F1村は米国に「排他意識」アンドレッティ・キャデラック参戦表明も歓迎されず
アンドレッティとキャデラックのロゴ(キャデラック提供)
米インディカーなどに参戦するアンドレッティが、ゼネラルモータース(GM)系のキャデラックと提携して「アンドレッティ・キャデラック」として将来のF1参戦を表明した。米国籍チームとしてはハースがF1に参入しており、星条旗を掲げる2つのチームが早ければ2024年シーズンにエントリーリストに盛り込まれる可能性が出てきた。
アンドレッティは米国の名門チームで昨年2月に「アンドレッティグローバル」として24年の参入を目指して国際自動車連盟(FIA)にエントリーを申請。当初はアルファロメオとして参戦しているザウバーとの提携を持ち掛けていたが、交渉は不調に終わり、新たにキャデラックに白羽の矢を立てた。
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パワーユニット(PU)は既存のメーカーに頼る見通しで、ルノー、ホンダの名前が挙がっているという。今季もザウバーが運営するアルファロメオはフェラーリ製のPUを搭載していた。
ただし、「アンドレッティ・キャデラック」の表明については「F1村」では快く思っていないという。これまでの新チームは既存のチームを買収するなどして対応していたが、今回は全くの新規参入チーム。チーム数も10から11に増えることからF1の分配金が減ってしまい、既存チームにとっては収入面で痛手なのだ。
それにF1は欧州発祥で、異質なモータースポーツ文化を持つ米国からの参入にはアレルギー反応があるといわれている。F1に参戦した米国の自動車メーカーはインディ500がF1世界選手権に組み込まれた草創期を除けば、エンジンを供給したフォードのみ。ちなみに東洋の雄、日本はホンダ、ヤマハ、スバル、無限ホンダ、トヨタがF1に参戦している。
インディカーのアンドレッティオートスポーツに所属するブライアン・ハータ(ホンダ提供)
選手人事も遇されていない。今季はウィリアムズが昨季のF2選手権でランキング4位だったローガン・サージェントをレギュラードライバーに起用することにしたが、米国人のF1参戦は2015年のアレクサンダー・ロッシ以来、実に8年ぶりとなる。昨季はインディカーに参戦する米国人のコルトン・ハータをライセンスの特例発給でシーズン途中にF1デビューさせようという動きがあったが、F1参戦に必要なスーパーライセンスポイントが足りず実現には至らなかった。
FIAのモハメド・ビンスライエム会長は「F1の持続可能性を考えるなら、ほかのブランドも受け入れる必要がある。最大12チームがグリッドに並べることができる。新しいチーム、中でも米国チームを歓迎しない理由はない」と異例のコメントを発表。今季はマイアミGP、アメリカGP(オースティン)に、41年ぶりの復活開催となるラスベガスGPと、1カ国で3大会が行われるが、米国に対する排他意識は依然として強いと言えそうだ。
[文/中日スポーツ・鶴田真也]
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