「祝日なんかいらない」イベント疲れの北朝鮮国民から悲鳴
2022年の北朝鮮は、様々な行事が目白押しだ。2月16日のの光明星節(金正日総書記の生誕記念日)80周年、4月25日の朝鮮人民軍創建90周年記念日など、整周年(5や10で割り切れ、重要とされる年)を迎える記念日が続いた。その上、7月27日の戦勝節(祖国解放戦争勝利記念日)、8月28日の青年節など、通常の記念日も多い。
さらに9月9日には共和国創建日(9.9節)、つまり1948年のこの日に朝鮮民主主義人民共和国が建国されたことを祝う日がやって来た。
記念日のたびに記念行事などに動員される北朝鮮国民は、「もう疲れた」などと声を上げている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、「9.9節を意味深く迎えることについて」という指示が下され、朝鮮社会主義女性同盟(女盟)や社会主義愛国青年同盟(青年同盟)のメンバーが、行事の準備に追い立てられていると伝えた。
その行事とは、革命史跡地や革命戦績地の参観、偉大性教養事業(金氏一家の神格化思想教育)、共和国創建の意義に関する講演会などなどだ。
また、9.9節の当日には、金日成主席と金正日総書記の銅像に花輪を捧げる儀式、記念の歌の集い、青年舞踏会(ダンスパーティ)などを行う。
情報筋によると、整周年以外の9.9節には、銅像への献花以外にこれといったイベントは行われない。だが、今年の9.9節は69周年で、整周年ではないにもかかわらず、当局は祝賀ムードを高めるのに余念がないという。コロナで沈んだ社会の雰囲気を明るくし、様々な行事で内部の結束を固める意図があるものと思われる。
ところが、社会は明るくなるどころか、住民の不満で満ち溢れている。
コロナ鎖国による不況で、皆が皆、食うや食わずの状況だ。それなのに、咸興(ハムン)市の城川洞(ソンチョンドン)では、女盟員が毎日3時間もの間、9.9節慶祝歌の集いの練習に参加させられている。
一般的な家庭では、市場で商売をして現金収入を得るのは、女性の役割だ。歌の練習で商売をする時間が減ることは、収入が減ることを意味する。また、花輪贈呈事業に参加しなければならないとの名目で、現金を徴収される。そんな状況に単なる不満を超えて、祝日に対する拒否感すら生まれつつあるという。
さらに9.9節の翌々日は、秋夕(チュソク、旧盆)。墓参りの準備をしなければならないのに、様々な行事の練習、本番で動員され、痛めつけられる。「もう祝日などなくなればいいのに」という声が咸興市内から聞こえてくるとのことだ。
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