「ジャガイモの運送費」を教え子に負担させる北朝鮮の教師
北朝鮮の北部山間地、両江道(リャンガンド)の名産品と言えばジャガイモだ。例年なら、農場は収穫されたジャガイモで溢れかえるところだが、今年は様子が異なる。
7月の大雨による浸水とその後の日照り、コロナ鎖国による肥料不足で作況が芳しくないというのだ。この地域の学校教師は、大量のジャガイモの配給を受けているが、今年は争奪戦が起きているという。
現地のデイリーNK内部情報筋によると、両江道教育部は教師に対して、例年より半月ほど早い先月25日に、ジャガイモの配給を始めた。とは言っても実際に配達してもらえるのではなく割当量が告知されるだけで、動員の形で収穫作業に参加し、自分の分を確保しなければならない。
上述の通り、今年は作況が芳しくないため、例年以上に急いで農場に向かい収穫しなければ、割当量が得られなくなってしまう。彼らは先を争って農場に向かっているという。
人力で運べるほどの量ではないため、トラックなどの運送手段を借りなければならないが、教師の中には、その費用を児童・生徒から徴収する者がいて、物議を醸しているという。
恵山(ヘサン)市内の一部の小学校では、児童一人当たり5000北朝鮮ウォン(約110円)から1万北朝鮮ウォン(約220円)、初級中学校では「先生方が配給の問題を解決してこそ、授業が進められる」との理由で、1万北朝鮮ウォン以上のカネを徴収しているとのことだ。
これは、金正恩総書記が、今年1月の朝鮮労働党第8回大会の結語で、犯罪行為として挙げた「税金外の負担」に当たる。だが、「出さなければ自分の子どもがどういう目に遭うかわからない」との不安に駆られた親たちは、しぶしぶ出さざるを得ない。
とは言え、教師は教師で、厳しく長い冬を乗り切るだけの充分な量のジャガイモが得られなければ、命に関わる。「嘘をつかず、決まりを守って、正直に生きなさい」と教える立場にある教師が、身を持ってその逆を教えているのが、今の北朝鮮の教育現場だ。
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