GTDプロへの『完全なGT3車両』投入は困難とコルベット。GTE仕様のコンバートを模索/IMSA
GM(ゼネラル・モーターズ)のスポーツカーレース・プログラム・マネジャーのローラ・ウォントロプ・クラウザーは、2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシーズンに向け、完全にホモロゲートされたGT3仕様のシボレー・コルベットC8.Rを準備することを否定し、現在GTLMクラスに参戦しているGTE仕様のC8.RをモディファイしてGTDプロクラスで走らせるという妥協案を、IMSAとともに模索したい考えを明らかにした。
この話は、2022年にGTLMクラスが消滅しGT3マシンをベースとしたGTDプロクラスへ移行すること、また2023年にDPiに代わってLMDh規則が正式採用されるという流れのなかで、ウェザーテック選手権へのGMのスポーツカーレーシングの関わりの将来を議論するなかから生まれたものだ。
コルベットは来年のIMSAのGTプログラムをまだ確約していないが、以前には完全なFIA GT3仕様のマシンのみを受け入れると見られていたGTDプロカテゴリーに、関心を示していた。
「来年に間に合うように、純粋なGT3ホモロゲート・キット全体を準備することはできない」とクラウザーはSportscar365に対し語っている。
「これは、将来の可能性を秘めたものよ。我々はIMSAと協力し、その制約を理解し、来年あたりに我々ができることについて理解しており、適切なGT3マシンを販売できればその準備が整うことになる」
「これらはすべてが進行中であり、多くの議論が行なわれている。最終的なものではない」
「我々はできる限り迅速に取り組んでおり、答えを得ようとしている」
彼女はまた、2020年にデビューしたGTE規定のコルベットC8.Rは、GT3のプラットフォーム用に設計・製作されたものではないため、完全なるGT3仕様へとコンバートすることはできない、と述べている。
GT3規則に準拠するためには、カスタマーがマシンを利用できるようにする必要があり、FIAによる公認を受け、最初の2年で最低20台を生産する必要がある。
「我々が今日持っているものを取り入れ、いくつかの変更を加えて、それをGT3にあて込むのは本当に難しい」とクラウザーは言う。
「プラットフォームは全くもって異なっており、我々のファクトリーGTE車両で採用されたアプローチは、カスマター向けのGT3車両へのアプローチとは全く異なってくる」
「これまでに下された決定の多くは、ファクトリープログラムに対しては完璧だったけど、それをカスタマープログラムにうまく置き換えることはできない」
「私たちは、ほとんど最初からやり直す、というところまで来ているのよ。だから、それを1年ほどでやり遂げることはできない」
「この種のレースプログラムのほとんどは、まとめあげるのに2〜3年はかかるもの。ほんの数カ月というのは、選択肢にならないわ」
GT3で必須となるABSの実装などを現在のGTE車両に施しGT3仕様車へと近づけるという案に対しコルベットがオープンな立場かどうかと尋ねられると、クラウザーは「それは、我々がIMSAとともに議論している点よ」と述べた。
「どのような種類の変更を加えることができれば、完全なやり直しを伴うことなく、他の(GT3)マシンと同じウインドウに入ることができるのか。完全にイチからやり直すには、我々はもう時間切れよ」と彼女は付け加える。
「このクルマは昨年導入されたものであり、我々は投資効率を高めたい」
「IMSAが我々にこの(GTE)スペックで走らせてくれるとは、誰も思っていないでしょう。でも、GT3マシンを適切に仕立てるために時間がかかることは理解しているはずよ」
IMSAとの合意に達しない場合、コルベット・レーシングがIMSAの代わりにWEC世界耐久選手権に注力することができる、とクラウザーは述べている。
「我々が知る限り、WECでは依然GTEプラットフォームが歓迎されている。これは良いニュースね。我々はそれをオプションとして持っている」と彼女は言う。
「私はそれが必要最低限のことだと言いたいのだけど、いくつかのWECのレースに参戦することになる」
「我々の希望は、IMSAと協力し、両方のシリーズに参加する方法を見つけること。結局のところ、我々は双方にとって意味のある結論に達する必要がある」
「我々は理解できないようなことに契約したり、契約のための契約をするつもりはない」
「このレースカーとプラットフォーム、そしてチームに対して、我々は多くの投資を行なってきた。競争力を発揮できる広大なフィールドで、その投資に対するリターンが得られるようにしたいと考えている」
Sportscar365は、IMSAがGTDプロのレギュレーションを5月までにまとめあげることを目標にしていると理解している。
クラウザーはまた、現在も進行中のGMにおけるLMDhプラットフォームに対する評価・検討は、GTの将来に対して「影響を与える」とも語った。
「明らかに時間が不足してきているので、何が起こっているのか、ここ(セブリング12時間レースの現場)で把握したい」とLMDhについて、彼女は述べている。
「この一部は、(GTレースの将来に)影響を及ぼす。ひとつ、あるいはふたつのブランドを参戦する場所を把握することは非常に重要だし、あるいはそこにはどんなオプションが残されているのかも知りたいと思っている」
「GTDプロ規則についても、まだ最終決定はされていない。我々がどこでレースをすることができるか、GMのレーススタイルはどこにもっとも適しているのか、理解はしているわ」
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