【新車試乗】レクサス新型IS登場。ボディサイズ変更とトヨタ新テストコースで鍛えた走りでFRスポーツを極める
レクサスISは2020年6月にマイナーチェンジが伝えられ、同年11月2日より発売を開始。先進安全装備を採用するとともに、2019年より運用が開始されたトヨタの新しいテストコースで走りを磨き上げ、FRスポーツセダンとして進化を遂げた。早速、レクサスISの試乗レポートをお伝えしよう。
レクサスISの最新のマイナーチェンジでは、ボディサイズが変更され、前後のフェンダーは張り出し、リヤビューにおいてはひと際迫力を増して登場した。
ボディサイズは全長4710mm(プラス30mm)、全幅1840mm(プラス30mm)、全高1435mm(プラス5mm)となり、ボリュームが大きく向上した。ホイールベースは2800mmと変更なしだ。
フェンダーを膨らませたため、タイヤサイズもフロントは235/40R19、リヤは265/35R19へとなり、タイヤ幅、タイヤ径ともにサイズアップしている。
これらの変更は『走り』に活かすためのもので、コンパクトFRスポーツセダンに相応しいダイナミック性能に磨きがかけられた。
パワーユニットはハイブリッド、3.5リッターV型6気筒自然吸気エンジン、2.0リッターターボエンジンの3機種を用意、トランスミッションは8速ATと組み合わせている。
ポイントは、走行中のなかで変化点のないシームレスな動きだ。そのためにボディ剛性を上げ、サスペンション、エンジンなどのチューニングを施している。
そして3種類のパワートレインは、キビキビ走りたい人は2.0リッターターボエンジンを、市街地を多く走ることが多い人にはハイブリッド、トルクフルにサウンドも楽しみたいという人には3.5リッターのV6エンジンをオススメするというキャラクター分まで設定されていた。
今回試乗したのは2.0リッターターボとハイブリッド。2.0リッターターボは期待どおりのキビキビさがあり、ワインディングを走りたくなる衝動が湧く。
■ガソリン、ハイブリッドともに走りを昇華。2.0リッターターボの軽快さが光る
また高級車ブランドのスポーツセダンに相応しく、滑るように走る体験もできた。とくに走り出しの軽快感は特筆すべきもので、ステアリング操舵の初期応答の良さで、それが確信になった。
また、ロールやピッチを感じさせないダイアゴナルロールをしながら走行する。フィーリング的にはロールは小さく、スッとノーズが回頭する動きの良さが気持ちいい。
そして極微低速でのダンパーフリクションがなく、滑らかに走る。試乗車にはアダプティブ・バリアブル・サスペンション(AVS)が装着されており、ノーマル、スポーツ、スポーツ+のモードが選択可能。エンジン動力性能に加えて、サスペンションも変更可能で、よりアグレッシブな走りが楽しめる。
最新のレクサスISは、車体剛性の強化もあり、ボディのしっかり感が増した。サスペンションとの仕立てもよく、クルマの動きに滑らかさがあるわけだが、細部のチューニングも大きな効果をもたらしているように思う。
とくに、際立っていたステア応答の良さは、このモデルからタイヤを装着するハブボルトが、ナット締めからボルトでダイレクトに占める方式に変更されていて、その一例と言える。
欧州車では一般的な締結法だが、国産モデルで採用している車両は記憶にない。これまで製造上の問題から単独車種での変更は見送られてきたが、それを新型ISは採用したのだ。
シンプルな構造になることで軽量化に繋がるほか、締め付けトルクを上げられるので締結剛性の向上にも効果がある。
つまり、ホイールとボディがダイレクトに締め付けられるため、車両との一体感はさらに増し、ステアフィールに好影響をもたらしていることが感じ取れるというわけだ。
さらに、ナットよりボルトの頭の方が小さくできるため、ホイールの穴径が小さくでき、デザインも高くなる。マイナス要因はないと言っていい。
一方、ハイブリッドでは従来、燃費や電池への配慮をした設定だったものを、駆動力アップへと制御を振っている。
これまでのハイブリッドの知見から電池の使い方、エネルギーマネジメントがよくわかってきたことが大きいとレクサスインターナショナル製品企画主幹の前澤 伸氏が説明していた。
そしてガソリンのV6型と2.0リッター4気筒ターボエンジンには、ドライバーがどんな運転をしていたのかのデータを取得し、ドライバーの期待するレスポンスに対応するようなドライブ学習機能を搭載した。
そのため、よりスポーティな味付けが可能になったということだ。
試乗フィールとしては圧倒的に2.0リッターターボモデルが楽しく、ハイブリッドは比較すると、少し軽快感は薄く感じてしまう。それぞれ単体試乗であれば十分なスポーティさを感じられるだろう。
こうした改良も新しいトヨタの『下山』テストコースを走り込んだ結果だという。高いGが連続で発生するレイアウトなので、ごまかしが効かない。だから変化点のないシームレスな動きをさせるためには、ボディ、サスペンション、タイヤ、そしてパワートレーンまで着手するマイナーチェンジを行ったというわけだ。
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