ベッテルをかばうマッサ「フェラーリF1にはタイトルを獲れるだけの力がない」
セバスチャン・ベッテルがフェラーリF1でタイトル獲得を果たせずにいるのは、チームが“完璧な状態”ではなかったからだと、フェリペ・マッサは考えている。
ベッテルとフェラーリは2020年シーズン末で袂を分かつことになり、彼がチームに世界タイトルをもたらすチャンスは今年のみとなった。2015年にフェラーリに加入して以来、ベッテルは何度かミスを犯したが、チーム側にもいくつかミスがあった。
元フェラーリドライバーのマッサは、2008年に1ポイント差でドライバーズタイトルを逃した経験を持つ。フェラーリは2008年にコンストラクターズタイトルを獲った後、才能あるドライバーたちに常に勝てるマシンや体制を提供してきたわけではないと、マッサは主張した。
「フェラーリが最後に(コンストラクターズ)選手権を制したのが2008年であることを忘れてはならない」とマッサは『Sky F1』に語った。
「多くの優秀なドライバーたちが、勝てずにチームを去っていったことは事実だ。2009年以降も僕はチームにいたけれど、勝てるマシンも組織もなかった」
「2010年のフェルナンド(・アロンソ)は間違いなく素晴らしい仕事をした。彼は本当に限界までタイトルを賭けて戦った。でも正直に言えば、おそらくその年のマシンは勝てるような代物ではなかった。彼が驚異的な仕事をしたというのが、僕としての意見だ」
「セバスチャンやキミ(・ライコネン)など、それ以降にチームに在籍したドライバーの全員がタイトルを獲得できなかった。なぜなら、チームにはシーズンを勝ち抜くための完璧さがなかったからだ」
「だからセバスチャンだけのせいではない。セバスチャンは何度も素晴らしいレースをして、何度も優勝し、チームのために戦った。そして彼は常にチームメイトより前にいた。キミのような優れた元チャンピオンがチームメイトであってもだ」
マッサは、シャルル・ルクレールの台頭があった昨シーズンに、フェラーリ内でバランスの変化が起きたことを認めた。
「昨年、状況は少々変化したかもしれない」とマッサは語る。
「シャルルが成し遂げたことを忘れることはできない。彼のことはカート時代から見てきたけれど、素晴らしい才能を持ったドライバーであることは明らかだった。彼はチャンピオンになれるし、どのチームでレースをしようがトップドライバーになれるだろう」
「(セバスチャンは)内部で多少のプレッシャーを受けていた。フェラーリがふたりの目の前でこれまでとは違う決断を下した理由は、そうしたことかもしれない」
2021年にベッテルがグリッドに残るための、妥当な選択肢はわずかだ。マッサは4度のF1世界チャンピオンであるベッテルが引退という道を選んでも、驚きはしないという。
「彼がF1に残るか否かというのは別の問題だ」とマッサは語った。
「セバスチャンは自分が望むものに常に集中するドライバーであり、そういう人間だ。だから彼がたとえ辞めることを選んでも、僕は驚かない」
「彼の立場でF1に残るには、チャンスを与えてくれるようなチームを見つける必要がある。あるいは、『オーケー、ここにいよう』と思えるような話をし、アイデアを提案してくれるようなチームだ」
「そうでなければ、彼が(F1に)残るとは思えない」
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