森保ジャパン入りを期待されても…鎌田大地「代表はもちろん入りたい。でも…」
サッカーキング2019年3月5日(火)7時30分
[写真]=Getty Images
ベルギーのトップリーグに位置するジュピラー・プロ・リーグが最終局面を迎えている。
今シーズン開幕から躍進を続け、残り3節で5位につけていたシント・トロイデン(STVV)は、上位6クラブで戦うプレーオフ1進出決定を目前としている。1月26日のセルクル・ブルージュ戦から5戦無敗と、ここ最近は堅調な戦いを見せていた。だが、ラスト3戦は難敵との対戦が続くだけに、3月2日のクラブ・ブルージュとのアウェイゲームでは是が非でも勝ち点を持ち帰りたかった。
「チャンスがない」状況で繰り返す試行錯誤
攻撃の中核を担う鎌田大地にゴールの期待が集まる。前半戦だけで二桁得点を叩き出した22歳のアタッカーは、ヨハン・ボリに次ぐチーム2位の11ゴールを挙げている。けれども、後半戦突入後は2月3日のオイペン戦の1点のみ。得点ペースがやや低下しているのは気がかりな点だった。
「(前半戦を通して最前線を担っていた)ロマン(・ベズス=ヘント)が冬の移籍でいなくなり、自分が一列後ろになったのは一因ですね。今は5-4-1の形で最前線にボリが1枚いるだけなんで、スルーパス1本で僕が得点できるような形が少ない。自分自身は毎試合いい位置に入っていると思うんですけど、ボールが来てないですし、もっと積極的に要求しないとダメだと思います」と、鎌田本人もゴールが減った要因を冷静に分析していた。
この停滞感を打開し、クラブ・ブルージュ戦では4戦ぶりに明確な結果を残したかったが、昨シーズン王者とのアウェイゲームで、STVVは守備的な戦いを余儀なくされた。鎌田がゴール前へ飛び出すシーンは少なく、シュートチャンスも作れない状況が続いた。結局、後半にPKで失点すると、得点を奪えず0-1で大事な一戦に敗れてしまった。
試合後、「『得点を決めれない』っていうより、『チャンスがない』っていう感じなんですよね。僕自身は抜け出し方を変えたり、いろいろ工夫はしてるんですけど。今回の後半にボリからもらってシュートを打ったシーンにしても、今までだったら斜めにランしてたところで膨らむように走ったら、ボールが出てきた。そういう動き出しの工夫をしながら、改善していけたらいいですね」と本人も試行錯誤を繰り返していることを明かした。
チームの躍進を支える日本人コンビ
今シーズンのSTVVを語る上で、攻守における日本人選手の活躍は欠かせない。STVVは28試合終了時点で46得点・33失点を記録。得失点差ではリーグ3位の好成績を残している。守備では日本代表最終ラインの柱へと成長を遂げた冨安健洋が、見る者を安堵させるほどの安定感を示し続けている。一方の攻撃陣も鎌田(11点)とボリ(12点)が揃って二桁得点を記録。鎌田の目覚ましい働きが攻めを活性化してきたのは間違いない。
プレーオフ1進出、さらに優勝争いを繰り広げるためにも、鎌田は最近の停滞感を払拭し、再びゴール量産体制に入りたいところだ。ところが、当の本人は「今季はチャンスが来れば得点を決められる自信がある。それが一番だと思います。ただ、今はチームを第一に考えないといけない。プレーオフ1に入らないと何も達成できないので、今はゴール以前のところをやっていかないといけない。自分が前での起点を作ったり、攻めをスタートさせていければ、このチームはもっといい攻撃はできると思う。本当に今は難しいし、耐え時かなと感じます」と、自身のゴールよりもチームのために尽力することを念頭に置いている。
こうした発言や考えができるのも、フランクフルトで出番を得られらなかった昨シーズンがあったからこそ。耐え忍ぶ時間に何をするべきなのか? そうした時間が自分自身をどう変貌させるのか? そういった取り組みを地道に行い、ベルギーという新天地で成果を上げてみせた。
本当に大事なのは日本代表よりも…
今の停滞を抜け出せば、10代の頃から目標に掲げてきた日本代表入りの道も開けてくる。STVVでのゴール量産によって、これまで何度も「鎌田が森保ジャパンに抜擢されるのではないか」と報じられてきた。今のところは現実になっていないが、AFCアジアカップUAE2019を終えて、森保一監督は指揮官はさらに若い世代の掘り起こしに着手すると目されており、3月の代表戦(対コロンビア、対ボリビア)ではチャンスが巡ってくるかもしれない。
それでも、今の鎌田の脳裏にあるのは“チーム”のことだ。鎌田は日本代表について、自分に言い聞かせるように語気を強めた。
「毎回、言っていますけど、代表はもちろん入りたいところです。でもやっぱり今はチームで自分がどれだけできるかだと思います。本当に大事なのはこのチームでどれだけやり遂げられるか。残された試合を頑張りたいです」
レギュラーシーズンの残り2試合は、アウェイでロイヤル・エクセル・ムスクロン(10位)、ホームでヘント(7位)と対戦する。STVVは今シーズン、アウェイで4勝5分5敗と分が悪い。ヘントもプレーオフ1進出争いの渦中にあり、難敵になることは間違いない。プレーオフ1を含め、まだまだタフな戦いが続く。が、そうした状況で結果を残すことができれば、日本代表初招集、さらにはレンタル元のフランクフルトでの動向が決まると言っても過言ではない。
文=元川悦子
今シーズン開幕から躍進を続け、残り3節で5位につけていたシント・トロイデン(STVV)は、上位6クラブで戦うプレーオフ1進出決定を目前としている。1月26日のセルクル・ブルージュ戦から5戦無敗と、ここ最近は堅調な戦いを見せていた。だが、ラスト3戦は難敵との対戦が続くだけに、3月2日のクラブ・ブルージュとのアウェイゲームでは是が非でも勝ち点を持ち帰りたかった。
「チャンスがない」状況で繰り返す試行錯誤
攻撃の中核を担う鎌田大地にゴールの期待が集まる。前半戦だけで二桁得点を叩き出した22歳のアタッカーは、ヨハン・ボリに次ぐチーム2位の11ゴールを挙げている。けれども、後半戦突入後は2月3日のオイペン戦の1点のみ。得点ペースがやや低下しているのは気がかりな点だった。
「(前半戦を通して最前線を担っていた)ロマン(・ベズス=ヘント)が冬の移籍でいなくなり、自分が一列後ろになったのは一因ですね。今は5-4-1の形で最前線にボリが1枚いるだけなんで、スルーパス1本で僕が得点できるような形が少ない。自分自身は毎試合いい位置に入っていると思うんですけど、ボールが来てないですし、もっと積極的に要求しないとダメだと思います」と、鎌田本人もゴールが減った要因を冷静に分析していた。
この停滞感を打開し、クラブ・ブルージュ戦では4戦ぶりに明確な結果を残したかったが、昨シーズン王者とのアウェイゲームで、STVVは守備的な戦いを余儀なくされた。鎌田がゴール前へ飛び出すシーンは少なく、シュートチャンスも作れない状況が続いた。結局、後半にPKで失点すると、得点を奪えず0-1で大事な一戦に敗れてしまった。
試合後、「『得点を決めれない』っていうより、『チャンスがない』っていう感じなんですよね。僕自身は抜け出し方を変えたり、いろいろ工夫はしてるんですけど。今回の後半にボリからもらってシュートを打ったシーンにしても、今までだったら斜めにランしてたところで膨らむように走ったら、ボールが出てきた。そういう動き出しの工夫をしながら、改善していけたらいいですね」と本人も試行錯誤を繰り返していることを明かした。
チームの躍進を支える日本人コンビ
今シーズンのSTVVを語る上で、攻守における日本人選手の活躍は欠かせない。STVVは28試合終了時点で46得点・33失点を記録。得失点差ではリーグ3位の好成績を残している。守備では日本代表最終ラインの柱へと成長を遂げた冨安健洋が、見る者を安堵させるほどの安定感を示し続けている。一方の攻撃陣も鎌田(11点)とボリ(12点)が揃って二桁得点を記録。鎌田の目覚ましい働きが攻めを活性化してきたのは間違いない。
プレーオフ1進出、さらに優勝争いを繰り広げるためにも、鎌田は最近の停滞感を払拭し、再びゴール量産体制に入りたいところだ。ところが、当の本人は「今季はチャンスが来れば得点を決められる自信がある。それが一番だと思います。ただ、今はチームを第一に考えないといけない。プレーオフ1に入らないと何も達成できないので、今はゴール以前のところをやっていかないといけない。自分が前での起点を作ったり、攻めをスタートさせていければ、このチームはもっといい攻撃はできると思う。本当に今は難しいし、耐え時かなと感じます」と、自身のゴールよりもチームのために尽力することを念頭に置いている。
こうした発言や考えができるのも、フランクフルトで出番を得られらなかった昨シーズンがあったからこそ。耐え忍ぶ時間に何をするべきなのか? そうした時間が自分自身をどう変貌させるのか? そういった取り組みを地道に行い、ベルギーという新天地で成果を上げてみせた。
本当に大事なのは日本代表よりも…
今の停滞を抜け出せば、10代の頃から目標に掲げてきた日本代表入りの道も開けてくる。STVVでのゴール量産によって、これまで何度も「鎌田が森保ジャパンに抜擢されるのではないか」と報じられてきた。今のところは現実になっていないが、AFCアジアカップUAE2019を終えて、森保一監督は指揮官はさらに若い世代の掘り起こしに着手すると目されており、3月の代表戦(対コロンビア、対ボリビア)ではチャンスが巡ってくるかもしれない。
それでも、今の鎌田の脳裏にあるのは“チーム”のことだ。鎌田は日本代表について、自分に言い聞かせるように語気を強めた。
「毎回、言っていますけど、代表はもちろん入りたいところです。でもやっぱり今はチームで自分がどれだけできるかだと思います。本当に大事なのはこのチームでどれだけやり遂げられるか。残された試合を頑張りたいです」
レギュラーシーズンの残り2試合は、アウェイでロイヤル・エクセル・ムスクロン(10位)、ホームでヘント(7位)と対戦する。STVVは今シーズン、アウェイで4勝5分5敗と分が悪い。ヘントもプレーオフ1進出争いの渦中にあり、難敵になることは間違いない。プレーオフ1を含め、まだまだタフな戦いが続く。が、そうした状況で結果を残すことができれば、日本代表初招集、さらにはレンタル元のフランクフルトでの動向が決まると言っても過言ではない。
文=元川悦子
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