ウイリアムズF1代表ロバーツの離脱は、CEOらとの確執が原因か。アストンマーティンへの移籍の噂も浮上
サイモン・ロバーツがウイリアムズF1チーム代表に昇進してわずか6カ月で、突如離脱することが決まった。この発表は多くの関係者を少なからず驚かせた。
ウイリアムズはコース上のパフォーマンスを昨年中盤から大きく改善しており、その重要な原動力はロバーツだとみられていた。マクラーレンやフォース・インディアに所属した経験を持つロバーツは、経験豊富かつ堅実であり、レース現場とファクトリーとのコミュニケーションをうまく図る能力もあり、ウイリアムズの重要な財産のひとつであるとみなされていたのだ。
しかしチームに近い情報筋によると、昨年12月にウイリアムズのCEOにヨースト・カピートが就任して以来、ロバーツの立場は難しいものになっていったという。ふたりの仕事上の哲学はまったく異なっており、互いに完全に違うやり方を押し通そうとしていたというのだ。しかしカピートは主に大規模なチーム再編に取り組み、ロバーツはレースチームの運営に携わっていたことから、当初はふたりは同じ組織で共存することができた。
ファクトリーで仕事をするスタッフの見方では、ロバーツの運命が決まったのは、カピートがフォルクスワーゲン・モータースポーツ時代に共に働いていたフランソワ−グザビエ・ドゥメゾンが、チームの新テクニカルディレクターに就任した時だったという。ドゥメゾンはファクトリーチームを担当し、ロバーツはレースチームの運営を担当したが、彼らは初日から明らかに目を合わせることを避けていたといわれる。
最終的にカピートは、自身がよりよく知るドゥメゾンの方に全幅の信頼を寄せ、ファクトリーとレースチーム運営の全権を与えることにした。自分とドゥメゾンがレーシングチーム運営の仕方について共通の考えを持っていること、またドゥメゾンが自分を全面的に信頼していることを分かっていたからだ。
ロバーツは離脱を余儀なくされ、その決定は友好的な形ではなされなかったようだ。だが多くのF1関係者が、今シーズン中にもロバーツがパドックに戻ってくるかもしれないと予想している。彼がアストンマーティンに加入し、オットマー・サフナウアーに代わってチーム代表に就任するのではないかという推測が持ち上がっているのだ。
アストンマーティンのチームオーナー、ローレンス・ストロールはサフナウアーの仕事ぶりをあまり高く評価しておらず、彼がメディアにおいて目立ちすぎているという不満も抱いているといわれる。また、シーズン序盤のチームの成績不振も、ふたりの関係に緊張をもたらした。
アゼルバイジャンでセバスチャン・ベッテルが表彰台を獲得したことにより、サフナウアーの立場は多少良くなったかもしれない。だがこのレースでアルファタウリがピエール・ガスリーの3位と角田裕毅の7位でより多くのポイントを稼ぎ、コンストラクターズ選手権でアストンマーティンを抜いて5位に浮上、アストンマーティンはランキング6位に落ちてしまった。ストロールはシーズン初めにランキング3位を目標に掲げていたが、いまやそれは難しくなりつつある。
ロバーツは、ウイリアムズ加入前、長年マクラーレンに所属するなかで、2009年の1年間、アストンマーティンの前身であるフォース・インディアのCOOを務めたこともある。自身がよく知るチームに復帰することはさほど難しいことではないだろう。ストロールは控えめな人物を周囲に置くことを好んでおり、その点でもロバーツは適任といえるかもしれない。
「ウイリアムズ」をもっと詳しく
「ウイリアムズ」のニュース
-
終盤のVSCで大逆転。ウイリアムズ育成のオサリバンが15番手から初優勝/FIA F2第5戦レース25月26日18時3分
-
ウイリアムズF1、モナコ用スペシャルカラーのFW46を発表。スポンサーのキャラクター、デュラセル・バニーをフィーチャー5月23日11時59分
-
アルボン「ピット出口でリミッターを解除した時に振動を感じ、何かおかしいと気づいた」:ウイリアムズ F1第7戦決勝5月21日7時30分
-
ファイナルラップの大逆転劇。ウイリアムズ育成コラピントが初優勝果たす/FIA F2第4戦レース15月18日22時22分
-
アルボンとの契約延長は大きな後押しに。2025年以降のドライバー選択にも余裕が生まれたウイリアムズF15月16日18時18分
-
アルボン、ウイリアムズF1との契約を複数年延長「長期的なプロジェクトを信じて役割を果たしたい」5月15日19時7分
-
キック・ザウバー離脱の可能性高まるボッタスに、ウイリアムズとハースが関心5月10日18時21分
-
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定5月8日17時40分
-
アルボン「週末を通じてグリップ不足。チームに加入して以来最も困難なレースのひとつ」:ウイリアムズ F1第6戦決勝5月7日12時50分
-
周冠宇「最高速でウイリアムズに敵わず、追い抜ける距離まで差を詰められなかった」:キック・ザウバー F1第6戦決勝5月7日12時30分