2024年インディ500参戦の佐藤琢磨。WEC参戦チームのシートオファーもあるなか、3度目の制覇を決意
2月16日、佐藤琢磨が2024年インディアナポリス500マイルレースへの出場を発表した。
2024年は、2021年まで在籍していた古巣レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)に復帰し、2010年から通算連続15回目のインディ500挑戦となる。メインスポンサーは日本の金属加工機械メーカー『アマダ』の米国法人、アマダ・アメリカとなり、カーナンバーは75に決まった。
琢磨はRLLに、2012年と2018〜21年までの計5年間在籍しており、インディカーで戦うなかで最も長く所属していたチームだ。それは琢磨のインディカー成績にも如実に現れており、インディカー通算6勝のうち、4勝をRLLで飾っており、14回の表彰台中の10回も同チーム在籍時のものだ。最も返り咲くに相応しいチームだったと言えるだろう。
2023年シーズンは、名門チップ・ガナッシ・レーシングに移籍してオーバルレース5戦のみに出場。インディ500については7位で終えていた。プラクティスや決勝前最後の走行となる“カーブデイ”でトップタイムを連発していただけに、消化不良だった感は否めない。
2024年のインディカー活動を迎えるにあたっては、琢磨にいくつかの選択肢があったようだ。それがここまで発表が遅れたひとつの要因だったのだろう。
RLLやチップ・ガナッシのほかに、過去に在籍していたアンドレッティ・グローバル、デイル・コインなどのチームとコンタクトをしていたことは容易に想像ができるが、それ以外のチームが琢磨の“インディ500優勝ノウハウ“を獲得すべく打診をしていたと考えてもおかしくはない。
インディカーに若いドライバーがどんどん現れるなか、47歳となる今でもそのオファーがあるということはドライバー冥利に尽きるだろう。
また情報筋によると、琢磨にはインディカーだけでなく、スポーツカーのマニュファクチャラーからも複数打診があり、WEC世界耐久選手権やIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権などのシートを用意したところがあったという。
活況を呈してきたスポーツカーでもドライバーの奪い合いは起き、事実インディカーからWEC、IMSAへ鞍替えしているドライバーも多い。実際には今回実現しなかったものの、インディ500チャンピオンへのドライビングのオファーは、日本で想像している以上に多いようだ。
それでも琢磨は最終的にインディ500の挑戦を選んだわけである。
今年になって出演した東京オートサロンや大阪オートメッセなどでも「挑戦は続けたい」と公言していた琢磨だが、それが古巣RLLとのタッグでインディ500挑戦というかたちで発表された。
2010年のインディカーデビューから15年が経ち、参戦レース数も計220戦を超えた。今となっては、琢磨をインディカーで最も成功した日本人ドライバーであると評しても異論はないだろう。
RLLでの一年目、2012年インディ500で起きたファイナルラップのスピンは今でも語り草で、アメリカのレースファンに多くを印象付けた。それ以降インディカーでの日本人初優勝(2013年)、インディ500初制覇(2017年)と2勝目(2020年)など、数々の足跡を遺してきた。そして今もなおその記録を本人が上書きしようと挑戦を続ける。
琢磨はリリース上で、「レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングとともに第108回インディ500に参戦できることにこのうえない喜びを感じています。このようなチャンスをくださったボビー(・レイホール)、マイク(・ラニガン)、デビッド(・レターマン)の3人、そして関係者の皆さまには心からお礼を申し上げます」と感謝を述べた。
「RLLとともに歩んできた私の挑戦は10年以上に及ぶものであり、チームへの再加入が、とてもエキサイティングなプロジェクトになると確信しています。これまで多くの成功を収めてきた仲間と再会し、新たなチームの一員として仕事ができることを今は待ちきれない思いでいます」
今はホンダレーシングスクールのプリンシパルも務め、後進を育てていく立場となったが「現役のドライバーとして戦っている姿も見てほしい」と常々語っていた琢磨。15回目のインディ500挑戦が、若いドライバーたちの目にはどのように映るだろうか。
インディ500決勝まであと100日を切り、決勝は5月26日に行われる予定だ。
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