イタリアにも激震…コロナウイルスがセリエAに及ぼした影響と現地の反応
サッカーキング2020年2月28日(金)13時25分
マスク姿で観戦するナポリのサポーターたち [写真]=Getty Images
イタリアに激震が走った。21日金曜日の朝(以下、すべて現地時間)、それまでイタリア国内の新型コロナウイルス感染者は3人だったが、翌日には15人と5倍となり、26日には500人を超えるまで激増した。このため、第25節に予定されていたセリエAの4試合が延期。また、第26節の5試合で無観客での開催が予定されている。
延期となったのは、アタランタvsサッスオーロ、ヴェローナvsカリアリ、インテルvsサンプドリア、そして当初は開催される予定だったトリノvsパルマの4試合(左側がホーム)。 延期予定日はスケジュールがタイトなためまだ確定していないが、ヴェローナvsカリアリは3月11日、アタランタvsサッスオーロは3月18日。トリノvsパルマは3月4日、もしくは3月11日となっている。インテルvsサンプドリアは、インテルがルドゴレツとのヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグとナポリとのコッパ・イタリア準決勝セカンドレグを控えているため、流動的となっており、最終節から4節前の5月20日までずれ込む可能性もあるようだ。インテルは厳しい日程を控えており、サンプドリア戦は無観客での実施を要求したが、受け入れられることはなく、最終的に延期となった。21日夜には、ロンバルディーア州のブレッシャで、ブレッシャvsナポリが開催されたものの、ブレッシャのウルトラスが、「ナポリ・コロナウィルス!」とあり得ないような心無いチャントを連呼。その後、ウルトラスが、「50年間やってきたように、からかうことをしたかっただけ。誰も傷つけるつもりはなかった」と謝罪を表明したものの後の祭り。レーガ・セリエAから1万ユーロの罰金処分が科されている。そのブレッシャのマリオ・バロテッリはインスタグラムにコロナウィルス絡みのメッセージをインスタグラムに投稿。「戦争のような極めて重大な事態。治療法が確認されるまで、駅、空港、港、税関を封鎖しろ! 全員が感染した後にでも、封鎖するのか?」と動揺の色を隠せずにいた。ロンバルディーア州の各地ではスーパーマーケットで食料品が棚から消えるなど、パニック状態に陥っている。バロテッリのように不安を感じている人は少なくないようだ。
第26節で、無観客での実施が濃厚なのは、ミランvsジェノア、パルマvsSPAL、サッスオーロvsブレッシャ 、サンプドリアvs ヴェローナ。さらには、ウディネーゼvsフィオレンティーナの一戦も無観客となりつつあるようだ。一方、今季の優勝の行方を占う大一番、イタリア・ダービーのユヴェントスvsインテルも無観客試合が確実となっていたが、観客を入れての開催の可能性も出てきている。リヨンとのチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦ファーストレグで、ホームのリヨンがユヴェントス・サポーターを受け入れたことで、観客を動員しての開催も検討されている。なお、不測の事態ということでチケット購入者への払い戻しは、ミランが払い戻しに応じるものの、多くのクラブで行われないこととなりそうだ。
イタリアは主要7カ国(G7)では初めて、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の関連文書に署名し、参画することとなっており、中国とは蜜月にある。それだけに、中国武漢での新型コロナウイルス流行が確認されるとすぐに、イタリアと中国間の全ての直行便を停止した断固とした措置は驚きだった。そういったドラスティックな対応もあって、21日朝まで感染者は首都ローマの3人が感染確認されていただけで、感染拡大をうまく封じ込めていた印象だった。しかし、それが一週間も経たずに首都ローマのラツィオ、ヴェネト、エミーリャ・ロマーニャ、ピエモンテ、トスカーナ、リグーリア、トレンティーノ・アルト・アーディジェ、マルケと全20州のうち8州にまで一気に広がった。世界で3番目の感染国となり、欧州では1番多い国となってしまった。死亡者は12人まで増えている。全員が60歳以上で、60代が2人、70代が4人、80代が5人、90代が1人、このうちの9人がミラノが州都のロンバルディーア州で亡くなっている。イタリア人は、握手やハグ、頰と頰を合わせる行為をすることが挨拶の際の習慣となっており、スキンシップをとる機会が私たち日本人よりも格段に多い。こういった習慣があることで、感染が一気に広まった可能性もあるのではないかと言われている。
イタリアのスポーツ紙が、スポーツ以外、もっと言えば、サッカー以外を報じるのは稀だ。それが、21日夜になると、一斉に、ロンバルディーア州での最初の感染者(イタリアでは4人目)の存在を伝えた。38歳男性。M.Mとイニシャルだけでなく、マッティーアの実名と勤務先を報じた報道機関もあった。この男性が大きく報じられた理由は、マラソンだけでなく、サッカーもプレーする超スポーツマンであったことにある。免疫力が強く見られる人物が感染したことにメディアもショックを受けていたようだ。マッティーアは、中国の渡航歴はないものの、1月21日に中国から帰国した友人と食事を行っていた。ただ、この友人に陽性反応はなかったことが分かっている(あるいは、陽性反応が出たものの、重症に至らずに自然と治癒していた可能性も指摘されている)。妻も陽性が確認され、妊娠していることで健康状態が心配されたが、幸い胎児には影響がないことが伝えられている。マッティーアは、ハーフマラソンにロードレース、水泳もこなし、サッカーチームにも所属している。11人制サッカーでエッチェッレンツァ・グループAに参加しているピッキオ・ソマッリャの選手だ。FIGC(イタリアサッカー連盟)のエッチェレンツァ(5部リーグ)とは関係のない、クレモーナの独立地域リーグであるが、12チームから成るホーム&アウェー方式のハードな戦いが年間を通じて繰り広げられる。このピッキオ・ソマッリャのMFとして、15日にはサッビオーニと対戦しプレーしていた。このため、感染拡大を防止するため、チームメイトらは、病院に隔離された。ロンバルディーア州ではまた、このリーグをはじめとしたアチュアリーグに加え、サッカーだけでなく、バレーボール、バスケットボール、ホッケーなどの試合が延期。ヨーロッパ中の感染拡大が恐れられ、3月7日に予定されていたラグビーのシックスネーションズのアイルランドvsイタリアは、アイルランドのダブリンでの開催にもかかわらず、同U-20、同女子代表の試合も含め延期が決まった。
さらに27日、セリエC(3部リーグ)のグループAで戦うピアネーゼ(トスカーナ州シエナ県が本拠地)の選手が感染していることが発覚。23日には、U-23ユヴェントスと対戦しており、U-23ユヴェントスの選手への感染も疑われているが、今のところ感染者は確認されていない。U-23ユヴェントスは、セリエAでプレーする選手たちに加わりトレーニングをしていたこともあったが、今後は数日間、セリエAの選手たちに合流してトレーニングすることはない。
事態は依然として予断を許さないが、CONI(イタリア・オリンピック委員会)のジョヴァンニ・マラゴー会長は「何よりもまずは健康が大切だ。我々は正しい対応を見せている。今はスポーツ界が単独で動いてはならない。政府の監視機関の命令に歩調を合わせる必要がある」と一体となって立ち向かうことを強調しているが、感染者はイタリアだけでなく、欧州全土に広がりつつある。世界に平穏な日常が訪れるのはいつになるのか。
文=佐藤徳和/Norikazu SATO
延期となったのは、アタランタvsサッスオーロ、ヴェローナvsカリアリ、インテルvsサンプドリア、そして当初は開催される予定だったトリノvsパルマの4試合(左側がホーム)。 延期予定日はスケジュールがタイトなためまだ確定していないが、ヴェローナvsカリアリは3月11日、アタランタvsサッスオーロは3月18日。トリノvsパルマは3月4日、もしくは3月11日となっている。インテルvsサンプドリアは、インテルがルドゴレツとのヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグとナポリとのコッパ・イタリア準決勝セカンドレグを控えているため、流動的となっており、最終節から4節前の5月20日までずれ込む可能性もあるようだ。インテルは厳しい日程を控えており、サンプドリア戦は無観客での実施を要求したが、受け入れられることはなく、最終的に延期となった。21日夜には、ロンバルディーア州のブレッシャで、ブレッシャvsナポリが開催されたものの、ブレッシャのウルトラスが、「ナポリ・コロナウィルス!」とあり得ないような心無いチャントを連呼。その後、ウルトラスが、「50年間やってきたように、からかうことをしたかっただけ。誰も傷つけるつもりはなかった」と謝罪を表明したものの後の祭り。レーガ・セリエAから1万ユーロの罰金処分が科されている。そのブレッシャのマリオ・バロテッリはインスタグラムにコロナウィルス絡みのメッセージをインスタグラムに投稿。「戦争のような極めて重大な事態。治療法が確認されるまで、駅、空港、港、税関を封鎖しろ! 全員が感染した後にでも、封鎖するのか?」と動揺の色を隠せずにいた。ロンバルディーア州の各地ではスーパーマーケットで食料品が棚から消えるなど、パニック状態に陥っている。バロテッリのように不安を感じている人は少なくないようだ。
第26節で、無観客での実施が濃厚なのは、ミランvsジェノア、パルマvsSPAL、サッスオーロvsブレッシャ 、サンプドリアvs ヴェローナ。さらには、ウディネーゼvsフィオレンティーナの一戦も無観客となりつつあるようだ。一方、今季の優勝の行方を占う大一番、イタリア・ダービーのユヴェントスvsインテルも無観客試合が確実となっていたが、観客を入れての開催の可能性も出てきている。リヨンとのチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦ファーストレグで、ホームのリヨンがユヴェントス・サポーターを受け入れたことで、観客を動員しての開催も検討されている。なお、不測の事態ということでチケット購入者への払い戻しは、ミランが払い戻しに応じるものの、多くのクラブで行われないこととなりそうだ。
イタリアは主要7カ国(G7)では初めて、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の関連文書に署名し、参画することとなっており、中国とは蜜月にある。それだけに、中国武漢での新型コロナウイルス流行が確認されるとすぐに、イタリアと中国間の全ての直行便を停止した断固とした措置は驚きだった。そういったドラスティックな対応もあって、21日朝まで感染者は首都ローマの3人が感染確認されていただけで、感染拡大をうまく封じ込めていた印象だった。しかし、それが一週間も経たずに首都ローマのラツィオ、ヴェネト、エミーリャ・ロマーニャ、ピエモンテ、トスカーナ、リグーリア、トレンティーノ・アルト・アーディジェ、マルケと全20州のうち8州にまで一気に広がった。世界で3番目の感染国となり、欧州では1番多い国となってしまった。死亡者は12人まで増えている。全員が60歳以上で、60代が2人、70代が4人、80代が5人、90代が1人、このうちの9人がミラノが州都のロンバルディーア州で亡くなっている。イタリア人は、握手やハグ、頰と頰を合わせる行為をすることが挨拶の際の習慣となっており、スキンシップをとる機会が私たち日本人よりも格段に多い。こういった習慣があることで、感染が一気に広まった可能性もあるのではないかと言われている。
イタリアのスポーツ紙が、スポーツ以外、もっと言えば、サッカー以外を報じるのは稀だ。それが、21日夜になると、一斉に、ロンバルディーア州での最初の感染者(イタリアでは4人目)の存在を伝えた。38歳男性。M.Mとイニシャルだけでなく、マッティーアの実名と勤務先を報じた報道機関もあった。この男性が大きく報じられた理由は、マラソンだけでなく、サッカーもプレーする超スポーツマンであったことにある。免疫力が強く見られる人物が感染したことにメディアもショックを受けていたようだ。マッティーアは、中国の渡航歴はないものの、1月21日に中国から帰国した友人と食事を行っていた。ただ、この友人に陽性反応はなかったことが分かっている(あるいは、陽性反応が出たものの、重症に至らずに自然と治癒していた可能性も指摘されている)。妻も陽性が確認され、妊娠していることで健康状態が心配されたが、幸い胎児には影響がないことが伝えられている。マッティーアは、ハーフマラソンにロードレース、水泳もこなし、サッカーチームにも所属している。11人制サッカーでエッチェッレンツァ・グループAに参加しているピッキオ・ソマッリャの選手だ。FIGC(イタリアサッカー連盟)のエッチェレンツァ(5部リーグ)とは関係のない、クレモーナの独立地域リーグであるが、12チームから成るホーム&アウェー方式のハードな戦いが年間を通じて繰り広げられる。このピッキオ・ソマッリャのMFとして、15日にはサッビオーニと対戦しプレーしていた。このため、感染拡大を防止するため、チームメイトらは、病院に隔離された。ロンバルディーア州ではまた、このリーグをはじめとしたアチュアリーグに加え、サッカーだけでなく、バレーボール、バスケットボール、ホッケーなどの試合が延期。ヨーロッパ中の感染拡大が恐れられ、3月7日に予定されていたラグビーのシックスネーションズのアイルランドvsイタリアは、アイルランドのダブリンでの開催にもかかわらず、同U-20、同女子代表の試合も含め延期が決まった。
さらに27日、セリエC(3部リーグ)のグループAで戦うピアネーゼ(トスカーナ州シエナ県が本拠地)の選手が感染していることが発覚。23日には、U-23ユヴェントスと対戦しており、U-23ユヴェントスの選手への感染も疑われているが、今のところ感染者は確認されていない。U-23ユヴェントスは、セリエAでプレーする選手たちに加わりトレーニングをしていたこともあったが、今後は数日間、セリエAの選手たちに合流してトレーニングすることはない。
事態は依然として予断を許さないが、CONI(イタリア・オリンピック委員会)のジョヴァンニ・マラゴー会長は「何よりもまずは健康が大切だ。我々は正しい対応を見せている。今はスポーツ界が単独で動いてはならない。政府の監視機関の命令に歩調を合わせる必要がある」と一体となって立ち向かうことを強調しているが、感染者はイタリアだけでなく、欧州全土に広がりつつある。世界に平穏な日常が訪れるのはいつになるのか。
文=佐藤徳和/Norikazu SATO
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