【レッドブル・ホンダF1/ガスリー密着】開幕3戦を経て、ようやくスタート地点に立ったガスリー。「自信を持って走れるようになってきた」
2019年シーズンからレッドブル・ホンダに昇格したピエール・ガスリー。チームメイトは、優勝経験があるマックス・フェルスタッペンだ。トップチームのひとつであるレッドブルでこれまでとは違うプレッシャーのなか戦うガスリーの舞台裏を伝える。
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2019年シーズン序盤3戦を戦い終えたピエール・ガスリーは、まだ周囲の期待に完全に応えるところまでには行っていない。とはいえ少しずつ、そして着実に、結果を出しつつある。
まず予選の速さだが、開幕戦はチーム側のミスもあったとはいえQ1敗退を喫した。第2戦バーレーンGPはリヤのグリップ不足に大いに苦しめられたが、それでも何とかQ2まで進んだ。そして先週末の第3戦中国GPでは初めてQ3進出を果たし、トロロッソ・ホンダ時代の自己最高位に並ぶ6番グリッドを獲得した。
ただしタイムはポールシッターのボッタスから約1秒4落ち。チームメイトのフェルスタッペンにもコンマ8秒落ちと、その差は依然としてかなり大きい。Q3では最後のアタックができないハプニングに見舞われたが、もしそれがなかったとしても大幅なタイム更新はむずかしかったと思われる。
そしてレースでは周回の大部分を単独で走り続け、移籍以来最高位となる6位でチェッカーを受けた。終盤には最速タイムによる1ポイント獲得を狙って3回目のピットインに向かい、中古のソフトタイヤで見事にその使命も果たした。
レース直後の囲み取材に出てきたガスリーは、うれしさよりもホッとひと安心という表情だった。冬のバルセロナテストからガスリーはずっと、レッドブルマシンの独特の挙動に苦しんできた。慣れの問題もあるだろうが、そもそも相性が悪いというべきか。フェルスタッペンが難なく乗りこなす局面でも、ガスリーは繰り返し「RB15は予測不能の挙動を示す」と語っていた。
■中国GPの結果で自信を持つことができたピエール・ガスリー
それが3戦目の中国でようやく、「少しずつ、自信を持って走れるようになってきた」と、前向きの言葉が出始めるようになった。大苦戦したバーレーンGP後のテストにガスリー自身は参加しなかったものの、チームがセッティングの方向性を見直したことも中国での改善に繋がったようだ。
RB15をドライブする上でガスリーが最も神経質になっているのが、コーナー立ち上がりでのアクセルワークだ。「すぐにでもスロットルを開けたいのに、よほど繊細に操作しないと瞬間的にオーバーステアが出て、リヤが暴れてしまう」
そのためガスリーは、「今までのアグレッシブな走り方を、見直さないといけないかもしれない」と、ドライビングスタイルの変更も示唆していた。
レース中の周回ペースは、前後が空くクリーンラップが続いたこともあるが、かなり安定したものだった。実戦を走りながら、ある程度RB15の御し方を習得したのではないか。そう尋ねるとガスリーはちょっと困ったような表情で、「いやあ、まだまだだね」と答えるにとどまった。その口調からは、まだ完全には自分の走りができていない印象だった。
とはいえダニエル・リカルドでさえ嫌気が差して出て行ったほど、今のレッドブルはフェルスタッペン偏重のチーム体制である。存在感をアピールするのがただでさえ難しい環境で、ガスリーはウィンターテストでマシンを大破させる大失態を演じてしまった。
その意味ではガスリーはゼロからどころか、かなりのマイナスの位置から新天地でのスタートを切ったことになる。そう考えれば第3戦での予選6番手、レース6位入賞という結果は、復調への第一歩と言えるのではないだろうか。
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