【小松礼雄のF1本音コラム】“筋書きどおり”大きな一歩を踏み出せた欧州ラウンド初戦
現役日本人F1エンジニアとして、ハースF1でチーフを務める小松礼雄エンジニア。F1速報サイトで好評連載中のコラム、今回はF1第5戦スペインGPをふり返り。現在のF1で起きている真相と、現場エンジニアの本音を読者のみなさまにお届けします。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヨーロッパ・ラウンド初戦のスペインGPは、チームにとって手応えを感じられた一戦になりました。ミディアム、ソフト、スーパーソフトの3スペックが持ち込まれたバルセロナですが、今回はトレッドが0.4mm削られていて、予想どおりタイヤの温度が下がっていたものの、FP1からうまく使うことができたと思います。
順調に初日のフリー走行を終え、チームが次に判断しなければならなかったのは、予選Q2でどのスペックを履くのか? という決断です。今回は、仮にスーパーソフトを履いて中団勢トップの予選7番手を獲っても、タイヤ性能からレースでは厳しい展開になることは分かっていたので、なるべくならスーパーソフトをさけたいという状況でした。
しかし、トップ3チーム以外でそれを実行するのは難しいというか、かなり勇気がいることなんです。なぜかといえば、トップ3チームの速さを持っていればQ2でソフトを履いてトップ10以内のタイムを出してQ3に進めることはほぼ確実だからです。
しかし、トップ3チーム以外がQ2でソフトを履くとQ3に行けないどころか、下手したら15位に沈んでしまう恐れもあるのです。それをふまえたうえでも、金曜日の走行結果をから、仮に予選Q2で敗退したとしても決勝を見据えてソフトでいくという結論にいたりました。
結果的に2台ともQ2を通過できましたが、スーパーソフトとソフトのラップタイムの差がほとんどなかったことがプラスに働きました。それから、他チームも考えていることは一緒なので、フェルナンド(・アロンソ)以外のドライバーがQ2でソフトを履いたことも、もちろん大きかったです。
Q3でケビン(・マグヌッセン)はミスなくアタックを決めて予選7番手、ロマン(・グロージャン)はミスを犯して0.15秒くらいタイムをロスしてしまい、予選10番手に終わりました。そこがちょっともったいなかったですけど、Q2でソフトを選択するという決断はチームにとって初めての経験でしたし、それを実行したうえで2台揃ってQ3へ進めたのは、僕らにとっても大きな一歩になりました。
レース前に僕らがターゲットとして考えていたのは、誰ともレースをせずにグリッドのポジションを守り切ってケビンが7位でフィニッシュするということでした。
「誰ともレースをせずに」というのは、誤解のある書き方かもしれませんが、要はトップ3チームの6台にかなわないことははっきりしていましたし、また反対に後続のマシンより僕らの方が速いことも分かっていたので、淡々とひとりで走ってその差を引き離してゴールというのが、僕らの筋書きだったんです。
■成長著しいマグヌッセンとチーム
■レース後にデータで判明したクラッシュの詳細
■実現が近い、ダブル入賞
続きはF1速報WEBで掲載中
「F1」をもっと詳しく
「F1」のニュース
-
入賞のチャンスを逃した角田裕毅、終盤のチームオーダーには怒り「チームの考えが理解できない」:RB/F1第1戦決勝3月3日7時48分
-
シンガポールGP主催側との汚職事件で閣僚が起訴。今後のF1開催契約に政府は“疑問なし”1月21日21時5分
-
ハミルトンがフロア規定違反で失格、2位表彰台を失う。ルクレールの6位も取り消しに。角田が8位に昇格/F1第19戦10月23日9時47分
-
【角田裕毅F1第8戦分析】ポイント獲得の喜びから一転。入賞圏外に降格し落胆、レース後にはへたり込む姿も6月5日14時12分
-
ハミルトン今季初表彰台「まだマシンとの一体感はないけれど、レッドブルに近づくことは不可能でないと感じた」F1第3戦4月3日7時14分
-
レッドブルF1と新幹線が並走!? 驚きの映像作品『BAKUSOU』が公開1月30日20時46分
-
レッドブルF1が700万ドルの罰金と空力テスト削減のペナルティを受け入れ。FIAがコストキャップ違反チームとの合意を発表10月29日2時24分
-
2022年の新F1タイヤ規則への適応を進めるドライバーたち。タイヤウォーマーの温度引き下げには懸念の声10月15日13時15分
-
レッドブルのマックス・フェルスタッペンが大雨の鈴鹿で初優勝、ドライバーズ選手権2連覇を達成【決勝レポート/F1日本GP】10月9日18時19分
-
好調フェラーリF1、最速説は否定「本命は依然としてレッドブル&メルセデス」と代表3月14日7時29分
スポーツニュースランキング
-
1J1広島巡り安芸高田市長から反論。新潟スポンサー社長がX閉鎖へ「悲しい」 FOOTBALL TRIBE
-
2「何のためにいるのかわからない」井上尚弥の防衛戦で噴出したラウンドガール“不要論” 週刊女性PRIME
-
3札幌ミシャ監督解任論も!FC東京戦後のオフに批判相次ぐ「練習しろ」の声 FOOTBALL TRIBE
-
4「3度目のMVP候補に加わる」大谷翔平の”3連戦の内容”に米メディアも脱帽「三振は本塁打より少なかった」 ココカラネクスト
-
5放送事故レベル! 大谷翔平、中継カメラがとらえたヤバすぎる瞬間 直撃したら死ぬレベルの“弾丸ヒット”にファン騒然「怖すぎる」「野手動けないだろ」 ABEMA TIMES