大谷翔平に生じた“変化” 水原一平容疑者への明言を避ける姿勢を米記者が評価「オオタニの人生は変わった」

ココカラネクスト2024年4月28日(日)6時0分

常に各国の記者から熱視線を注がれる大谷。その言動は大きな注目を集める。(C)Getty Images

 球界のみならず、お茶の間を震撼させる騒動が発覚してから約1か月。はからずも“渦中の人”となった大谷翔平(ドジャース)は、現地時間4月24日にあらためて自身の心境を少しだけ明かした。

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「まだ調査自体は続いているのでまだ全部が終わったわけではもちろんないです。失った……そうですね、それ以上にでもチームメート、チームもそうですけど、支えてもらっている、サポートしてくれている人たちがたくさんいる。むしろそっちの方がありがたいなというか、そういうふうに感じる面が多いと思う」

 なにかが吹っ切れたような表情で淡々と語る顔からして、現在の充実ぶりが伺えた。

 世間を賑わせたスキャンダルが、大谷にとってもショッキングな出来事だったというのは想像に難くない。2018年のエンゼルス移籍のタイミングで専属通訳となった水原一平容疑者が違法賭博に関与、さらに自身の給与口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上の金額を不正に盗用していたと判明したのだ。

 韓国での開幕シリーズ初戦直後に水原容疑者の口から事のあらましを告白され、「ショックという言葉が正しいとも思わない」(3月25日の声明発表会見より)という感情は複雑を極めた。それでもデーブ・ロバーツ監督をはじめとするドジャース関係者のサポートもあり、大谷は徐々に復調。連日のように列島を賑わせる活躍を見せている。

 4月11日には検察当局が「オオタニは被害者」と発表。公の場で潔白となり、改めて仲間の支援が身に染みたのだろう。冒頭の「ありがたい」という言葉は、たしかな重みと、騒動発覚直後からの変化が垣間見えた。

 大谷の変化は、米紙の記者も感じ取っている。大手紙『Washington Post』のチェルシー・ジェーンズ記者は「ショウヘイ・オオタニの人生は変わった。しかし、彼のフィールド上での支配力は変わらない」と銘打ったリポート内で、「オオタニは、ある日を境に感情や私生活、友情や裏切りなど、これまで明らかに視界から遠ざけていたテーマについて質問されるようになった」とメディア対応の変わりようを指摘。そのうえで、クレバーな受け答えを続ける姿を、こう評している。

「彼は親友でもあり、彼にとって唯一のコミュニケーション手段だった通訳を失い、より直接的な問いかけを受けるようになっている。もしかすると、今回の一件はスポーツ界で最も難攻不落と言われた男を無防備な状態に追い込んだのかもしれない。

 だが、今もオオタニの用心深さは変わらない。水原氏の裏切りに対する感情的影響を問われようとも、具体的な名を挙げることを避けている。こうした言動はスターの証でもある。そうすることで、余計なハレーションが生まれることを彼は知っている。記者たちにその人物に関する詳細を追及されるのだ」

 そして、ジェーンズ記者は、打率.354、7本塁打、OPS1.100と圧倒的な成績を残す大谷のグラウンド上での活躍をふまえ、次のように強く主張している。

「今のオオタニはフィールド外では弱みがあるのかもしれない。だが、これだけの変化があったにもかかわらず、フィールド上での支配力は微塵も衰えていない。彼は常に野球界で最も優れた打者の一人だ」

 いかなる困難が立ちはだかろうとも、どうにかして乗り越える——。今回のスキャンダルは間違いなく衝撃的だったが、大谷の胆力を改めて見せつけられる事件でもあった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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