バーレーンの政府系ファンド『マムタラカト』がマクラーレン・グループの株式資本を完全取得
マクラーレンの将来を確かなものにするため、バーレーンの政府系ファンド『マムタラカト』は資金力を示した。すでにマクラーレンの株式を大量に保有していたマムタラカトは、高性能車の製造を行い、マクラーレン・フォーミュラ1チームの過半数を保有するマクラーレン・グループの完全な所有権を握った。
イギリス企業のマクラーレンにとって、この動きは激動の時期を経てやって来た。増大する経済的損失に苦しんでいたマクラーレンは、必死に命綱を必要としていた。しかし、マクラーレンはこれを前向きな一歩と捉えており、“大きなマイルストーン”だと考えている。
今後を見据えたマクラーレンは、現在自動車業界の他の主要組織との戦略的パートナーシップを模索していると報じられており、同社は急速に成長している重要なセクターである電気自動車(EV)市場に参入するための専門知識とリソースを求めている可能性が示唆されている。
「この取引を通じて、マムタラカトがマクラーレンに引き続きコミットしてくれることを喜ばしく思う」と、マクラーレン・グループ会長のポール・ウォルシュは声明で述べている。
「これにより、新製品や新技術への投資を含む長期事業計画の実現にさらに集中すると同時に、業界パートナーとの潜在的な技術提携を引き続き模索することができる」
バーレーンのマムタラカトは2007年に初めて参入し、ロン・デニスとマンスール・オジェからマクラーレン・グループの30%の株式を取得した。この初期投資が、重要なパートナーシップの始まりとなった。マムタラカトはマクラーレン・グループの単独オーナーとなったが、マクラーレン・グループはマクラーレン・レーシングの株式の過半数(67%)を保有しており、それには同ブランドのF1事業やインディカー、フォーミュラE、エクストリームEへの参戦も含まれている。
この数年間は、マクラーレンにとって簡単な年月ではなかった。新型コロナウイルスのパンデミックにより、自動車生産は一時的に停止を余儀なくされ、世界的なレース活動は混乱した。これによる財政負担により、2020年には大規模な再編が必要となり、残念ながら雇用の喪失につながった。
また経済が回復するにつれて、世界的なサプライチェーンの混乱やコンピューターチップの不足など、新たな課題が浮上した。ハイブリッドカー『アルトゥーラ』の発売にあたって問題が発生し生産が遅れたのだ。これらの要因が組み合わさり、2023年の最初の9カ月間で2億7600万ポンド(約527億円)の税引き前損失が発生した。
こうした最近の苦境にもかかわらず、2023年にマクラーレン・グループの完全な所有権を取得するというマムタラカトの決断は、マクラーレンの将来に長期的にコミットするという意志を示している。
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