川澄奈穂美がもたらす刺激 “新人”の溌剌さと“最年長”の経験がなでしこに加わる
サッカーキング2018年3月31日(土)16時59分
リオ五輪予選以来のなでしこジャパン復帰となる川澄 [写真]=Getty Images
川澄奈穂美が、約2年ぶりになでしこジャパンに復帰・合流した。
なでしこジャパンは、4月1日のMS&ADカップ2018 ガーナ女子代表戦と、翌週から行われるAFC女子アジアカップ ヨルダン2018に向け、長崎市内で3月26日から合宿を行っており、川澄は同日夜からチームに合流している。
シアトル・レインFCで川澄とチームメイトの宇津木瑠美が、ヨルダンで合流するのに対し、川澄は一旦、日本に帰国してガーナ戦を経てからヨルダンに向かう。その違いについて、川澄本人が説明してくれた。
「それは高倉麻子監督の希望ということです。私は高倉監督のチームでは初招集なので、1日でも早く合流してチーム内の雰囲気を掴むというのも大事だと思っていました。その要請は自分にとってもありがたいものでした」
過密日程をものともしないその姿勢に、川澄の代表チームへの思いが溢れていた。
川澄は、今回のなでしこジャパンの中で最年長の32歳。しかしピッチ上では、意欲に満ちた新人選手のように溌剌としたプレーを見せた。
3月30日の練習で地元の男子高校生と合同練習を行い、最後にフルコートを使って20分×2本のゲーム形式のメニューをこなした。川澄は1本目、控え組中心のチームに入ったが、2本目は主力組中心のチームでプレー。いずれも右サイドハーフの位置で、菅澤優衣香にピタリと合うクロスを上げたり、コーナーキックのキッカーを担ったりした。
「そこ、あと1歩しっかり詰めて!」と逆サイドまで届く大声を響かせると、プレーが止まれば「さっきの(指示の意味)分かった?」とプレーを振り返ってチームメイトと反芻する。周囲への指示の声は、やはり経験豊富なベテラン選手だ。
岩渕真奈が「これまでの(なでしこジャパンの)雰囲気とはまったく違う」と話したように、練習中に飛び交う指示の声が盛んになり、チーム全体が活気付いたと、筆者の目にも映った。
また、昨年12月のEAFF E-1選手権2017で優勝を逃した高倉ジャパンにとって、アジアの舞台で様々な経験をしてきた川澄の復帰は心強い。
「自分は4年前のアジアカップの優勝も、リオデジャネイロ・オリンピック アジア予選の敗退も経験している。そういう意味ではアジアの厳しさを体感している。アジアのチームとの対戦では、長所を消し合って戦わなくちゃいけないので、我慢強く戦わないといけない」
アジアで成功も失敗も味わってきた川澄は、アジア杯に話が及ぶと、表情が一層引き締まった。
「私はこのチームでは初招集なので、アピールしなきゃいけないという立場。しかし今までやってきた経験値は上だという自負がある。そこで自分をアピールすることも大切ですが、まずはチームのために何ができるのかというのを一番に考えてやりたいと思う。そしてどういう状況であっても勝つチームにならなくては」
川澄の経験に大きな期待をかけ、ついに復帰を決断した高倉監督だが、その川澄に易々とポジションを奪われるような事態も、指揮官としては求めていないのではないだろうか。
川澄不在の2年間で日の丸を背負ってきた代表選手には、これから代表選手としてのプライドを一層発揮してもらいたい。そして、なでしこジャパンとして活動する誰もが刺激を与え、同時に刺激を受ける環境が理想的だろう。
「今まで積み上げたものに奈穂さんが入ることによって、またひとつレベルアップできたらいい」
攻撃の中核として高倉ジャパンを支えてきた岩渕も、川澄の復帰を歓迎しつつ、さらなる高みを目指すつもりだ。その一片が4月1日のガーナ戦で見られるか。
取材・文=馬見新拓郎
なでしこジャパンは、4月1日のMS&ADカップ2018 ガーナ女子代表戦と、翌週から行われるAFC女子アジアカップ ヨルダン2018に向け、長崎市内で3月26日から合宿を行っており、川澄は同日夜からチームに合流している。
シアトル・レインFCで川澄とチームメイトの宇津木瑠美が、ヨルダンで合流するのに対し、川澄は一旦、日本に帰国してガーナ戦を経てからヨルダンに向かう。その違いについて、川澄本人が説明してくれた。
「それは高倉麻子監督の希望ということです。私は高倉監督のチームでは初招集なので、1日でも早く合流してチーム内の雰囲気を掴むというのも大事だと思っていました。その要請は自分にとってもありがたいものでした」
過密日程をものともしないその姿勢に、川澄の代表チームへの思いが溢れていた。
川澄は、今回のなでしこジャパンの中で最年長の32歳。しかしピッチ上では、意欲に満ちた新人選手のように溌剌としたプレーを見せた。
3月30日の練習で地元の男子高校生と合同練習を行い、最後にフルコートを使って20分×2本のゲーム形式のメニューをこなした。川澄は1本目、控え組中心のチームに入ったが、2本目は主力組中心のチームでプレー。いずれも右サイドハーフの位置で、菅澤優衣香にピタリと合うクロスを上げたり、コーナーキックのキッカーを担ったりした。
「そこ、あと1歩しっかり詰めて!」と逆サイドまで届く大声を響かせると、プレーが止まれば「さっきの(指示の意味)分かった?」とプレーを振り返ってチームメイトと反芻する。周囲への指示の声は、やはり経験豊富なベテラン選手だ。
岩渕真奈が「これまでの(なでしこジャパンの)雰囲気とはまったく違う」と話したように、練習中に飛び交う指示の声が盛んになり、チーム全体が活気付いたと、筆者の目にも映った。
また、昨年12月のEAFF E-1選手権2017で優勝を逃した高倉ジャパンにとって、アジアの舞台で様々な経験をしてきた川澄の復帰は心強い。
「自分は4年前のアジアカップの優勝も、リオデジャネイロ・オリンピック アジア予選の敗退も経験している。そういう意味ではアジアの厳しさを体感している。アジアのチームとの対戦では、長所を消し合って戦わなくちゃいけないので、我慢強く戦わないといけない」
アジアで成功も失敗も味わってきた川澄は、アジア杯に話が及ぶと、表情が一層引き締まった。
「私はこのチームでは初招集なので、アピールしなきゃいけないという立場。しかし今までやってきた経験値は上だという自負がある。そこで自分をアピールすることも大切ですが、まずはチームのために何ができるのかというのを一番に考えてやりたいと思う。そしてどういう状況であっても勝つチームにならなくては」
川澄の経験に大きな期待をかけ、ついに復帰を決断した高倉監督だが、その川澄に易々とポジションを奪われるような事態も、指揮官としては求めていないのではないだろうか。
川澄不在の2年間で日の丸を背負ってきた代表選手には、これから代表選手としてのプライドを一層発揮してもらいたい。そして、なでしこジャパンとして活動する誰もが刺激を与え、同時に刺激を受ける環境が理想的だろう。
「今まで積み上げたものに奈穂さんが入ることによって、またひとつレベルアップできたらいい」
攻撃の中核として高倉ジャパンを支えてきた岩渕も、川澄の復帰を歓迎しつつ、さらなる高みを目指すつもりだ。その一片が4月1日のガーナ戦で見られるか。
取材・文=馬見新拓郎
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