レッドブル&HRC密着:接触でフェルスタッペン車に大きなダメージ。代表も「ハードなレースだがちょっとやりすぎ」と苦言
ラッセル:わざとじゃないよ。グリップがなくて、ロッキングアップしただけだよ
フェルスタッペン:おいおい、そんなのこっちだって同じだよ。だから、1周目はみんなマージンを持って、気をつけて走る必要があるんだよ
ラッセル:だから、わかってるって。車載カメラの映像を確認してみるから
フェルスタッペン:頼むよ。そうじゃないと、また同じ目に遭うぞ、このDickhead(クソ野郎)
これは、土曜日に行われたスプリント直後のパルクフェルメでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)の会話だ。
フェルスタッペンとラッセルは、3番手の座を賭けてスタート直後に激しいバトルを展開。その際、2コーナーでフェルスタッペンの左側のサイドポンツーンにラッセルの右フロントタイヤが接触した。2コーナーでは半車身前にいたフェルスタッペンだが、この接触によってバランスを崩し、ラッセルに並びかけられ、3コーナーでオーバーテイクを許してしまう。
レースは直後に角田裕毅(アルファタウリ)のタイヤが外れ、コース上に破片が散らばったことでセーフティカーが導入され、再スタートでフェルスタッペンがラッセルをパスして、フェルスタッペンが3番手を取り戻したが、その後はペースが上がらず、セルジオ・ペレス(レッドブル)にオーバーテイクされて2番手に下がっていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜くことができないまま、3番手でフィニッシュした。
レースを終えたフェルスタッペンはパルクフェルメでマシンを止めると、ラッセルと接触したマシン左側を確認した。すると、サイドポンツーンに穴が空いていた。
「突然クルマが滑り出したり、バイブレーションもあった。データを見ないとわからないけど、明らかにダメージはあった。普通に走っていれば、2番手にはなれた」 (フェルスタッペン)
つまり、フェルスタッペンとしてはラッセルとの接触によって、一時3番手の座を失っただけでなく、ルクレールを抜いて手にできていただろう2番手の座を逃したという悔しさがあった。それがいかに大きかったかは、フェルスタッペンが最後に使った「Dickhead」という単語から読み取れる。Dickとは男性器のことを指すことからもわかるように、侮辱的な言葉で、もちろん放送禁止用語だ。
チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンが感情的になったことに対して、理解を示した。
「私が見た限りでは、1コーナーの攻防は我慢できる。 でも、2コーナーはちょっと……。その後、3コーナーでも彼はマックスを壁に追いやった。ハードなレースだったけど、ちょっとやりすぎだったと思う。あの接触で、ボディワークにかなりのダメージを受けてしまい、マックスのパフォーマンスを大きく損なってしまった。それでシャルルをオーバーテイクすることができなかった。マックスは常に勝つことしか考えていないから、マシンにダメージを負って自分のパフォーマンスが発揮できなかったことに対して、我慢ならなかったのだと思う」
接触した後、フェルスタッペンは無線で「1周目になぜあんなにリスクを冒す必要があるのか理解できない」とラッセルの行為を非難した。一方、ラッセルも「マックスのほうが、僕より失うものが大きかったはずなのに」と反論した。
レースディレクターは、スプリントでのふたりの接触を不問に付している。
日曜日のレースで、フェルスタッペンはフロントロウ、2番手からスタートする。リスクをどこまで冒すのか、注目したい。
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