ル・マン24時間:中嶋一貴「昨年同様しっかりやることをやり切ることが大事」
いよいよ6月12日、現地時間16時からフリープラクティスがスタートする第87回ル・マン24時間耐久レース。2018年に初めて優勝を飾ったTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッドをドライブする中嶋一貴は、今季連覇を目指してレースに臨むことになる。走行直前となる12日、一貴に意気込みを聞いた。
2018年、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソのトリオで優勝を飾ったTOYOTA GAZOO Racing。その後もWEC世界耐久選手権のシリーズを優位に進め、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペスが駆る7号車に対して、タイトル争いをリードしながら、2018-19シーズン最終戦として開催されるル・マン24時間に挑むことになる。
迎えた走行初日の6月12日、サルト・サーキットは曇り空から雨が降り出すコンディションとなった。今季のル・マンに向けて一貴に話を聞くと「天気が悪いなぁ……と」と苦笑いをみせながら語った。
初勝利を飾った昨年から、何か一貴にとって心境の変化はあったのだろうか? と尋ねると、「いつもと何かが変わることはそれほどありませんが、昨年までとは少し違いますね」と教えてくれた。
「もちろん今年も勝たなければいけない。でも、『勝ったことがない』状況での勝たなければいけないと、『一度勝ったことがある』状況での勝たなければいけないとは、やはり少し違いはあると思います」
一方で一貴にとって、8号車にとって大事なのはチャンピオン獲得という目標だ。「僕たちにとってはそれがいちばんのターゲットです。勝ちたいですし、勝つためにレースをしますが、もし仮に“そうではない状況”になったときに、いかにタイトル争いにターゲットを切り替えるかが大事になります」と一貴は言う。
「トラブルは起きない前提でやっている」という一貴だが、トヨタTS050ハイブリッドはもちろん、以前からル・マン24時間で戦うマシンには、コース上でストップしてしまった際に、なんとしてもピットに戻すための緊急時のキットが積まれている。フロントエンドとリヤエンドを外す工具、ピットと連絡をとるための携帯電話が積まれているのだ。すでにレースウイークに向け、そのエマージェンシーの際の訓練はしているという。
とはいえ今季、これまでの戦いを見ていても、TOYOTA GAZOO Racingの“連覇”は堅いように思える。ただ「絶対はないです。そういう“雰囲気”が良からぬことを呼び込むのがこのレースだと思っています」と一貴はいう。大事なことは、自分の“任務”を遂行することだ。
「結局、自分が課せられた仕事を24時間やり切ることがいちばん大変なので、それができれば結果がどうあれ満足できる部分もありますし、それができないと勝ってもモヤモヤするところもあると思います」
「去年と同じく、しっかりやることをやり切ることです」
今年も長き戦いを終え、任務を遂行した後にふたたび一貴が日の丸を掲げることができるのか。注目のル・マン24時間は、間もなく走行が始まる。
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