北朝鮮の中高生「恐怖の夏休み」…熱中症で大量死も
北朝鮮の中高生は夏休みの間、学校や国家から、様々な課題を押し付けられたり、組織生活や思想の総括を強いられたりする。
いちばんシンドイのが、おそらく農村支援だ。北朝鮮の青少年は春に30日、夏に30日、秋に45日間、農村支援に動員される。この期間、学生たちは学校にも行かずに家族から離れて、協同農場で農作業をしなければならない。中学校3学年から大学を卒業するまでずっとだ。
今年は猛暑に襲われたこともあり、例年にも増してキツイ夏休みとなった。いや、生命への危険が及んだくらいだから、「恐怖の夏休み」と言った方が良いかもしれない。
平壌の隣に位置し、北朝鮮の物流の中心となっている平城(ピョンソン)では、熱中症による死者が続出しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。
市内の病院関係者によると、最高気温が35度に肉薄する猛暑となった先月28日から30日までの間に、平城医科大学病院、平城市病院、小児病院などに搬送された人だけで300人に達し、そのうち39人が死亡したという。
家の中や道端で倒れたお年寄りや、体の弱い人もいたが、猛暑の中で農場の「日照り対策戦闘」に動員され、重労働で倒れた若者も多くいたとのことだ。
北朝鮮当局は先月20日から、深刻な日照りに対処するために、人民班(町内会)の扶養家族(国の機関、国営企業に勤めていない人)や中学生・高校生までを大量動員している。
北朝鮮の農場では井戸、水路、揚水機などが不足しているため、動員された人々は川や貯水池で水を汲み、農場まで運ぶ重労働を強いられた。睡眠も食事もまともに取っておらず、午前中の労働を終えた時点で体力を消耗し、疲労、無気力を訴える人が続出したという。
北朝鮮ではこのようにして亡くなっても、何ら補償は行われない。中高生であっても同様だ。
子どもたちをこのような作業に動員することは、北朝鮮も批准している児童の権利に関する条約の6条(生命権)と29条(教育権)に違反している可能性がある。
それだけではない。町中の工場では、「女工哀歌」並みの少女搾取が行われている現場もある。
近年、北朝鮮でも少子化が進行し、人口減少へ向かいつつあるとの情報があるが、金正恩党委員長は将来の貴重な国の担い手である子どもたちを、もっと大事にしたらどうなのか。
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