スバル、富士24時間でスーパー耐久用の新型車両をお披露目。第3戦オートポリスから投入へ
5月25日、スバルはENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEの第2戦『富士SUPER TEC 24時間レース』が開催されている富士スピードウェイにて、新型車両『HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT』を公開した。次戦となる第3戦オートポリスからの投入を予定している。
スバルは、2022年シーズンから2ドアスポーツカー『BRZ』をベースに、カーボンニュートラル燃料(CNF)を使用するTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptでスーパー耐久ST-Qクラスに参戦している。
3年目となる2024年シーズンも同車での挑戦を継続しているスバルは、1月の東京オートサロンでシーズン途中の新型車両投入を予告していた。5月15日にはマシンの写真が公開され、第2戦富士24時間で詳細を発表するとしていたスバルは、富士24時間の決勝日である5月25日にトークショーを開催し、新型車両を正式にお披露目した。
トークショーにはマシンを走らせるTeam SDA Engineeringの本井雅人チーム代表が登壇。集まったファンの前でスバルがスーパー耐久ST-Qクラスに参戦を行う理由を改めて説明した後に、カバーがかかっていた新型車両のアンベイルが行われ、マシンネームが『HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT(ハイパフォーマンス・エックス・フューチャー・コンセプト)』であることが告げられた。
これまでファンのなかでは『新型車両のベースはWRX S4では』という声もあり、もちろん本井代表はSNSなどでの書き込みを見ていたと言うが、これまでスバルからは『4ドアセダンの新型レース車両』ということしか明かされていなかった。改めてマシンの名前について本井代表は「ハイパフォーマンスXのXは、実はWRXのXと同じだと思っています。『特別に期待できるもの』というような意味でのXです」と会場で説明した。
「何がハイパフォーマンスかと言いますと、当然エンジンがハイパフォーマンスです。スバルといえば『AWD(全輪駆動)』を期待されてる方が多いと思いますので、駆動系がハイパフォーマンス、さらに車両全体もハイパフォーマンス、また、それだけではなく、関わっているエンジニアやドライバーすべてが『ハイパフォーマンスな未来に向けて』という意味を込めて“フューチャー・コンセプト”と名付けています」
車両については、外観こそWRXのものだが「WRXの皮を被った車両と言ったほうがいいですね」と続け、将来のスバルモータースポーツの意思を語る。
「部品はWRXのものを使っていますけど、スバルがスーパー耐久に参戦する理由は何ひとつ変わりません。カーボンニュートラルへのチャレンジは、実はNA(自然吸気)よりターボエンジンのほうが圧倒的にハードルが高いんです」
「カーボンニュートラルさえできてしまえば、(ターボ車)を発売し続けられるかというと、そうではありません。実は環境規制や排ガス規制などで、ものすごく難しい技術的課題があります。それを諦めず『スバルといえばターボ』をお客様にお届けし続けたい、そんな思いでエンジンを仕立てていきます」
駆動系の部分は、スバルといえば『シンメトリカルAWD』というイメージから、この新型車両では制御を含めて開発を実施。実際に搭載されている技術は「現在世に出ている技術に近いもの」だと言い、市販車のベースをしっかりと把握するため、現時点では「かなりノーマルに近い技術」が搭載されているとのことだ。
本井代表は「エンジン車はもちろん、これからスバルが出していくZEV(電気自動車)についても、そのような定義がしっかりと活きるような大きな技術を開発して、お客さんに届けるべく車両に盛り込んでいきたい」と思いを述べた。
気になる投入時期については、本井代表によると富士24時間で“衝撃デビュー”を目指していたが、今回は残念ながら間に合わず。そのため「次戦となる7月の第3戦オートポリス」を宣言。「オートポリスでは、きちんと目的ある走りをすることができるように車両を仕上げてまいりますので、ぜひ期待していただければと思います」と、集まったスバルファンに向けて抱負を語った。
燃料についても、引き続きカーボンニュートラル燃料を使用し、スバルが誇る先進安全技術『アイサイト』も新バージョンを搭載して開発が続けられるという『HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT』。最後には本井代表自らがコックピットに乗り込み、エンジン始動パフォーマンスも行われ、新型車両への期待と、スバルのモータースポーツへの熱意が感じられたお披露目だった。なお、新型車両は富士24時間のイベント広場スバルブースに展示されているため、現地観戦した際にはチェックをお忘れなく。
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