久保建英のスペシャリティとは? 課題認識と克服への努力にあり/AFC U-23選手権予選
サッカーキング2019年3月26日(火)11時32分
東ティモール戦では2ゴールを挙げた久保建英 [写真]=佐藤博之
卓抜した選手であることはすでに周知されているので、活躍自体は特にサプライズではないだろう。とはいえ、今季のMF久保建英(FC東京)がまた少し階段を登った印象を与えていることも間違いない。
ミャンマーの首都ヤンゴンで開催されているAFC U-23選手権予選。東京五輪1次予選を兼ねるこの大会は、24日に東ティモールとの第2戦での久保もそうだった。
今季はFC東京でもリーグ戦で開幕4試合連続先発出場。確かな自信を付けてからの代表招集だった。「試合に出られているという事実が自分の成長を示していると思う」と語るように、かつて出場機会を求めての期限付き移籍を決断した状況を思えば、同じ監督の下で力を認められて出場機会を得ている事実は確かに分かりやすい。「キャンプから頑張ってきた結果だと思うし、やっぱりそうやって評価してもらえるのは大きいですね」と、手ごたえを感じながら送るシーズンとなっている。
課題として運動量を挙げていた(あるいは指摘されていた)以前の状況とは本人の認識している課題も変わってきている。
「スプリントの回数や走る距離は伸びてきている中で、最後の質がおろそかになっているところがあります。例えば長い距離をドリブルしたような後でも、いつものようなプレーを出せるようにすることが今の課題です」
心拍が上がった状態でプレー精度が下がるのはある意味で仕方ないところだが、真の一流はそれを乗り越えるものでもある。もともとゴール前での冷静さと質の高さは久保の真骨頂だけに、新たな課題設定としては妥当なところだろう。それは体も一回り大きくなってフィジカル面の確実な進歩を感じさせているだけに、なおさらである。
もっとも、このミャンマーは試合開始時の気温が38度にもなるという過酷な環境である。「日本でできていること、当たり前のことがちょっとミャンマーでは難しいと感じました」と言うように、FC東京で課題として取り組み、成果としても感じていた攻守の素早い切り替えやランニングプレーの部分は出しづらい。そこで「ハーフタイムに『裏を狙うより、もっと足元でいいんじゃないか?』という話をしました」と言うように、プレーを少しアレンジして後半に臨んだ。
結果として、ここからFKから試合の流れを決定付ける2点目のゴールを鮮やかに突き刺し、さらに4点目としてスペシャルなゴールを叩き込む。杉岡大暉(湘南ベルマーレ)のクロスをファーサイドで受け、ワントラップでボールを浮かして相手をかわしての左足ボレー。「あれはかなり狙いどおり」と胸を張ったとおりのスーパーゴールだった。
「蹴るフリをしてうまくトラップできた感じ。(芝の影響で)前半はゴロのボールでちょっと狙い通りにいかなかったので、浮かしているボールだったらいつも通りに打てるのかな、と」
さらりと言ってのけたが、その発想も、それを実践できる技術もまったく凡庸ではなく、スペシャルである。クロスを入れた杉岡は「(久保からは)練習でも『自分の動き出しを観てくれ』と言われていて、蹴る前に目が合って狙いどおりのところに入れられた」と振り返る。
そういえば、クロスボールに対する動き出しの工夫も、かつて久保がよく挙げていた課題だったと思い出す。やはりこの男の持つスペシャリティは、自分の課題を認識し、それを努力で克服していくこの成長能力にこそあるのだ。スーパーゴールの陰にある事実から、あらためてその異才を感じる機会となった。
取材・文=川端暁彦
ミャンマーの首都ヤンゴンで開催されているAFC U-23選手権予選。東京五輪1次予選を兼ねるこの大会は、24日に東ティモールとの第2戦での久保もそうだった。
今季はFC東京でもリーグ戦で開幕4試合連続先発出場。確かな自信を付けてからの代表招集だった。「試合に出られているという事実が自分の成長を示していると思う」と語るように、かつて出場機会を求めての期限付き移籍を決断した状況を思えば、同じ監督の下で力を認められて出場機会を得ている事実は確かに分かりやすい。「キャンプから頑張ってきた結果だと思うし、やっぱりそうやって評価してもらえるのは大きいですね」と、手ごたえを感じながら送るシーズンとなっている。
課題として運動量を挙げていた(あるいは指摘されていた)以前の状況とは本人の認識している課題も変わってきている。
「スプリントの回数や走る距離は伸びてきている中で、最後の質がおろそかになっているところがあります。例えば長い距離をドリブルしたような後でも、いつものようなプレーを出せるようにすることが今の課題です」
心拍が上がった状態でプレー精度が下がるのはある意味で仕方ないところだが、真の一流はそれを乗り越えるものでもある。もともとゴール前での冷静さと質の高さは久保の真骨頂だけに、新たな課題設定としては妥当なところだろう。それは体も一回り大きくなってフィジカル面の確実な進歩を感じさせているだけに、なおさらである。
もっとも、このミャンマーは試合開始時の気温が38度にもなるという過酷な環境である。「日本でできていること、当たり前のことがちょっとミャンマーでは難しいと感じました」と言うように、FC東京で課題として取り組み、成果としても感じていた攻守の素早い切り替えやランニングプレーの部分は出しづらい。そこで「ハーフタイムに『裏を狙うより、もっと足元でいいんじゃないか?』という話をしました」と言うように、プレーを少しアレンジして後半に臨んだ。
結果として、ここからFKから試合の流れを決定付ける2点目のゴールを鮮やかに突き刺し、さらに4点目としてスペシャルなゴールを叩き込む。杉岡大暉(湘南ベルマーレ)のクロスをファーサイドで受け、ワントラップでボールを浮かして相手をかわしての左足ボレー。「あれはかなり狙いどおり」と胸を張ったとおりのスーパーゴールだった。
「蹴るフリをしてうまくトラップできた感じ。(芝の影響で)前半はゴロのボールでちょっと狙い通りにいかなかったので、浮かしているボールだったらいつも通りに打てるのかな、と」
さらりと言ってのけたが、その発想も、それを実践できる技術もまったく凡庸ではなく、スペシャルである。クロスを入れた杉岡は「(久保からは)練習でも『自分の動き出しを観てくれ』と言われていて、蹴る前に目が合って狙いどおりのところに入れられた」と振り返る。
そういえば、クロスボールに対する動き出しの工夫も、かつて久保がよく挙げていた課題だったと思い出す。やはりこの男の持つスペシャリティは、自分の課題を認識し、それを努力で克服していくこの成長能力にこそあるのだ。スーパーゴールの陰にある事実から、あらためてその異才を感じる機会となった。
取材・文=川端暁彦
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