琢磨インディ500密着:予選からの上昇気流は掴めず「悪いところにバンドエイドを貼っているよう」
インディ500の予選2日目で29番手から16番手まで順位を復活した佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。単に運が良い悪いではなく、その経験から小さな発見を一つずつ積み上げて手に入れたベテランらしいジャンプアップだった。
これは決勝に向けて必ず助けになるだろうが、そう簡単にうまく事が運ぶほどインディ500は甘くない。そう感じた月曜のプラクティスだった。
昨日の予選後にクルマは一度バラされ、完全に決勝仕様になって組み上げられた。
月曜のプラクティスは午後12時30分に始まり16時までの3時間30分。プラクティス開始が通り雨によって開始が少々遅くなったものの、大きな順延とはならなかった。
今日のプラクティスは、レースを想定しての走行なので、各マシンがパック(集団)となって走行する。琢磨も走行開始後からパックの中に入って走行を続けた。
途中、シュミット・ピーターソンのロバート・ウィケンスがターン2の出口で壁に接触しイエローの中断となった。幸いドライバーに怪我はなかったが、ウィケンスのマシンは大きなダメージを負った。
プラクティスが再開すると、大きなパックを作って周回を続ける。琢磨もライバルの中に入って走るが、なかなか前のマシンをオーバーテイクするシーンも見られない。
前にエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がいて、まるで昨年の再現シーンのようだったが、カストロネベスを抜くシーンを目前で見ることはなかった。
途中ピットに入る際に、リヤブレーキのトラブルがあり、その修理に時間を要するシーンもあったが、本当の問題はもっと大きく底が深かったようだ。
走行時間を最後まで使い切ってピットに戻ってきた琢磨は、プラクティスの時のような浮かない表情に戻ってしまった。ベストラップは222.577mphで23番手だった。
「う〜ん、良くないですね。最悪の状況を抜け出すためにいろいろとあらゆることをやってるんですが、何をやってもと言うか、悪いところにペタペタとバンドエイドを貼っているような感じ」
「残りの走行は金曜日だけなので、そこはチェックだけにしたかったんだけど、いろいろトライすることになると思います。その時に大きく変えてみて良ければ、それで行くでしょうし、ダメならまたその時考えることになるのかな……」
予選で掴みかけた上昇気流をまた見失った感があるカーナンバー30。琢磨は、火曜日からはプロモーションなどでアメリカ各地を回る予定だ。またファンの声を聞けば気分転換にもなるだろうか。
心機一転してまたステアリングを握る金曜日が、良い日になることを願うばかりだ。
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