北朝鮮軍「村の娘に鬼畜行為」食糧徴発でも乱暴狼藉
常日頃から軍と人民の良好な関係維持を訴えている北朝鮮。だが、それは必ずしもそううまくは行っていないという現実を反映しているのかもしれない。
両者のギクシャクした状況が際立つのが、秋の収穫後だ。食糧を確保しようとする軍と国と、コメ一粒でも多く手元に残そうとする農民との攻防が激しさを増すからだ。中には、犯罪行為に及ぶ者すらいる。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が詳細を伝えた。
事件が起きたのは、地域全体が山に囲まれた両江道の中でもさらに山奥の、甲山(カプサン)郡五一(オイル)労働者区でのことだ。
村には、遠く離れた黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)市に駐屯する朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第12軍団の後方部(補給担当部署)の兵士らが、軍糧米(軍向けの食糧)の徴発にやって来ていた。
彼らは、村の周辺に建物を建てて駐屯していたが、素行が極めて悪かった。テカテカでヨレヨレの軍服を着て、まるで中学生のように幼く見える彼らだが、軍糧米の徴発にはさほど興味がないようで、それよりも武装したまま民家に押し入って盗みを働いたり、農民から徴発したコメを売り払ったりしてカネ儲けに励むなど、やりたい放題だったという。
村人は、家財道具はもちろんのこと、家畜として買っている犬、鶏、山羊などが盗まれることを恐れ、昼には外出できず、夜には家畜を家の中に入れて寝ずの番を行うなどの対策を強いられていた。
あまりの酷さに耐えかねた村人は、平壌からやってきて取り締まりを行っている反社会主義・非社会主義に通報した。しかし、彼らは兵士の問題行動について調査して文書を作成しただけで、逮捕などの行動には出なかった。
状況が変化したのは、性暴力事件がきっかけだ。「ある兵士が、村に住む女性を強姦し、鬼畜のような所業を働く事件が9月に起き、それがしばらく経ってから明らかになった」(情報筋)のだ。軍当局はこの事件を、「深刻な軍民関係の毀損」にあたるとして、ついに重い腰を上げた。
朝鮮人民軍の保衛局(秘密警察)の担当局長が直々現場入りして、問題を起こした兵士らを逮捕し、取り調べを行った。彼らに対していかなる処分が下されたかは明らかになっていないが、労働連隊(軍の刑務所)行きは確実だろう。
多くの村人は、素行不良の兵士に対する怒りを爆発させているが、中には、兵士は自分たちの息子と歳も変わらない若者で残念だ、彼らにまともな食事を提供できない国に根本的な責任があると、政権批判を行う者もいるとのことだ。
自分たちと縁もゆかりもない地域では傍若無人に振る舞う一方で、勝手知ったる地域では地元民とグルになって違法行為に励む。これが北朝鮮の「軍民関係」の現実だ。
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