ジャック・ビルヌーブのル・マン出場が急遽取りやめに「準備ができているとは思えない」とチーム
WEC世界耐久選手権に参戦するフロイド・ヴァンウォール・レーシングチームは5月25日、ル・マン24時間レースに向けたドライバーラインアップを変更し、1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ビルヌーブに代わり、トリスタン・ボティエを起用すると発表した。
ハイパーカークラスで開幕3レースを戦ったビルヌーブが、WEC第4戦のル・マン24時間レース(6月10〜11日)には参加しないことになった。
セブリングのプロローグテストおよび第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースでAFコルセのフェラーリ488GTE Evoと衝突、第2戦のポルティマオではブレーキトラブルからリタイアするなど、ビルヌーブのWECでのキャリアは不安定なスタートとなっていた。
これらのアクシデント、およびビルヌーブの走行距離不足により、コリン・コレス率いるバイコレスが運営するチームは、ラインアップの調整を決定したものと理解されている。
ボティエは4号車ヴァンウォール・バンダーベル680を、トム・ディルマン、エステバン・グエリエリとシェアすることになる。
「この状況では、彼(ビルヌーブ)がル・マンに行く準備ができているとは思えない」とコレスは述べている。
「彼の妻は妊娠しており、6月初旬に出産を控えている」
「ル・マンは大きなレースだ。我々は、リスクを負うことはできない。そうした彼の個人的な理由と、走行距離が足りないという事実により、新しいドライバー、トリスタン・ボティエを起用することにした」
ボティエはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で幅広いレース経験を持ち、JDCミラー・モータースポーツから出場した2021年のセブリング12時間レースでは優勝を遂げている。
フランス人の彼は現在、アルガルベ・プロ・レーシングからヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2プロ/アマクラスにエントリーしており、昨年はARCブラティスラバから同カテゴリーでのル・マン・デビューも果たしている。
ボティエにとって今回のル・マン24時間は、バイコレスの組織における初レースであり、同時にル・マン・ハイパーカーデビューともなる。
「我々はセブリングで会い、その後この選択肢について考えていた」とコレス。
「現時点において、これはベストチョイスだと私は思っている」
「我々には、しっかりとしたリザルトが必要だ。それが目標なのだ。何が起こるか分からないのは当然だが、リスクを最小限に抑えるのが私の仕事だ」
ヴァンウォールはリザーブドライバーに元DTMドライバーのエステバン・ムースを起用しているが、コレスはル・マンではより経験豊富なラインアップを揃えたいのだと説明する。
「エステバンは若くて才能のあるドライバーだ。しかし、トラフィックでの経験というう観点から、走行距離がさらに少ないドライバーを起用するリスクは冒せない」
ビルヌーブは第5戦モンツァ6時間レースのの暫定エントリーリストに名を連ねているにもかかわらず、ヴァンウォールのクルーは現段階ではル・マンのみ確定していると、コレスは述べている。
ビルヌーブを含むチームは最近、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとフェラーリAFコルセも参加した、モンツァでの3日間のテストで走行した。
新加入となるボティエは、6月4日に行われるル・マン24時間の公式テストデーで、バンダーベル680での初走行を迎える予定だ。
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