DENSO中山雄一とSTANLEY山本尚貴、拮抗した2位バトルで見えたスープラとシビックの特性/第1戦GT500決勝
スーパーGT開幕戦岡山決勝レース、GT500クラスで終盤、注目を浴びたのが39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraと100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの2位争いだった。逃げる39号車DENSOの中山雄一、追う100号車STANLEYの山本尚貴。ふたりはどのような心境で2位を争っていたのか、レース後に聞いた。
3番手でスタートした100号車STANLEYは前半を担当していた牧野任祐が18周目のアトウッドコーナーの立ち上がりで38号車KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹にオーバーテイクを許してしまうも、30周目に入った38号車との同時ピットインで逆転。ステアリングを山本尚貴に変わって、3番手に浮上し、2番手の39号車DENSOの中山雄一を追った。
後半スティントの早い段階で39号車DENSOに追いついた100号車STANLEYだったが、その背後には38号車KeePerが迫ってきた状況だった。100号車STANLEYの山本尚貴が振り返る。
「スティントの初めは38号車も後ろから来て挟まれた状況だったので、楽ではないなという感じでしたけど、その後に38号車のペースが落ちて、実質39号車との勝負だなというところで、ペース的には自分の方に分がありそうでした。抜きどころはそんなにないので、仕留めるのであれば一発で仕留めないといけないことはわかっていました」と、山本。
「その中で気をつけていたのがタイヤのコンディションでした。ピックアップ(自分のタイヤかす)をつけないように、そしてついてしまったらすぐに取れるように走っていました」と続ける。
そして53周目、チャンスが訪れる。100号車の山本はバックストレート手前のアトウッドで39号車の中山に並びかかり、バックストレートでスリップに入る。しかし、その後のヘアピンでのブレーキングでは39号車の中山がブロックして守り切った。中山が振り返る。
「初めてのシビックとの戦いになりましたけど、やはりこれまでとは強いポイントが変わっていて、直線の中間からすごく伸びてくるイメージがありました。あとは1コーナーと2コーナー、アトウッドといった中速コーナーも速いので結構、手強かったですね」と、中山。
「もともとこの岡山はGRスープラとしては得意なコースだったのですけど、SARDとしてはなかなかその強みを活かせずに問題だった部分がありました。それでも今シーズンのアップデートによって改善されて、特に低速コーナーが速かったので、ヘアピンを曲がったくらいのところからは僕が引き離して、1コーナーからアトウッドまでを走ってくると100号車が追いついてくるという展開でした。ヘアピンが勝負になったところで何度が危ないところもあったのですけど、それでもスープラはヘアピンのブレーキングからターンインの部分ですごくフィーリングが良かったので、なんとか守り切ることができました」と、山本との最初のバトルを振り返る。
その後、2台はこう着状態が続くも、次のふたりの戦いは68周目に訪れる。1~2コーナーでGT300の集団と絡み、39号車の中山が一瞬、失速したところを100号車山本が見逃さずに並びかかった。そこで2台の前に1台のGT300が現れ、そのGT300が2コーナーアウト側にマシンを寄せて、100号車山本の前に入る形になり、山本は減速。39号車の中山は順位を守ることができた。山本が振り返る。
「GT300がたくさん2コーナーで絡んだところで39号車が失速して、39号車に並びかけたところで僕の前にGT300が入ってきてしまった。そのGT300が外ではなくて内側に避けてくれていたら自分が前に出れていたと思うので、そこは不運というかアンラッキーでしたね」と、山本。
残り10周を切ってからも、ふたりの攻防は続いた。39号車の中山が振り返る。
「残り10周くらいのところでは、ずっと離れていったので、これはちょっと余裕かなと思ったのですけど、そうしたら残り5周で100号車がスパートをかけて来た。GT300との巡り合わせも良くなくて、しかも致命的なところでヘアピンなどで追いつかれて、防戦一方という感じで辛かったです」と中山。
「でも、2年前のここでのレースで予選2番手からスタートして8位でゴールして、決勝ではまわりにガンガン抜かれて悔しい思いをしましたけど、今日はきちんと2位を守れて、後続も引き離せましたし、トップの36号車にも近づいていくことができたので、チームとしても強くなったなと感じました」と、続けた。
山本も結局、39号車の中山を抜くことができなかったが、大きな手応えを感じる開幕戦となったようだ。
「チャンスが少ない中で2回、大きなチャンスがあったのですけど、それをモノにできなかったので悔しさがありますが、結果的に3位になれてホッとしている部分も正直、あります」と山本。
「いずれにしても、GT300絡みで前に出られないと、なかなか前には出られなさそうでした。ただ、テストの時は自分たちはロングランが結構、キツかったのですけど、このレースでは予選でも3番手になれたし、決勝も単走では結構、いいペースだった。改めてチームの力、エンジニアリングの力と牧野選手、ひとつポジションを落としてしまいましたけど、その中でも前のクルマと離れないでピットに戻ってきてくれたことで、ピット作業が本当に完璧だったので38号車の前に出られたことが今回の表彰台につながった。本当にメカニックも頑張ってくれたし、チームで勝ち取った3位だったのかなと思います」と、今回の3位を喜んだ。
新型シビック・タイプR-GTと、実質新車とも言える大幅アップデートを施してきた今季のGRスープラの2台による拮抗した好バトル。2台の特性が垣間見えたとともに、第2戦の富士スピードウェイを含め、今季も今回のような接近戦が多く見られるシーズンになりそうだ。
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