、「告げ口」に対するチェ某の報復が激化した。
すると2人は「こんな風に生きるのなら死んだほうがマシだ」と今月初め、3日間のハンストに入ったのだ。
これを受け、報告を受けた教化所当局は反省するどころか、「ハンストはわが共和国(北朝鮮)の憲法を否定し、党に対する全面的な挑戦行為だ」とし、2人に対して10日間の懲罰房(独房)入りを命じ、食べ物をホースで口に流し込み、無理やり食べさせた。つまり、高級食材のフォアグラを作るために喉の奥までホースを入れられ、強制的に餌を流し込まれるアヒルのような目に遭わされたわけだ。
それだけではない。
「国家と人民を前にして拭いきれぬ罪を犯しながら、深く反省して罪を償うどころかハンストで反抗したという理由で、8月の大赦リストから除外されてしまった」(情報筋)
ただ、当局に反抗した2人が、即時処刑されず生かされているだけでも、以前と比べればマシなのかもしれない。北朝鮮では、権力に対する反抗は容赦なく踏みつぶされる。しごく当たり前の要求をしただけの労働者たちが、戦車でひき殺される例もあった。
あるいは当局の目的は、2人を「見せしめ」として生き永らえさせることなのだろうか。北朝鮮当局は公開処刑を通じ、人々に恐怖を抱かせる方法で体制の安定を保ってきた。
最近、その方法に変化が見られるとの指摘もあるが、人々の恐怖心を操作することなしに、金正恩党委員長はその独裁権力を維持することができないのである。
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